駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

MR今昔

2008年10月05日 | 医療
 一般の方はどの程度MRをご存じだろうか?これは十年くらい前までプロパーと呼ばれていた製薬会社の宣伝用員のことで、現在はMR(Medical Representative)と呼称が変化している。
 なぜ呼称が変えられたか詳しいことは知らないが予想は付く。プロパーの時代にはとにかく自社の薬を売ること(今でもそうだが)に主眼がおかれ、薬の薬理作用や医療(疾患と保険制度)のことはあまり知らなくても、ゴルフや飲食の接待あるいは値引き交渉で実績を上げるプロパーがかなり居た。そこで生まれる癒着や利益誘導の医薬連携に対する反省から、接待の制限や科学的な医薬情報提供重視によってMRへと脱皮が計られたと観測する。
 MRを単なる名称にさせないためにMRになるにはそこそこ難しい試験が導入された。試験が得意なのは女性というせいでもないだろうが、MRになってから徐々に女性が増えてきた。十年以上前には女性のMRに会ったことがなかったが、今は巡回してくるMRの四分の一が女性になった。当初はどぎまぎしたが今は慣れた。よく勉強していて熱心なので悪くないと思う。女性特有の問題もあり、少し気を使う。それでもきつい方や色っぽい方には敬して距離を取り、可愛い人とは楽しくお話をしがちになる。これは男性の場合にも相性があるので、たいした違いではないかもしれない。
 このMRさん達平均して月二回くらい訪問されるので、ウイークデイ彼ら彼女らの来ない日はないといってもよい。新しい薬の情報はありがたいのだが、最終的には自社製品の売り込みになるので多少は鬱陶しい。特に嫌なのが泣き落としだ。「上司に怒られますんで、先生なんとか」。これだけは止めて欲しい。
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豹変問題

2008年10月05日 | 世の中
 昨日は脳血管障害の講演会のあと 例によって 立食情報交換会で近隣の医師と雑談をした。市街地からちょっと山に入ったやや過疎地帯から降りてきたM先生「嘘つきは泥棒の始まりじゃなくて、政治家の証拠だね」。という過激な発言。ワイン党のS先生「いや、それは当たり前ですよ、あの人達は言うことをコロコロ変えて、知らんぷりですからね。中山さんなんか、本音を言って偉いですよ。日教組はけしからん」。「この頃の親はどうしようもないからな。道徳教育をしなきゃだめですよ」。仲間内という気楽さとアルコールのせいか本音が炸裂する。「うーん」と唸りながら聞く。話があちこちするうち「日本は平和ぼけだね」。という結論に辿り着いた。確かにそうだ。
 帰り道で考えた。政治家には方便が許されると主張する向きもあるが、目先の都合でコロコロ言うことが変わるのはどうも信頼できる人物とは思えない。変えるのは口先の言葉だけで、本質は変わっていないのに多くの国民は気が付いていると思う。だから失言撤回はほとんど儀式みたいなものだ。
 君子は豹変するというから、長い政治生活の間に一度くらい本質的に何か変わるようなことがあっても良いと思う。経緯が理解できればあながち非難にはあたらない。しかし昔の人は偉い、主語が君子となっている。どうも国会には豹変する方は多いようだが君子は少なそうだ。
 
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