Various Topics 2

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※旧Various Topics(OCN)

ドイツと日本の戦後・朝鮮戦争のアメリカ軍戦車スクラップで作られた東京タワー

2015年08月17日 | 国際・政治

8月15日のハフィントンポストに興味深い記事がありました。 

ハフィントンポスト(2015年8月15日)
【戦後70年】奈良美智さんがドイツで驚いた「敗戦国の歴史認識」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/15/yoshitomo-nara-no-war2_n_7991432.html
 

よく比べられるドイツと日本の戦後。 
ドイツの戦後について、歴史家の故トニー・ジャットが、朝日グローブの中のインタビュー 

第8回]1989年暮れ、ウィーン
南駅と西駅との明暗が ある使命感を、私に与えた
http://globe.asahi.com/author/090803/01_01.html
で、 

「もちろんドイツほど過去と向き合った国はありません。戦後、ナチス幹部は処断され、一般市民はナチスの蛮行を収めた映像を見ることを課されました。その一方、敗戦から数年後にもう西ドイツは「過去との決別」を宣言し、将校や公務員の過去調査を打ち切りました。官庁幹部、会社経営者、医師、教師など重要な職業で彼らはすばやく元の地位に返り咲いています。たとえば1951年の時点で、ある州では判事、検事の9割が元ナチス党員で、大蔵省職員でも7割がそうでした。復興には元ナチス党員の力が欠かせなかったからです。ドイツは、ヒトラーを(悪者として)世界に差し出すことで、処罰も道義的責任も逃れたのです。」 

「たとえばフランスでは、「ビシー政府症候群」と呼ばれる現象が起きました。南仏ビシーにあったナチス傀儡政府に協力したフランス人たちが、ナチスに協力した記憶を封じ込めてしまったことを指します。フランスに限りません。ナチスと妥協してしまった国では戦後どこでも、暗い記憶から目をそむけ、あるいは好都合な方向に記憶を変えるという現象が起きた。戦後の欧州は「悪いことは何も起きなかったことにしよう」という集団的記憶喪失の道を選んだのです。復興のためには、他に方法がありませんでした。」 

こう述べたように、ドイツおよびナチスドイツに協力した国において、必ずしも誇れるものでなかった時期がありました。 

(「反省がなかった」というのは、ナチス協力者でなくても同様のようで、たとえば、イタリア人作家のプリーモ・レーヴィが、彼がアウシュビッツからトリノに帰還中に(少なくない)ドイツ人達から反省を込めたまなざしではなく、下げずむような視線を送られたことを記しています。)

また、現在もネオナチがいたり、「ホロコーストを知らない」なんて言うドイツ人の子供、若者もいるというような話もあったりするので、過度にドイツを美化する必要はないとはは思います。(記事中奈良氏も、「ドイツが完全無欠に潔癖って言うつもりはない」と言っています。)

しかし、「ここ10年以上近隣国と争っている日本」と、「西側、東側とも敵対しないが別に媚びを売ることもなく、信頼を勝ち得ていったドイツ」、評価はもちろんドイツに軍配が上がるでしょう。 

ところで、今回のこの奈良氏のインタビュー(リンクからすべて読んでください)のなかで、初めて知り驚いた部分を: 

奈良:東京タワーの原料の話は知ってますか? 

――えっ。知りません。 

奈良:東京タワーって、鉄でできてるんですが、朝鮮戦争でスクラップになったアメリカ軍の戦車が使われてるんです。 

この件を調べてみると、 「朝鮮戦争後の日本は鉄鋼が少なく、アメリカとしても、古い戦車を直して使うよりも、日本に売却して、そのお金で新しい戦車を作った方が良かった為」という説明がいくつかのサイトにありました。 

公平を期すなら、戦後の復興、ドイツも東西冷戦があったこともあり、武器産業が復興を支えたという面もあったと思います。 

参考:
ニュースダイジェスト(2012年6月22日)
武器輸出大国ドイツ
By 熊谷徹氏
http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/4281-924.html ) 

そういう意味では、(武器はつくれど)武器輸出を禁じてきた日本のほうが、褒められるべき存在だったと思います。(今は安倍政権が、日本の武器輸出を推進しているわけですが・・・)
しかし、この「東京タワー」の話のようなことは、ドイツではまずなかったことでしょう。 

「日本は朝鮮戦争やベトナム戦争の特需があったから復興できた」ということは認識していましたが、東京タワーのような形での戦争加担、過去のこととはいえ(国としての)情けなさ、そしてやりきれなさを感じます。

流石に、東京スカイツリーが、米軍の戦車のスクラップで建てられているとは思えません。
しかし、ベトナム戦争以降も日本は米国にとって都合がよい国のまま。

今後、スクラップ買い取りでなく、(政治家ではない)人の命まで、差しだせるようにしようとしているのですから、なんと言うべきか・・・。

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