Various Topics 2

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※旧Various Topics(OCN)

ル・モンド・ディプロマティークの記事・福島の“非常に貴重なデータ”に群がる人々

2018年09月02日 | 原発・核・311

ル・モンド・ディプロマティーク
福島原発事故から7年——日常になりつつある悲劇
フィリップ・パトー・セレリエ(Philippe Pataud Célériér)
訳:川端総子
http://www.diplo.jp/articles18/1808-04Fukushima.html 

(前略) 

2011年以降、6万人以上の人々が福島原発内の作業に携わった。毎日およそ6000人の労働者がメルトダウンを起こした原子炉3基の解体作業に従事している。最たる困難は、コリウム(炉心溶融物)の場所を突き止め、制御下に置くことだ。高放射性物質であるコリウムは、メルトダウン進行中に金属物質と核燃料が溶融して生成されたものだ。 

2018年1月には東電が炉心内の画像数点を公開した。そこにはコリウムが福島第一原発2号機の原子炉格納容器を突き破っている様子が示され、このマグマ状の物質は、原発最下層にあるコンクリート製の土台部分——太平洋に流れ込む地下水をこの有害物質が汚染しないようにするための最終防護壁——を侵していた。 

 日本の、あるいは国際的な公式の報告書は、この大惨事による健康被害が重大でないように矮小化している。特に癌患者数の増大については、包括的な一斉検診が行われたせいだとしている。フランス国立科学研究センター研究員で日仏会館・国立日本研究所協力研究員の浅沼=ブリス・セシル(都市社会学)は、2011年以来、現地へ足を運んでいるが、不安を払拭させようとするこうした意見に疑問を呈する。[訳注2]福島の子供たち約38万人を対象に行われた疫学調査では、すでに197人に甲状腺癌が見つかっている。浅沼=ブリス・セシルによれば「除染作業や原発見学ツアーはある重要な目的に対応したものです。

つまり、地元住民を安心させ、故郷の村で生活を再開させるという目的です。そのためには許容線量の基準値を上げることすら構わないと考えて、政府は早くも2011年の4月からそれを実践しています」という。一般国民の許容線量は[年間]1ミリシーベルトから、平時の原発労働者の基準だった20ミリシーベルトへと引き上げられ、その一方で福島原発で働く作業員の許容線量については状況が切迫していくに応じて当初は100ミリシーベルトへ、次いで250ミリシーベルトへと引き上げられた。 

(中略) 

それでもまだ帰還したがらない避難者(避難者16万人のおよそ3分の1)を「説得」しようと、2017年3月31日、日本政府は[自主避難民に対する]住宅無償提供を打ち切った。彼らはこの支援のおかげで汚染地域の外で暮らせていたが、それが打ち切られたのだ。その結果、成人男女・子供合わせて約2万7000人が帰還を余儀なくされている。 

 その他の戦略はもっと陰険だ。そのことは、被災者に呼びかけられた“レジリエンス[訳注3]”という言葉が証明している。「福島エートス・プログラム」は、住民たちに、汚染された場所でどうやって暮らすかを指南した。同じ目的の学校用マニュアルが配布され、汚染地域でとれた生鮮食品の販売を促進し、まだ証明されていない除染の有効性を訴えるためのテレビ・キャンペーンが行われた(8)。このキャンペーンの推進者によれば、地元住民にとって「放射能恐怖症」、あるいは故郷喪失による心の痛みに起因するストレスに比べれば、放射能で汚染された環境そのものは有害ではないという(9)

以下は、飯舘村のある村民の証言だ。「人は大丈夫だと言う。危険区域にさえ行かなければいいと! 山にも行けないし、川にも近寄れない。右にも左にも行かれない……。ここでどうやって生きて行けというんだ?(10)」。2018年3月3日付の福島民報は、あの悲劇以来、2211人が自殺したり、介護や医薬品の不足のせいで亡くなったと指摘し、悲惨な生活環境を伝えている。
 

 2017年9月22日、裁判で東電に対し福島原発事故の賠償責任を認める判決が出た[訳注4]。だが、国は責任を免れた。これで政府は「原子力による真の被害に国民が気づかない」ように虚偽の情報を流すことができるようになっていくだろう、と浅沼=ブリス・セシルは断言する。 

人体が許容できる線量の基準値に対する疑問と混乱を広めることを狙った説得手法、その中心に据えられているのが「無知の生産」だ。政府と原発推進派は影響力を増している。 

(後略) 

翻訳者の方の注意書きも参考にして、全文リンクからお読みください。 

さて、本文にでてくる、「福島エートス・プログラム」について私は知らなかったので調べてみました。 

ETHOS IN FUKUSHIMA
http://ethos-fukushima.blogspot.com/ 

日本語より英語が先。

海外に向けた発信・・・と思ったら、IAEAやWHOのために日本財団が後援している団体の一つのよう・・に思えます。

日本財団
福島ダイアログ 7年で20回
チェルノブイリの教訓など共有
ICRP主導・貴重な経験・知識蓄積
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/1158

ICRP(国際放射線防御委員会)はウィキペディアから。

ウィキペディア
国際放射線防御委員会
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%98%B2%E8%AD%B7%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

国際放射線防護委員会(こくさいほうしゃせんぼうごいいんかい、英: International Commission on Radiological Protection、ICRP)は、専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織である。ICRPはイギリスの非営利団体(NPO)として公認の慈善団体であり、科学事務局の所在地はカナダのオタワに設けられている。 助成金の拠出機関は、国際原子力機関や経済協力開発機構原子力機関などの原子力機関をはじめ、世界保健機構、ISRや国際放射線防護学会(International Radiation Protection Association; IRPA)などの放射線防護に関する学会、イギリス、アメリカ、欧州共同体、スウェーデン、日本、アルゼンチン、カナダなどの各国内にある機関からなされている。

「慈善団体」!?

2011年5月28日のJBpressの記事に、医師である上昌広氏(東京財団のフェローでもあり)の、

「非情に貴重なデータなのだから、欲しいなら高いお金を取って買ってもらえばいい。被災者のためです。そのお金の一部で福島を再生させるのです。原子力に関する国際会議などは、必ず福島県で開くようにする。世界中のお金と頭脳を福島県に集めるのです。」

という意見が書かれていました。

彼(彼ら)の目的の一つ、「国際会議を福島で開く」は小規模ながら達成できたようです。

福島のデータは政府や大学が、日本財団などに支援された団体によって集めていることでしょうが、それを今「売っている」のかはわかりません。

売っていたとして、それは福島の被災者の元に届いているのか。
たとえ、被災者の元に届いていたとしても、それが自分達や自分の家族たちがモルモットとなる代償としてのものだったら・・・彼らはどう思うでしょうか。

参考: 

フクシマと日本財団
https://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/a76c0569461ff1ece4a7c8afbaf072ee

上昌広氏と福島
https://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/105cd9498437fdcf113a76318bfec3a6

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