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フランス映画『ミナ』とユダヤ人-5(タイトルが『ミナ』の理由は?)

2024年06月27日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

1994年にとられた映画『ミナ』は、戦後生まれの欧州で育ったユダヤ人たちにとっては、とても刺さる映画であると思います。

二人の主人公ミナとエテル。なぜ題名が二人の名前でなく、『ミナ』、原題は『Mina Tannengaum』というミナのフルネイムなのでしょうか?

ミナとエテルは「ユダヤ人」であることに拘る母たちに反抗しますが、その反抗は、エテルよりミナの方が強いです。

彼女が学生のころ、友達と一緒にドイツ人と出かけると電話で話しているのを知ったとき、憎悪を見せる母親に向かって嫌悪感を爆発させます。
エテルの方は、母親がユダヤ人に拘ることに辟易するだけで、うまくかわしていきます。

エテルの母親は「被害者ユダヤ人」ではなく「勝ち組ユダヤ人」-なので、ユダヤ人だろうが非ユダヤ人的ユダヤ人であろうとあまり彼女の人生を変えるものではないです。

宗教に関係なく、エテルは子供のころのバレエ教室でも、他の生徒と同じレオタードとチュチュでレッスンをしますが、それに対し、皆のレオタードと同じブルーのポロシャツに紺のスカートorキュロットを着てレッスンを受けるミナ。

流行っているからと言って、富裕層が行くようなバレエ教室に嫌がるミナを行かせようとするミナの母親は、ミナの独特の感性を生かすことなく、不器用なものへと変えていったと思います。

もし、ミナの母親が強制収容所の生き残りでなく、ユダヤ人でなかったとしたら、この状況で子供をバレエに通わせたのでしょうか?(「貧しくとも、踊り子や芸術家ならユダヤ人でも出世できる」という考えが、ミナの母親にあったかもしれません。)

ミナの方の母親はおそらく強制収容所体験者か、親族をホロコーストで亡くしたユダヤ人。エテルのような、勝ち組ユダヤ人の親を持ったユダヤ人と違って、戦後生まれのユダヤ人たちには多かれ少なかれ、ミナのような経験をしてきた人はいたのでは?

ユダヤ人というと戦争の悲劇が主題になりますが、2世自身のことを主題にした欧州映画は90年代は覚えていません。

 

仮置き:

Mina Tannenbaum (1994) - IMDb

Martine Dugowson - Biography - IMDb

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