連合赤軍事件とオウム真理教事件は、私にとって気になる事件なので、何冊かの本を読んだ。
朝山実『アフター・ザ・レッド』は最近読んだ本。
連合赤軍に関わった前澤虎義、加藤倫教、植垣康博、雪野建作の4人へのインタビュー。
なぜ仲間をリンチして殺したのか、私がその場にいたらどうしただろうか、ということを考えていたので、リンチ事件に関わった3氏の話は興味深かった。
だけど、ますますわからなくなった。
前澤虎義さん
朝山「総括のときには殴ったりはしたんですね」
前澤「しました。絶対命令の雰囲気があったのと、正直腹も立つんだよね
彼らは半ば、誘導尋問にひっかかって、あれやりました、これやりましたと言わされるんだけど。聞いていると、みんなが一生懸命やっているときに、なにやってんだコイツラはというのもあるんですよ。永田や坂口から求められているものを言い出すんだよね。それで、なんかわけわからないうちに、自分が仲間を殴るということにも腹が立つし。なにやってんだオマエらはというのもあるしで、ともかく腹が立つんですよね」
二度目のインタビュー。
朝山「なんだか、不条理なシゴキみたいですよね」
前澤「それは違うんじゃないのと納得できずにいるんだけど、ただ感情的なものもあって。(略)
言ってみればフラストレーションがたまっているところに、つまんない問題を出されるとイライラッとくるわけですよ。総括しろと言われているのに、その夜に、こっそりキスしたとか、オッパイもんでいたとか。『あんたたち、こういうことを許していいの』と言われると、『このヤロウ、何やってんだ。おまえのせいで、肝心のことが先延ばしになるじゃないか』と。
被総括者というか、やられたひとに対する怒りはあったんだよね。
それで、一人目が死んだあとも、二人目、三人目と同じように追及されて、同じような答え方をする。なんで一人目のときに、そんな答え方したらダメだっていうのがわかんねぇのかというのもあるし。共産主義化がどうのじゃなくて、こんなときに何やってんだよ、というのがあったと思う」
植垣康博さん
朝山「なぜ仲間を次々と死に至らしめるあのような展開になったのか、わからないんです」
植垣「それはねぇ、山の総括について、追い詰められて内部で殺し合いをやっちゃったという、よくそういうふうに言われるんだけども、僕は、あれは森さんにとっての一つの挑戦だったと思うんです。新しい闘いを切り開くための」
新しい闘いを切り開くために仲間を殺して、それからどうするつもりだったのだろう。
連合赤軍の指導者は森恒夫と永田洋子だった。
森恒夫には異論や反論をすることができない状況だったと、前澤虎義氏は言う。
前澤「森が話をするときは、とうとうとしていて、有無を言わせずみたいにして圧倒されるところはありましたね」
植垣康博氏も同じことを言っている。
朝山「最高指導者が、みんなを前にして指示したものに対して、公然と異論を挟むというのは、できづらい環境にあったということですか?」
植垣「ほとんどできなかったね。山には入ってからは、直接森さんが指示するようになって、俺たちはまったくペイペイの兵隊扱いになってしまったから、僕がどうしようとしまいと状況は変わらなかった」
赤軍派では指導部は雑用はしなかった。
植垣康博氏たちがご飯を作ったり、生活の面倒をみていた。
山に入っても、道を造ったり小屋を建てたりといった作業も森恒夫はしなかった。
加藤倫教さんはお兄さんがリンチで殺されている。
「正直、真っ白。わからないですね。政治的な評価の仕方はあるにしても、人間的にどう評価していいのかわからない。僕にとっては、永田さんみたいにわかりやすいひとではなかったですね。(略)言っていることは、トンチンカンなことだし」
「森さんは、いまだによくわからない。頭でっかちの理論派で、外見はいかついお兄さんというくらいで。しかし、ひとによっては臆病なひとだったというひとがいるし」
では、永田洋子はどんな人だったのか。
植垣康博氏はそれなりの評価をしているが、加藤倫教氏は永田洋子に厳しい。
加藤「僕から見たら、あのひとは卑劣なひとにしか思えないんです。個人的な趣味や性格をとりあげて、改めようのないことを反省しろというのは問題だと思うんです」
「永田さんというのは、言動を見ているとわかりやすいひとだったんです。強く導いてくれるひとがいると、それに従おうとする」
私は森恒夫の責任は重大だと思っているのだが、当事者の考えは違うらしい。
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思想の問題というより、心理的な問題かという気がします。
オウム真理教の事件も、広瀬健一『悔悟』を読み、わかったようで、やっぱりわからない部分が残ります。
ユートピアを目指したら、必ずアンチユートピアを生み出してしまうという矛盾。
これは人間の本質に関わるのかもしれません。
人間の歴史を俺が背負っていかなければならないって。今思えば傲慢かも知れない。人民だとかそういうもの自体が幻想なんじゃないかと思うんです。目に見える範囲のひとたちをにこやかにしたり、一緒にいる時間を愉しくしたりするほうが確かなことだと。
おっしゃる通り!連合赤軍になんて関わり合いたくない!仲間なんぞと思わない!!
https://www.youtube.com/watch?v=LFg3OEufDVU
しかし、1969年の衆議院選では自民党が追加公認を含めて300議席を獲得、得票率も50%を越えています。
国民の多くは大学紛争、ベトナム反戦、公害問題に不安を感じ、変化を望まず、現状を守りたかったんでしょうね。
そして、そこを目指して突き進んでいた純粋な人たちがいた。
楽園を信じる人やマスコミはこぞってそういう思想を賛美した。
あの時代、私もそういう思想の人が書いた本を読んだのですが、書いてあることは全て同じ・・・・
「であるから共産主義社会ができるのである」「だから共産主義社会になるのである」なんですよね。
で、そこへ行きつく内容が全て同じ、何がどうなって、こうなって・・・・で革命が達成される・・・と。
どの本も「風が吹けばおけ屋が儲かる」と書いてあったのです。
そこに書かれていたのはほんとうに薄っぺらな夢物語、二十代の若い私でもあきれるくらいの実現不可能な希望だけのお話だったのです。
願わくば、あれを書いた君達よ
どうか『単に金儲け、資金稼ぎでやったのさ』と言ってくれ給え。
でなければ、あまりにも悲しい。
君達は、ただの時代の犠牲者にすぎなくなってしまうのだ。