古谷経衡さんへのインタビューが永江朗『私は本屋が好きでした』にあり、これが面白い。
ネット右翼はなぜ反米に向かわないのかという質問の答え。
在日特権という幻想はどこで生まれたのかという質問の答え。
そもそもネット右翼には西日本のことがわからない。関東ですから。ネット右翼が東京と神奈川に集中しているのは、本当のことを知らないからです。在日コリアンのことものこともなにも知らない。なにも知らない東京の中産階級がネット右翼の主体なんです。(略)
ネット右翼の人たちは驚くほど西日本のことをしらないですよね。逆にいうと、ネット右翼って西日本にはあんまりいないんですよ。だって、言っていることが嘘だってわかっているから(略)
ネット右翼というのは首都圏の中産階級、あるていど時間とお金に余裕のあるサラリーマンとか主婦とかが多い。初めてネットで在日特権なんていう言説に触れてカルチャーショックを受ける。在日コリアンと触れあったこともないし、身近に朝鮮学校も存在しないし、地区も存在しないというところで育つと、「やっぱりなんかあるんじゃないか」と思う人もいる。
日本礼賛本、自画自賛本について。
いまはどう見ても衰退しているので、自国を賛美しないといけない。(略)
誇らなければいけないというのは、どこかに後ろめたさがあるからでしょうね。日本が衰退していくという数字がありますから。
日本は素晴らしいという日本礼賛本はヘイト本の裏返しで、日本礼賛本が売れるのは日本の状況が悪いから。
林真理子さんのセウォル号沈没事故を受けての言葉(日本人賛美)が武田砂鉄『紋切型社会』に、引用されています。
このように日本人を礼賛していますが、ソ連が満州に侵攻すると関東軍が逃げ出したり、部下を置いて逃亡した中将がいたりします。
ちなみに、安倍首相が立ち上げた日中歴史共同研究で、南京事件について日本側座長の北岡伸一東大教授は「虐殺があり、基本的な責任が日本側にあった」ことは日本側も認めています。
https://www.afpbb.com/articles/-/2677989
古谷経衡さんによると、ネトウヨの中心層は40代で、ヘイト本読者は70歳前後。
ネトウヨは知性に劣り、自分で考えることができず、書物を読みこなすことができないから、ヘイト本も読んではおらず、わかりやすい右派の言説に寄生する。
永江朗さんは、ヘイト本を買う客は中高年の男性が多く、50代以上、あるいは30代以上で、知識層は少なくないが、学生はヘイト本にほとんど関心を持っていないと書いています。
しかし、安田浩一さんが高校生や大学生に講演した感想ではネトウヨ像はまた違ったものです。
ネットで引用・援用されるロジックをヘイト本が供給している、つまりヘイト本単体としてみるのではなく、その影響を含めて考えなければいけないと安田浩一さんは言う。
満たされない現状を認めることができず、事実に基づかない主張をすることはヘイト本だけの問題ではなく、スピリチュアル本、健康本、疑似科学本、歴史修正主義本なども同じだと思います。
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