某氏が、年を取ると保証人がいないことが大問題だと言って、松原惇子『老後ひとりぼっち』をくれました。
『老後ひとりぼっち』を読み、なるほど、大問題だと納得。
ひとりで生きていく人を困らせる問題は人生の大事な場面、就職する時、家を借りる時、病人に入院する時、介護施設に入る時など、身元を保証する保証人を要求されること。
しかも、その保証人は身内を立てるのが通例だ。
子供がいない人、兄弟とのつき合いが薄い人は保証人になってもらう人を探さないといけない。
どんな場面で保証人を要求されるか
1 家を借りる時に身元保証人を要求される
身元保証と呼ばれるもので、借り手の身元保証と、家賃を滞納した時の支払い保証、死亡時における家財整理、建物の明け渡しの保証を意味する。
民間賃貸住宅では保証人になってくれる人がいなければ借りられない。
家の建て替える間に自分が住む家を借りようとした79歳の男性は、身内(会社勤務でないとダメ)の身元保証人を要求された。
公団住宅は身元保証人は必要なく、預貯金の残高証明書、納税証明書などを求められる。
アメリカでは、通常、家賃の2か月分程度の保証金を支払えば、誰でも借りることができる。
民間でも身元保証人を不要にすべき。
2 介護施設・有料老人ホームに入所する時に身元保証人を要求される
身元保証人がなければ、お金があっても入れない。
3 入院、手術の時に身元保証人・身元引受人を要求される
病院は入院費や医療費の支払い保証、手術や治療に対する同意、死亡時の手続きや身元引受人を保証させたい。
階段から転落し、救急車で搬送されて入院した68歳の女性は、家族の保証人が必要だと言われ、遠方の兄の到着を5時間待ってから手術をした。
2014年に全国603か所の病院・介護施設を対象に実施した「身元保証」に関するアンケート。
「身元保証を求めますか」の質問に対し、「求める」と答えたところは、病院では95.9%。介護施設では91.3%。
「身元保証人が立てられない時は、利用を認めない」と答えたのは、病院では22.6%、介護施設では30.7%。
「保証人が見つからない場合はどうしたらいいのか」という質問に対して、約6割の病院・介護施設が「成年後見人に保証を求める」と回答している。
これは、成年後見人の仕事を理解していない。
成年後見人の仕事は、認知症などにより本人の判断能力が落ちた時からで、頭がしっかりしているうちは後見人は何もできない。
また、弁護士の話によると、東京家庭裁判所からは「病院から身元保証を求められたら、原則的に断りなさい」と指示を受けているということだ。
ずっと以前、子供のない老齢の方が「子供がいて独り暮らしと、子供がいなくて独り暮らしは全然違う」と言われてました。
子供がいないということは、単に寂しいとかだけでなく、病院や施設に入れないということもあるわけです。
身元保証ビジネスといって、家族に代わって身元保証をする法人がある。
サービスは大きく分けて3つある。
1 身元保証人を引き受ける
2 生活支援
急病で緊急搬送された時、通院・退院の時の支援など。
3 葬送支援
死亡届、葬儀、火葬、納骨など、家の片づけ、パソコンデータ消去など。
費用はお願いするサービスにより違うが、最初に100万円ぐらい必要で、その後、預託金として100万~200万円以上が普通らしい。
2016年1月、公益財団法人日本ライフ協会が会員から預かっていた預かり金2億7千万円を流用していたことが発覚、結局破綻した。
日本ライフ協会に身元保証人になってもらい、有料老人ホームに入所していた70代の女性は、日本ライフ協会の破産で、ホームから「1か月以内に別の保証人を立てるように」と勧告され、そしてホームの管理者から「終身保証してあげますから、あなたの全財産をこちらに全部預けなさい」と言われた。
公益財団法人だからと信用していた人も多い。
国の認可責任はないのかと、松原惇子氏は憤っています。
貧困ビジネスならぬ老後ビジネスが横行しているわけです。
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