三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

国旗と国歌

2012年07月19日 | 日記

アメリカでは公立学校の教室に星条旗が掲げられ、生徒は毎朝、国旗に向かって「忠誠の誓い」を述べることになっているそうだ。
そういえば、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『キンダガートン・コップ』で、小学生が国旗への忠誠の誓いを述べるのを誇らしくシュワちゃんが見てるシーンがあった。
人種、民族、宗教、文化の異なる国民を一つにまとめるために国旗が神聖視されているのである。

杉田米行『知っておきたいアメリカ意外史』によると、「星条旗が大きな意味をもつようになった最大の転機は、南北戦争で、南部連合が独自の旗を用いたことである。このため、北部にとって星条旗は、国家統合の重要なシンボルとなったのである」

「忠誠の誓い」は1890年代にバプテスト派の牧師ベラミーが作ったものに、いくつか修正を加えたもの。
1892年、公立学校の生徒が忠誠の誓いを述べたのが始まりらしい。
1898年、ニューヨーク州では公立学校で国旗への敬意を毎日表明することを義務づける「国旗敬意表明法」が定められ、他の州にもこの動きが広まった。

ところが、憲法で信教・思想の自由が保障されている。
国旗への敬意の強制に関する裁判が行われた。
1940年、エホバの証人の信者の子どもが信仰上の理由から学校で国旗への敬礼を拒否したために退学となったのは不当だと、親が訴えた。
連邦裁判所は退学処分は正当だという判断を下した。
ところが、この判決に対する反対論が多く、3年後にはこの判例が覆された。
以降、公立学校で国旗への敬礼や国家への忠誠宣誓を法的に強制することは違憲とされたそうだ。

国旗を燃やすことも大きな問題となっている。
ベトナム反戦デモで国への抗議運動として星条旗を焼かれた。
これに反発して、多くの州で国旗冒涜禁止法が施行された。

1984年、星条旗を冒瀆しながら燃やしたグループがテキサス州法違反で訴追された。
それに対し最高裁は1989年、言論の自由を根拠に州法の違憲判決を下した。
「連邦議会では、国民を一つにまとめていくシンボルである星条旗の神聖さを守るため、圧倒的多数でこの判決を非難する決議案が採択された。さらに1989年10月、星条旗を故意に焼却したり破損したりすることを刑事罰と定めた「国旗保護法」が連邦法として制定された」
ところが、同年、国旗焼却事件が起こり、国旗保護法の合憲性が争われた。
1990年、最高裁は国旗保護法に違憲判決を下した。
2001年の9・11米同時多発テロを受け、下院は2005年6月、国旗冒涜を禁止する憲法修正法案を可決。
しかし、2006年、上院は否決した(67票に1票足りなかった)。

国旗や国歌を聖化するのは国家の危機意識の表れらしい。

大阪の高校卒業式で教職員が「君が代」をきちんと斉唱しているか、唇チェックを指示した校長がいるそうだ。
日本ではアメリカ以上に危機意識が強くなっているということか。
アメリカだったら、校長の指示は違憲だという判決が出そうな気がするけど。

コメント (12)
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