三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ『錯覚の科学』5

2012年05月06日 | 

○可能性の錯覚(自分の中に眠っている大きな能力を簡単な方法で解き放つことができると思い込む)

「可能性の錯覚は、まだ開発されていない認知能力の大きな貯蔵庫が、脳の中に眠っているという思い込みである。自分がそこへ到達する方法を知らないだけで、貯蔵庫は開けられるのを待っている」
「この錯覚には、二つの思い込みが重なっている。一つは、人間の心と頭脳の奥に、幅広い状況に対応する高度な能力が隠れている、という思い込み。もう一つは、この能力は簡単な方法で解き放つことができる、という思い込みだ」
人には隠された能力があるというのはニューエイジ・スピリチュアルの考えの一つ。
そして、お手軽さも特徴の一つ。

可能性の錯覚の例が「胎児や乳幼児にモーツァルトを聞かせると頭がよくなる」ということ。
効果がないと科学的に実証されたのに、4割の人が信じているそうだ(私も4割の一人です)。
逆に、子どもをDVDの前に座らせてクラシック音楽を聞かせることで、親との直接のふれあいが少なくなりかねない。

他には
・催眠術を使うと、証人が事件の細部を正確に思い出せる 61%がイエス
・ふつうの人は、脳の潜在能力を10パーセントしか使っていない 72%
・誰かに頭の後ろをじっと見つめられると、人は見られているのがわかる 65%
・サブリミナル効果のあるメッセージが隠された広告は、人の購買欲をかきたてる 76%

脳トレはボケ防止にはならない。
「脳を直接鍛える方法よりも体を鍛える方法(とくに有酸素運動)のほうが、効果がありそうだ」
週に数回、適度な速さで30分以上歩くだけで健康な脳が維持されるとのこと。

○おわり

人間は自分の能力や可能性を過大評価する。
そして、実際以上に世界のことがわかっていると思っている。
「この日常的な錯覚は、私たちの思考パターンに、広く深く浸透している」
ところが「自分の見落としやもの忘れ、頭の悪さや知識のなさを過大に評価することはない」

妻に「見えないゴリラ」のビデオを見せたあと、ゴリラは見なかったかと聞いたら、「ボールをパスする回数を数えていたからね」とあっさりしたものである。
「私たちは好成績を収めれば自分が優秀だからだと思い、失敗すれば「調子が悪かった」「ついていなかった」と考え、条件が悪すぎたと自分に言いきかせ、これらの言い訳を打ち消す証拠を無視しようとする」

以下の錯覚に要注意。
・自分は十分注意を行き届かせることができる。
・自分の記憶は詳細で正確だ。
・自分はものごとをよく知っている。
・自信にあふれる人は能力がある。
・偶然や相関関係には因果関係がある。
・自分の脳には大きな可能性が眠っていて簡単に解き放つことができる。
そして、直感は当てにならない。

知人は軽いウツのほうが物事がよく見えると言ってた。
「うつに苦しむ人たちは、自分を楽観視せず、マイナスに評価しがちである。そのため、自分と周囲との関係を、より正確に捉えている可能性もある」
私の経験からも、躁の時は用心したほうがいいと思います。

コメント (4)
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