三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ジョナサン・レヴィン『50/50 フィフティ・フィフティ』

2011年12月22日 | 映画

サロンシネマで、難病や死をテーマにした映画が続けて上映されている。
重い話はみんないやがるものだが、なぜか映画やテレビドラマにはこの手の話が多い。
娘に言わせると「ケイタイ小説は必ず死ぬ」そうだし。

ジョナサン・レヴィン『50/50』は、27歳の主人公が五年生存率50%のガンになるというお話。
評価が高いので見に行ったが、どうもイマイチでした。
なぜかというと、セラピーの部分が気に入らないので。

主人公が担当医からセラピーを勧められ、女セラピストに会う最初のシーンで、二人が恋人になることがすぐにわかる。
先の展開が読めるのは白ける。

で、このセラピストがちょっとなあ、という女。
新米で、主人公が3人目ということもあるのだが、マニュアルどおりの応対をする。
ガン患者の気持ちはこうなんだという先入観見え見えの、「あなたの気持ち、わかりますよ。なんでも話してくださいね」みたいな言い方、接し方をして、ズケズケと心の中に入ってくる。
ガンの宣告を受けてすぐなのに、そんな応対をされると、私ならもう二度と行くもんかと腹を立てる。
そして、何回目かのセラピーの時に主人公が怒りの感情を話すと、「あなたは怒りの時期に入ったんだ。問題ない」というようなことを言う。
自分の気持ちを、「それはこういうことなんですよ」と、さも知ったらしく解釈されて喜ぶ人間がいるんだろうか。



さらには、セラピストが主人公を家まで送ってくれるのだが、車の中はゴミだらけで、夕食(たぶんピザ)がゴミの中に埋もれているというお粗末。
これじゃカレにふられたばかりというのもわかる。
主人公は几帳面な性格だから、こんな自堕落女との相性はゼロとしか思えない。

セラピスト役のアナ・ケンドリックという女優さん、『マイレージ、マイライフ 』でもドジだけれども憎めないキャラを演じていた。
アメリカ人はこういう女が好みなのだろうか。

日本とは違うなと思ったこと。
主人公は抗ガン剤では効果がなかったので、「手術しかない」と担当医が説明し、そして「木曜日なら手術ができます」と言う。
えらく急な話ではある。
手術の前日は自宅で過ごすのにも驚いた。
そして手術が終わると、すぐに家族や友だちと話をする。
日本なら手術の前日は入院しているし、私の場合、全身麻酔で手術した当日はずっと寝てて、人と話をする気にもなれなかった。
ま、映画だから、アメリカの手術事情が実際のところどうなのかはわからないが。

それと気になったのが、治療費のこと。
主人公は公共ラジオ局に勤めていて、火山のドキュメンタリーを作っている。(ラジオでですよ)
保険に入っているにしても、治療費やセラピー代を保健で全額まかなえたのか。
そこらがちょっと気になりました。

私としてはジョン・キャメロン・ミッチェル『ラビット・ホール』がおススメ。

コメント (1)
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