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三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

竹中労『聞書・庶民烈伝 牧口常三郎とその時代』3

2011年12月08日 | 問題のある考え

竹中労『聞書・庶民烈伝』を読むと、創価学会へ入信の動機は病気が多いようだ。

金子さん「入信のきっかけは、行商して雨宿りをした家で、名古屋さんというんですが、声をかけられたんです。『大白蓮華』を見せてくれたり、病気が治るの一点張りなんです」

山口さん「昭和二十八年に島に帰ってきてみたら、女房が入信しとった。これが四人目の産後の肥立ちが悪かったので、ひどい病気持ちなんです。夏でも足袋をはいて、えりまき巻かなきゃ寒気がして寝られない。
……ポッと入信したら、ポッとそれが治っちゃったと言うんですな、鼻唄まじりで働いている」

永野さんも。
「退官してから親父は、日蓮宗に凝りまして、朝から晩までドンツクドンとやっておりました。ハイ、身延です。戦時中はとりわけて狂信的で、私もその影響をうけていましたが、真剣に考えたことはなかった。だが、身延に何の功徳もない、と言う事実は私の一家の運命がまさに証明しているわけで、いわゆる〝日蓮宗〟、これと大聖人の教えがひとかけらの関係もないことは、教えられずとも判っていました。そんなニセ信仰で、不幸が救えると思いこんでいた父が哀れでしてねえ、信仰の動機になったのです」
入信すると、永野さんの給料は倍になる。
竹中「功徳がありました、ね」
永野「ええ、たちどころにでした」
竹中「人生、楽しくなったでしょう」
ところが、そう簡単にはいかない。
永野「何をやっても、楽しくてしょうがない。これで、宿業は切れた、と思いましたがまだ終わらなかった……」
入信して一年目に妻が病気になり、医者に見放される。
必死で題目をあげ、ご本尊にお願いすると、奇跡的に奥さんは助かり、もとのように元気になる。
「宿業が切れた」という教え、オウム真理教で言う「カルマの浄化」と同じではなかろうか。

あるいは伊藤夫妻。
キヨ子「うちは真言宗で、肉親の縁がとても薄いのね。父親が亡くなったのが三十二、女きょうだい二人なんですが、姉のつれあいは二十三のとき、やっぱり父親を亡くして、自分も三十二の若さで死にました。三代持たない、と言われました。私の前のつれあいはもっと若くって二十九でしょ、お葬式を出したお寺の坊さんが、そのときの二つの娘を見て、「同じ運命をたどらなければいいけど」って。もう弱虫ですからね、気になって気になって、脱殻(ぬけがら)みたいになって。
私自身、胸もやられてましたし。ただ娘だけは、そんな運命をたどらせちゃいけないって。でも、考えてみると、変えられないから運命と言うんですよね」
竹中「いや、変えられるでしょう?」
キヨ子「ええそれが、信心してやっと判ったんです」
キヨ子さんのご主人のお話。
良雄「下男坊をしておった家へ、ご恩返しに折伏に行ったらこれがお光様でね、
まずどうにもならなかった。ともかく正法に反対する人は・滅びていくわけで、折伏しきらなかったことを私は反省しておるわけですが、ほんまに死に絶えてしまった」
斉藤「そうなんだ、このへんは真言が多いんですよ。不景気の最中に、一消えてなくなったのもある。まあ明るくないんだわね、命の根本が」

たしかに会員の方はみなさん明るく他宗派の非難をされている。
だけど、宿業と脅し、病気治しのアメを与えているにすぎない。
邪教を信じたから死んだんだとバカにする人の感性を疑う。
でも、竹中労氏は「いいお話を有難う、小木がしみじみと好きになりました」と言って、座談は終わる。

あるいは、勤め先の小学校校長を折伏しようしたら転任された辻武寿さん。
「相手は、死んじゃいましたからね」
竹中「はあ!?」
小泉「校長ですよ,小田倉さん。辻さんと原島さんが参議院議員になった直後に,電話ボックスの中でね、電話をかけてて脳溢血かなんかで倒れたと聞いた。気の毒だけど,宿業には勝てなかったんだなやはり」
左遷されても、辻さんたちは転任先の学校でどんどん折伏している。

もっとも、原島宏治氏も自宅で急性心筋梗塞を起こして、1964年に55歳で死去している。
辻武寿氏が入信して小田倉校長とぶつかったのが1940年、参議院議員になったのが1956年だから、小田倉校長が死んだのは16年後である。
小田倉氏はたぶん原島氏より長生きしたと思う。
おまけに原島宏治氏の息子が、創価学会の教学部長を勤めたが、池田大作批判をして除名された原島嵩氏なのだが。

宮城師は「仏教においては、信心があろうと信じまいと、その人の死に方も、死んでからどうなるのかということも変わりはないのです」と話している。
死に方によって信心があるとかないとか言う宗教はアヤシイと考えていいと思う。

コメント
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