三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

「べてるの家の当事者研究について」2

2011年10月01日 | 日記

「べてる楽会in広島」は申し込み先着500人で、そんなに人が来るのだろうかと思ってたら、会場は満員だった。
通常、申し込みをしていても実際に来る人は7~8割だという話だが、ほとんどの人が来たことになる。

私はというと、13時から開演だったのに、13時半だと思い込んでいた。
私もぱぴぷぺぽ状態でした。
席はほとんど埋まっていて、スタッフの方が空席に案内してくれて座ることができました。
感謝。

向谷地生良氏とべてるの家のメンバー3人のトーク、そして広島の当事者3人の当事者研究。
自分の病気によって生じる問題や課題をテーマとして研究し、発表し、仲間と一緒に考えていく、という当事者研究の一端を知ることができた。

私は講演を聴くと、すぐに眠たくなるのだが、今回は1時半から5時までちゃんと起きてました。
なぜかというと、聞いていて飽きないから。
当事者研究の理念の一つは「にもかかわらず笑うこと―ユーモアの大切さ」ということで、いくらでも暗く、重たくなる話なのに、会場には笑いが絶えない。
それは進行役の向谷地生良氏の話の引き出し方、受け答え方のうまさが大きい。
それと早坂さんのキャラ。
向谷地氏「大事にしてきたのは笑うということ」

なるほどなと思ったことをいくつか。
早坂さんは40回も入院している。
なぜ何度も入院するのか?

 今が充実しない
   ↓
 人生が物足りない、つまらない
   ↓
 病気になって入院
   ↓
 看護師さんにかまってもらえる

具合が悪くなったときは、人に甘えたいとき。
人にかまってもらいたい、面倒をみてもらいたいわけです。
病院が最後の癒しの場となっているということでした。

ある方の自己分析。

 人からよく思われたい
 人に嫌われたくない
   ↓
 いつもニコニコ
 反論しない
 常に「ハイ」と答える
 和を保つ

学校の教師が子どもたちに「こんな人になりなさい」と諭すような方である。
ところが、その人は、

 人に弱みを見せられない
   ↓
 自分の中でため込んで倒れる
   ↓
 その結果、入院30回

最近、こういう全力疾走型の人が増えているそうだ。
自分じゃブレーキをかけられない。
で、病気がブレーキとなる。

あるいは、こんな人が多い。

 小中学校のころにいじめられた
   ↓
 友だちは一人もいない
   ↓
 人間不信、人との関わりは不要

あるいは

 「イヤだったこと」
 「つらかったこと」
 「失敗したこと」などが、ふっと頭によみがえってくる
 しかし、いいことは思いだせない
   ↓誤作動
 「みんなに嫌われている」
 「人に受け入れられていない」
 「相手にされていない」
 「ひとりぼっちだ」と思い込む

つまり、「お客さん」ですね。
そういう時にはどうしたらいいか。

 誤作動だと気づく
   ↓
 他の人にそのことを伝える

それをべてるのメンバーが舞台で実演した。
亀井さんが自転車でべてるの家に行こうとしていると、そこに「みんなが嫌ってるぞ」という、伊藤さん演じる「幻聴さん」が聞こえてくる。
以前だったら、亀井さんはそこで家に帰るのだが、べてるの仲間に話すことで、「幻聴さん」だったんだとわかる。
「研究は頭でしない。身体でする」

このように、お互いが自分の弱さを仲間に話すことで、「自分もそういうことがある」と共通点を見出す。
そして、みんなが応援してくれる。
吉田さん「一人だとつらすぎることでも、みんなに話すと笑えて、肩の力が抜ける」
「みんなで戦えば無敵だ」

当事者研究をしたからといって、やってもやっても現実は変わらない。
現実は変わらないけれども、やってるうちにだんだん楽になるらしい。
亀井さん「苦労は棚上げすると楽」
「病気は治すより活かす」

質疑応答のとき、子どもが統合失調症で長年苦労したという方が『見上げてごらん夜の星を』を歌われた。
不覚ではあるが、目頭が熱くなった。

気になるのが、発表をされた方々は、家に帰って落ち込まないだろうか、ということ。
というのも、アルコール依存症の人に話をしてもらったことああるが、その人はスリップしてしまった。

それと、べてるの家では自死する人がいるのだろうかということ。
というのも、想田和弘『精神』のクレジットが終わった後、撮影後に3人が亡くなったと出る。
そのうち2人は自ら命を断っているそうだ。
べてるの家でも希死念慮がある人がいるそうだけど。

コメント
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