三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

チベット密教とオウム真理教 2

2010年06月06日 | 問題のある考え

島薗進『現代宗教の可能性 オウム真理教と暴力』によると、オウム真理教はヒンドゥー教やインド後期密教の論理を土台としている。
オウム真理教で説かれるヴァジラヤーナには性的ヨーガと同じようなものがある。
『ヴァジラヤーナコース 教学システム読本』に、タントラヤーナは「わたしたちの最も低い次元のエネルギーの一つである性エネルギーを上昇させるための修行である」とあり、セックスによる修行を含意していると島薗進氏は指摘する。
そして、麻原彰晃『超能力「秘密の開発法」』には、「タントラ」「左道」「房中術」による「幽体離脱」の能力開発についての解説にこんなことが書かれてあるそうだ。

「▼失敗しないための四つの条件
①相手の選び方
相手となる異性は男性でも女性でも、年下で美しく、気立てがいい人を選ぶようにする。(略)
④その後の処理
次にセックス後の処理であるが、処理した時としない時では違うので、別々に説明しよう。
射精した時は、セックスのあとすぐに眠りに入る。最低六時間寝てから、陽気を巡らせるツァンダリーを行なう。
女性の場合も、男性と同様、ツァンダリーを行なう」

「相手が終わったら、あなたが男性の場合は陰茎をピクピク動かす。女性だったら膣を締め付ける。それと同時に次のことを観想する。
〈男性の場合の観想法〉
相手の女性の性器から分泌された愛液が、赤いエネルギーを発していることを観想する。その赤は、鮮血のような、また炎のような赤である。あなたは、陰茎をピクピクさせながら、赤いエネルギーを陰茎で吸い上げているという気持ちを持たなければならない」

そうして吸い上げたエネルギーをムーラダーラ・チャクラから背骨を通らせて上へあげ、ブラフマ孔へ到達させ、そこでそのエネルギーを蓄えておく。
「それがすんだら時間をおかず、すぐに陰茎をピクピク動かして、エネルギーの移動を繰り返す。全部で三回エネルギーをブラフマ孔に蓄えたら終了する」

島薗進氏は、麻原彰晃がエクスタシーの統御と利用の実践が「解脱と超能力獲得のための、たいへん有効な方法であると考えていた」と説明している。
性的ヨーガは難しくてできそうにもないけど、ピクピクなら今度やってみるかと挑戦する諸兄がいそうである。
房中術、接して漏らさずというあれですが、インド後期密教と関係ありそうに思ったけど、年代的には房中術のほうが先である。
房中術は不老長生が目的だし、性的ヨーガは悟りを得るための手段という違いはあるが、どちらもセックスを修行法にしているわけで、人間の考えることは洋の東西を問わず似たり寄ったりということか。

伊坂幸太郎『重力ピエロ』にこういうセリフがあった。
「人間は賢いからさ、セックスの最中にも自己欺瞞や勘違いばっかりだ。相手を支配しているだとか、辱めているだとか、道徳的であるとか、道徳的でないだとか、余計なことをぐちゃぐちゃ考えるんだ。宗教や神にまで結びつける奴もいる」
どうなんでしょうね。

コメント
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