三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

誇大自己症候群

2010年02月17日 | 

「現実に不適応を引き起こす程に肥大した万能感と他者に対する驕りを特徴とする、この一連の症候群を、「誇大自己症候群」と呼ぶことにする」と、岡田尊司『誇大自己症候群』ではまず定義する。
コフートによると、
「誇大自己とは、自分を神のように万能だと思い、母親らによって、すべての願望が満たされるのを当然のごとく期待する心のありようである」

誇大自己の特徴
1,万能感
2,自己顕示性 絶えず注目と賞賛を欲しがる
3,唯一性 この自分こそが世界の中心であり、唯一無二の特別な存在であるという思い、それゆえに気に入らないものを破壊してもかまわないという驕り
4,他者に対する真の共感性が未発達
5,傷つきやすさ

「誇大自己症候群の人は、人から指図されたり、偉そうに言われるのが許せない」
こういう人にかぎって、人に指図したり偉そうに言ったりするのが好きなんですよね。
そして、現実の満たされなさを他者への攻撃、蔑視によってごまかそうとする。
「自分の不遇を無関係な他人に転嫁して、もっとも弱い存在を破壊することで、自分の万能感を示す」
ネット上にはこんな人がたくさんいそうです。

傷つきやすさということだが、万能川柳「人はみな傷つくほうは敏感だ」という句がある。
「自分の独善性や強引さには目が向かず、むしろ、思い通りにならないことに対してプライドを傷つけられ、辱めを受けたように感じ、激しい怒りや憎しみを覚える」
「些細な傷つきであろうと、膨らんだ思い上がりゆえに、「許せないほどの侮辱」と受け止めてしまうのである」

10年ぐらい前か、最近の人は他人には無神経なくせに妙に傷つきやすい、ということをどこかで読んだが、これは誇大自己のことを言ってたわけで、こういう人は珍しくないわけだ。

どうして傷つきやすいのか。
「誇大自己は自らの万能感が傷つけられたことが許せないのだ。なぜなら、誇大自己そのものが、本当の強さや裏付けのある自信から生まれたものではなく、虐げられたり主体性を奪われたり、挫折や卑屈さを味わった者が、劣等感や弱さや小心をごまかすためにまとった「強がりの仮面」だからである。些細な軽視や非難さえ、彼の劣等感や卑屈さを刺激し、傷つけられ脅かされたと感じ、一層傲慢で、尊大で、権柄づくの反応を引き起こすのである。その瞬間、誇大自己は自分こそが「被害者」だと感じている。被害者だから、不当な攻撃を行った相手に反撃することは正当であり、それをしないことの方が沽券にかかわると思うのである」
岡田尊司氏の身近にこういう人がいるのではと思わせる、具体的な描写です。
もっとも、私の切れやすさもこれなのかもと思うと、いささか不安ではありますが。

まわりの人はどういう応対をするか。
「誇大自己症候群を抱えた人に対して、大抵の場合は、逆らうと面倒だからという理由で、反対意見を控えて相手の言うがままになるか、それをよしとしない者は、袂を分かって、関わりを止めるのが普通である」
たしかに、面倒くさくなって、勝手にしてくれと思ったりする。
納得しているわけではないし、私は執念深い性格だから、あのヤローといつまでも根に持ちますが。
だけど、誇大自己症候群だと思われる人だって、人間関係がまるっきり壊れているというわけではなく、そこそこうまくやってるように思う。
心の広い人が多いなと思う。

(追記)
これらの記事とセットです。
自己愛パーソナリティ障害
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/08f0c3432a10b0699f79b9726f4d62f8
仮想的有能感
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/891f4c2d7029662379fcdcd0048b2650
『ライズ』と『8Mile』
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/960c3449dc5471c38097d4b7ab8bee2b

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