毎度お楽しみの「キネマ旬報」ベストテン、順位と投票した人数との関係はどうなのだろうと、ふと疑問がわいた。
で、調べてみました。
日本映画(選考委員56人) 合計点数 投票数
1位 それでもボクはやってない 323点 43人
2位 天然コケッコー 172 22
3位 しゃべれども しゃべれども 153 25
4位 サッド ヴァケイション 146 21
5位 河童のクゥと夏休み 125 19
6位 サイドカーに犬 118 18
7位 松ヶ根乱射事件 108 19
8位 魂萌え! 106 19
9位 夕凪の街 桜の国 103 17
10位 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 93 16
11位 愛の予感 90 14
12位 叫 69 10
13位 ALWAYS 続・三丁目の夕日 67 12
14位 キサラギ 58 12
15位 殯の森 47 10
16位 めがね 46 8
17位 転々 44 11
18位 サウスバウンド 43 8
19位 東京タワー 42 9
19位 バッテリー 42 7
19位 人が人を愛することのどうしようもなさ 42 6
外国映画(選考委員61人) 合計点数 投票数
1位 長江哀歌 168点 23人
2位 善き人のためのソナタ 141 22
3位 今宵、フィッツジェラルド劇場で 128 20
4位 クィーン 98 17
5位 バベル 91 16
6位 やわらかい手 88 15
7位 ドリームガールズ 83 12
8位 ボルベール<帰郷> 81 15
9位 ゾディアック 71 12
10位 パンズ・ラビリンス 64 9
11位 デス・プルーフinグラインドハウス 63 11
12位 ボーン・アルティメイタム 59 11
13位 グッド・シェパード 56 10
14位 ミリキタニの猫 56 9
15位 ブラックブック 54 10
16位 インランド・エンパイア 53 8
16位 ヘアスプレー 53 8
18位 呉清源 52 8
19位 ONCE ダブリンの街角 48 9
20位 パラダイスナウ 44 8
ちなみに
22位 オフサイド・ガールズ 40 10
27位 タロットカード殺人事件 36 9
日本映画は順位と投票した人数はおおむね関係があるが、外国映画はばらつきが大きく、9人が選んだのに10位と27位と大きく差がついている。
公開される本数が違うのだから比較にはならないのだが、1953年度ベストテンを見ると、
日本映画(選考委員33人)
1位 にごりえ 266点 33人
2位 東京物語 244 33
3位 雨月物語 227 32
4位 煙突の見える場所 207 32
5位 あにいもうと 191 26(1位は6人)
外国映画(選考委員37人)
1位 禁じられた遊び 314点 36人
2位 ライムライト 290 36
3位 探偵物語 277 37
4位 落ちた偶像 182 27
5位 終着駅 152 29
というふうに、昭和20年代は選考委員全員が投票した作品が珍しくなく、何がいい映画か、評価は決まっていた。
だからこそ、「キネマ旬報」ベストテンは権威だったんだろう。
これはいい、これは悪いという価値観が決まっているのはある意味、楽である。
みんながいいという映画だけを見ていればいいのだから。
しかし、1953年に公開された『雨に唄えば』は36位、1点。
評価というのは当てにならないものである。