三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

A・スマナサーラ『死後はどうなるの?』(1)

2006年04月19日 | 問題のある考え

『死後はどうなるの?』の著者スマナサーラ師はスリランカの高僧である。
上座部仏教では死んだらどうなると考えているのか、興味があったので読んでみた。

スマナサーラ師は、輪廻転生はある、という考えである。
その輪廻とは、たとえだとか、六道とは心の状態を表わしているという解釈ではない。
人間が人間に生まれ変わる、だから死んでも死なない、というお気楽な生まれ変わり論でもない。

スマナサーラ師の説く輪廻とは、実際に霊魂が六道を生まれ変わりする。
天に生まれるか、畜生や地獄に堕ちるかわからないから、輪廻は苦しみである。

死んだら輪廻することが事実だという証拠をスマナサーラ師は2つあげている。
1,修行によって過去世を知ることができる人がいること
2,過去世を覚えている子供がいること
なあ~んだと思いました。

過去世を覚えているということについて。

インドではこころを集中して、時空関係を超えてさまざまなものを認識できる能力を獲得した人が大勢いました。(略)居ながらにしてその場所にないものを見たり聞いたりする能力を開発して、認識の次元を伸ばしたのです。現代風に言えば超能力です


修行することによってこうした超能力を得た人々が、人間は死んでもそれで終わるのではないと、自分の体験にもとづいて語っている。

その宗教家の人々は自分の過去を四十劫年まで見るのだと。だいたい過去を見られる長さはそれぐらいまでのようです。


スマナサーラ師の説明だと、一劫とは一つの宇宙ができあがって消える間である。
ビッグバンは130億年前とのことだから、その40倍の約5000億年間の記憶があることになる。

みんなすさまじい修行をして、いろいろな体験を得た人々でした。過去世の話も、単なる思い込みではなく、超越的な体験から発見されたそれなりの証拠に基づいたものであった。

だったら、ビッグバン以前の宇宙はどんなだったのか、恐竜はどうして滅びたのか、未解決の殺人事件の犯人だとか、そういったことはスマナサーラ師のように真剣に修行して超能力をえた宗教家に聞けば教えてもらえるんだろうか。

釈尊が輪廻は苦だと説いているのは超越的な体験をもとにしている。

お釈迦さまは、とことんイヤになったのです。どんな境遇に生まれ変わっても苦しみだけはなくならない。どこまで過去を思い出してみても、輪廻転生はただ苦難の連続だったのです。


催眠術で過去世を思い出す、生まれ変わりしながら霊性の修行をすると主張する飯田史彦氏たちスピリチュアル信者は、そういう修行はしていないだろうから、やはりインチキなのだろうか。

では、何が輪廻するのか、それはこころだ、とスマナサーラ師は言われます。
エネルギー不滅の法則が示すように、物質は消えない。

物質は形が変わったとしても消すことはできません。だから、私が死んでも、この身体は遺体として残る。灰になるなりして、この地球に残るのです。

こころにもエネルギー不滅の法則が当てはまる。
こころは瞬間的に変化していく巨大エネルギーである。

もしこころのエネルギーが地球に留まったら、そのへんにある物質を掴まえて形をとります。私たちのこころのエネルギーが天国に行ったならば天国にあるそれなりの物質を掴まえるのです。犬の身体に入ったならば、その物質をもらって犬になる。死という瞬間にこころが消えたら、どこかで新しいこころが生まれる。必要な物質はその生まれる場所からもらうのです。


「こころから波動を出している」とか「こころのエネルギー」、あるいは量子力学への言及など、どうもニューエイジめいています。

神々について。

経典では、世界にはいろいろ次元があって、人間に認識できない次元にも生命がいると説かれています。神々というのは、そういった異次元に住む生命の一種です。


天の神々も食べ物をとるが、その食べ物は物質ではない。

神々という生命は、あまり物質的エネルギーを摂取しないからです。それよりは主に精神的なエネルギーを摂取して生きているのです。


中国で気功の訓練をする人のなかには、食べることをやめてしまう人々がいる。

そういう人々は物質とは違う形で栄養を摂取しているのです。水ぐらいは飲むのですが、食事をとらなくても身体は痩せないし、体脂肪も減ることもなく、そのままで生きていられる。何もご飯を食べないから、身体も美しくきれいになるのです。食べ物をとると、必然的に物質が体内で腐って汚れを生むのです。

何も食べない人がいるということを本気で信じているとしたら、スマナサーラ師は騙されやすい人だと思う。

コメント (27)
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