三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

山崎貴『ALWAYS 三丁目の夕日』

2005年11月21日 | 映画


『夕焼けの詩』で西岸良平のファンになり、『三丁目の夕日』も「ビッグコミック」連載当初に読んだ私にとって、『ALWAYS』には不満がある。

原作のイメージとは違うから映画がダメだとは言いたくないが、原作の雰囲気を生かしてほしかった。

まず題名の『ALWAYS』、なんで『三丁目の夕日』じゃいけないのだろうか。
そして、冒頭から鈴木オートの社長は怒って女の子を追い回す凶暴な男だし、茶川竜之介(吉岡秀隆はミスキャスト)はヒステリックに騒ぐ。
二人とも感情的すぎて、どうも白けてしまう。
たばこ屋のおばあちゃんも原作とはまるで違う。
漫画では背中を丸めた、いかにもおばあさんなのだが、映画では人の迷惑も顧みずに自転車を乗り回す元気のいいオバサンである。
たばこ屋のおばあちゃんが自転車に乗るようになったわけが、漫画ではちゃんと描かれている。
息子が戦死したおばあちゃんは、新聞配達の少年(この少年の父親も戦死している)が孫のような気がして、自転車を買ってやろうとする。
しかし、少年は大阪に引っ越してしまったので、その自転車を自分で乗るようになったというわけである。



それと、映画で描かれる昭和33年の雰囲気はどうも違うような気がする。

どこがどのように違うかなのだが、たとえば今よりも昭和33年ごろの人は老けていたということがある。
なにせサザエさんの両親は40代だが、それが変だとも思わない時代である。
茶川竜之介とアクマ先生はおそらく50歳ぐらい、たばこ屋のおばあちゃんは60か。
そのころだと、もうまるっきりの老人だが、今は50、60じゃまだまだ若い。
ということで、それぞれの役よりも年の上の俳優が演じたほうがよかったのではないかと思う。
薬師丸ひろ子は1964年生まれの41歳、結婚10年目の鈴木夫婦を演じるにはちょうどいいが、三浦友和(1952年生)はアクマ先生にはまだまだ若い。


人間の顔自体も変わっているのかもしれない。
銀座の通りの向こうに工事中の東京タワーが見えるシーンで、道行く人はおそらく当時のフィルムを使ったのではないかと思う。
そのように感じさせるその人たちの顔立ちや服装、歩き方なのだ。この映画の俳優とは動きが違うので、それも違和感を感じさせる。
もっとも、昭和20年生まれの知り合いが「懐かしかった」と言っていたのだから、昭和30年生まれの私が「あれは違う」と言ったって当てにはならないのだが。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする