百姓通信
自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!
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あなたが握りしめている紙切れには雲が浮いている。雲なしでは、雨は降らない。雨なしでは、木は育たない。木がなくては紙を作ることはできない。雲は、紙の存在には不可欠なのだ。もし雲がなければ、この紙もまた存在することはない。だから、雲と紙は「ともにある」。
この紙をもっと深く見ていくと、そこに太陽の光を見つけることができる。もし太陽の光がなければ、森は育たない。事実、何も育つことはない。わたしたちといえども、太陽の光なしに成長できないのだ。だから、太陽の光もこの紙切れの中にあることを知る。紙と太陽の光は「ともにある」。
もっと、紙を見続けてみよう。すると、そこに木を伐採し、それを紙に変えるために粉砕器に持ち込んだ木樵が見えてくる。そして小麦も。木樵は、毎日のパンを食べなければ存在できない。ゆえに、木樵のパンになった小麦もこの紙きれに入っている。そして、木樵のお父さんとお母さんもその中に入っている。
さらに、深く見てみよう。この中には、わたしたちも入っている。なぜなら、紙を見ているとき、紙はわたしたちの知覚の一部だからだ。
すべてのものが、この紙の中に入っている。時、空間、地球、雨、土壌の中の鉱物、太陽の光、雲、皮、熱。すべてのものが、この紙きれの中にともに存在している。「あること」は「ともにあること」。あなたは、一人では存在することさえできない。あなたは、他のどんなものとも「ともにある」。紙切れは、ゆえに、他のどんなものである。紙切れは、こんなにも薄いものだが、その中に宇宙を宿しているのだ。
「仏の教え ビーイング・ピース ―ほほえみが人を生かす―」ティク・ナット・ハン 中公文庫 より




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