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いなか、の、じけん

2009-12-10 22:46:48 | 読書
『検証 秋田「連続」児童殺人事件』北羽新報社編集局報道部編(無明舎出版)
平成18年4月9日、世界自然遺産として有名な白神山地のふもとの町で、小学生の女の子が溺死体で発見された。警察は「事故死」と断定したが、女の子が行方不明になった当初からビラを作って情報を求めるなどしていた母親の畠山鈴香(33・当時)は「それはおかしい」と猛烈に抗議。そして約1ヵ月後、今度は女の子の2軒隣りに住む小学生の男の子が米代川沿いで遺体で見つかった…。
2人の子どもの殺人容疑で逮捕されたのは畠山鈴香だった。取調べでは自供したものの、裁判では一貫して「娘に殺意を抱いたことはない」と主張。二審で無期懲役の判決を受けた後、最高裁に上告していたが平成21年5月18日、それを取り下げ、刑が確定。事件の真相には、今も多くの謎が残る。また当地では鈴香の逮捕後にマスコミや野次馬が殺到し、子どもたちがショックを受けるなど二次被害も起こっていた。その状況下でも事件直後から丁寧な取材活動を続けてきた地元紙(能代市)による渾身のルポが1冊の単行本としてまとまった。不可解な事件の核心へ、鈴香の心の深部にまで迫ろうとする、雪国の小さな新聞社の勇気ある挑戦!



オラ昼ごろ起きるので、一日三食といっても昼食・夕食・夜食となります。夜食はほぼ毎日自炊するが、夕食は週のうち外食4:自炊3くらい、昼食はランチへ出るか果物1コとかパン1コで済ませることも。
自炊する食材などは午後3時~5時くらいにスーパーへ買い出しに。その時間帯のスーパーマーケットは汚ばはんの世界。彼女たちはただでさえあつかましいが、そうした時間のそうした場所ではますますずうずうしく振る舞う。売り場でカートを陳列棚にべた~~っとくっつけて品定め。オラ商品に近寄れないだ。買い物が済んで商品をポリ袋などへ詰めた後も、カートやカゴを所定の場所へ戻さない汚ばはんとかな。
レジがまたやっかい。会計が済んで、いくらいくらになります、って言われてんのに「あッッ」とか言って買い忘れた野菜とか取りに行く汚ばはん。小銭を受けるところへ1円玉とか5円玉とか50枚くらいじゃらじゃら乗っける汚ばはん。後ろへ並んでる者のことなどいっさい考えない。特段急いでるわけではないがイラッと来るだ。とび蹴りくらわしたくなるが、そういった汚ばはんは文字通り汚れている。ブスで貧乏そうで。蹴ったり怒鳴ったりしようもんなら、こちらにまで貧乏が感染りかねない。リアル『闇金ウシジマくん』のみなさんだと思って、見ないふり、関係ないふりするだ。
貧乏人たちは、ゆえあって貧乏なのだ。因果がめぐって貧乏。
この本の「畠山鈴香」という女にも、以前の浅い報道からだけでも、がんじがらめにからみ合った因果因縁を感じていた。彼女だけのせいではない。死刑が求刑されて無期懲役となったが、彼女を死刑にして済む話ではない。
鈴香は小学校のころから「ばい菌・心霊写真」などと呼ばれていじめられたといい、不良グループに近づこうとしても相手にされずパシリ的存在にとどまっていたという。高校の卒業文集の寄せ書きでは、彼女に対して「いままでいじめられた分、強くなったべ、俺達にかんしゃしなさい」だの「秋田の土は二度とふむんじゃねえぞ」だのひどいことが書かれている。
家へ帰っても専制君主的な父親から虐待を受けることもあったとか。都会でしたらクラス替えや進学で環境の変化もあるかもしれないが、閉鎖的な地方都市でそれがずっと続くとしたら。
卒業後にいったん栃木県・鬼怒川温泉のホテルで働くが、すぐに辞めて実家へ戻る。そうするうち男ができて駆け落ち同然で鬼怒川へ出るが、また戻って結婚。長女・彩香ちゃんを産むが家事はろくにせず、借金をこしらえて離婚。育児能力がまったくないのに「意地のようなもの」で彩香ちゃんの親権を取る。
パチンコ店などの仕事も長続きせず、平成15年からは生活保護を受けるようになり、使わないからとプロパンガスも止め、うつ病で睡眠薬を処方されて昼まで眠る引きこもりのような暮らし。
近所の人は「起こすなって言ったべ!!」と鈴香が彩香ちゃんを怒鳴る声も耳にしていたくらいで、かわいそうなのは彩香ちゃん。朝食も食べさせてもらえず、風呂にも入れてもらえず、どこかの男が鈴香の体を求めにやって来ると、お外に出されてじっと待っていたという。
鈴香が9歳の彩香ちゃんを橋上で突き落としたのかどうか、それは咄嗟の思いつきか計画的なものか、そしてご近所の米山豪憲くん(7つ)を自宅に招き入れて絞殺したのについても、真実はどこにあるのか、それは本書を読んでもはっきりするわけではない。鈴香は今も「記憶が断片的」などとして語ろうとしないし、検察側のまとめた筋書き、弁護側の弁護する筋書きはむしろはっきりし過ぎていて真相から遠ざかっているようにも思われる。
そのくらい、長きにわたって心を殺されてきた人間のとる行動は支離滅裂でわけがわからない。多くの悪意を受けてきた。それにあらがう術を知らなかった。だからといって自分より弱い者を手にかけることが正当化されるわけではないが、過去の人生で彼女を悪意のはけ口にしてきた者たちも心の裁きを受ける必要がないのか、人の世の不条理になんとも座りのよくない気持ちがする。
なんでも今の学校のいじめは鈴香みたいな特定の被害者というんじゃなく、ローテーションでいじめの標的が移っていったりするとかも聞く。いじめを避けて生き抜くのもむずかしそう。
そうした世相を招き寄せたのには、本や電波を、いわゆるマスコミを通して暴言を吐いたり、あまつさえいじめをショーアップして見せたりする、悪意を世の中に蔓延させたうえ結果責任を負わないで自分たちだけは儲ける人びとなんかもずいぶん貢献したように思います。

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