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15 Best Milton Nascimento Songs

2021-02-09 20:30:28 | 音楽
買った本はたいていすぐに読まずツン読になるがいちおうパラパラ拾い読みしてみて即座にこれぞという決定的な記述を目にしていつか必ずゆっくり読むぞと思う場合も。そのいつかがなかなか来ないからツン読なんですが。

「第二次大戦後、世界秩序の主導権は(イギリスから)完全にアメリカのものとなり、米国がすぐに行ったのは地球規模の官僚制度を設立することであった=国際通貨基金・世界銀行・GATT(のちWTO)。イギリスは侵略と貿易に熱心であったがこのような試みはしていない。アメリカ人は概して自分たちが官僚制にとても向いているという事実に困惑を覚えるようだ。自国のセルフイメージ(自由と個人主義の国という)にふさわしくないから。米国が根っからの官僚制社会であることが見逃されやすいのは、官僚制的な習慣や感性のほとんどが=衣服や言語やオフィスの様式に至るまで=民間セクターから生まれてきたため」といったデビッド・グレーバー『官僚制のユートピア』の序盤の記述がまさに該当。こういう本を読みたい。人生の一冊になりうる。

役人はおもに文書・記録の形で行政システムを維持し国民を管理する。音楽でいえばレコードやCD、その売り上げチャート、音楽評論など行う雑誌やサイト、そしてiTunesのような管理ソフトやSpotifyのような定額配信サービス。それらは分類や序列が欠かせない。役人の民衆を見下す感性のためか、アメリカの音楽業界は極端な自国中心主義をとる。ローリングストーン誌が500枚の名盤アルバムを選んだときほぼすべていわゆるロック系(R&Bやラップを含む)、ほかごく一部のジャズとレゲエ、そして中南米スペイン語orポルトガル語の音楽からはブエナビスタの映画化で作られたコンピ盤1枚きり。

こうした傾向を早くから見抜いてミュージックマガジンで発信してきた中村とうよう氏は「米国を人種のるつぼと呼ぶのは間違い。るつぼのように"融合"したのでなく野菜サラダのように"混在"させただけ。なので米国ではエスニックという語が重い意味を持つ。白人と黒人はもちろん白人の間でもポーランド系やイタリア系やスウェーデン系など壁があり固まって住む。ブラジルはそこが違い、差別がないわけではないが、白人中流家庭に育ったベッチ・カルヴァーリョとスラム街の黒人サンバ作家たちがまったく同じ音楽を共有する。るつぼと呼ぶにふさわしい」

詳しい出自は分らないがカエターノ・ヴェローゾやシコ・ブアルキは白人のようだ。ジョルジ・ベンやミルトン・ナシメントは黒人のよう。しかし彼らの音楽からそれを感じない。そうあるのが本来の姿なのか。アメリカは異常なのか。表現方法が細分化・特殊化し、女こどもに特化した鬼滅の映画化でメガセールス維持を狙う少年ジャンプはじめわーくにの漫画は…。




Travessia (1967 - Milton Nascimento)
MPBの巨星ミルトン・ナシメントは1942年リオデジャネイロで生まれ、3歳の頃ミナスジェライス州トレスポンタスに移る。少年時代アコーディオン、やがてギターを習得。63年からベロオリゾンテとリオで音楽活動を開始。66年彼が作曲したCanção do sal(塩の歌)がエリス・レジーナの歌でヒット、翌67年にはリオ歌謡祭でTravessiaが2位、Morro velhoが4位入賞して一躍注目を浴びる。



Vera Cruz (1969 - Courage)
67年に作編曲で名高いエウミール・デオダートと知り合い、米A&MレコードのプロデューサーでCTIレコード創立者のクリード・テイラーに招かれ渡米。69年にCTIから米デビューとなる本作をリリース。



Tarde (1969 - Milton Nascimento)



Durango Kid (1970 - Milton)



Tudo que você podia ser (1972 - Clube da Esquina)
Clube da Esquina Nº 2 (1972 - Clube da Esquina)
ミナスジェライス州出身の仲間であるロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタらと制作し、崇高さを感じさせるナシメントのボーカルとボルジェス主導による幻惑的なサウンドが噛み合い名盤として誉れ高い2枚組。



Milagre dos peixes (1973 - Milagre dos peixes)



Wayne Shorter / Ponta de Areia (1975 - Native Dancer)
ウェイン・ショーター創価学会。現世利益に徹する邪悪な宗教。コロナ禍でつくづく思うんですが、ジャズやロックやブラジルの音楽も夜の飲む・打つ・買う歓楽街から生まれる。搾取するためヤクザ者がはびこり、不安定な人気商売のストレスから酒や薬物や新興宗教、いまなら美容整形やおかしな陰謀論へ走り、それもまたヤクザ側の利益に。グレーバーの用語であればヤクザ=民間セクターの役人。



Minas (1975 - Minas)



Chico Buarque / O que será? (À flor da terra) (feat. Milton Nascimento) (1976 - Meus caros amigos)



Alaíde Costa / Catavento (1976 - Coração)



Maria Maria (1978 - Clube de Esquina 2)
80年代後半にワールドミュージックが静かなブームとなり、その一環でFMでこの曲を聞き、私のチャート1位に。でもいつの曲で何のアルバムに入ってるのか当時は調べようがなかった。いまは探す意志とノウハウさえあれば飛躍的に便利になったが…。



Elis Regina / O que foi feito devera (de Vera) (1978 - Vento de maio: May Wind)


Vidro e corte (1985 - Encontros e despedidas )



Don Quixote (1989 - Miltons)


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