無意識日記
宇多田光 word:i_
 



結局いちばんのネックは「Bluetoothイヤホンの電池がもたない」事にあり、これが解決されるには技術の進歩を待たねばならない。電池が高性能化するか新しい給電方法が解決されるか、兎に角開発者の皆様に頑張ってうただくしかあるまい。私のように「じゃあもう一個買ってローテーションするか」なんて平気で言える人間は極々少数なんだから。

ウェアラブル端末が定着すれば、"パーソナル・カスタマイズ"は飛躍的に進歩する。今ある技術だけでも、GPSで位置情報を得られるのだし、また、心拍数や体温、血圧や体脂肪率まで計れるのだろうか、そういった情報も取得できる。更にGPSと組み合わせて天気や気温の情報も得られるだろう。日付や時刻は言わずもがな。

これだけ揃うと、ちょっと怖いレベルになってくる。例えば、「あなた"In My Room"は火曜日の朝に聴く事が多いですよね」なんて事も人工知能(までいかなくてもいい)に指摘して貰える。This Is Loveを聴く前と聴いた後の心拍数の差を計算し、「あなたこの曲聴くとテンションが上がるんですねぇ」とか余計な事まで教えてくれる。雨の日によく聴く曲や、深夜一時に聴きたくなる曲などありとあらゆる統計をとって教えてくれる。

ヘッドギア型のウェアラブル端末ならそのうち脳波まで計り始めるかもしれない。そのデータに基づいて「あなたはこの曲を気に入ると思うのですが…」とリコメンドされてきたらもうちょっと不気味ですらある。


いや、そこまで凝らなくていい。私が欲しい機能はただひとつ、「いいね!」ボタンである。ラジオなりストリーミングなりを聴いていて「これいいじゃん」と思ったらパッとボタンを押す。それだけ。後はそれがブックマークになって、あなたが何月何日何時何分頃に「いいね!」した曲は誰々の何々というアルバムに入っていて…というのがすぐにわかるようにデータ整理してくれてればいい。有料ストリーミングならそのままプレイリストに入れてもらって。で。出来ればそのボタンはイヤホンに直接つけて欲しい。ボタンを押す為だけに端末を取り出すとかポケットをごそごそ探るとかはイヤなのだ。耳にパッと触るだけでOKみたいなのが理想。


さて、何の話なんだっけ?(笑) Hikaruは歌詞にその時々のガジェットの名前を入れる事をしばしばする。PHSやブラウン管のモニター(液晶画面はFeel So Warmにはならない)、デジカメにMP3プレイヤーにハードディスクにブラックベリーにとまぁ遠慮が無い。歌詞を公表してこなかったこの5年は当然の事ながら何のガジェットも歌われていない。猫も杓子もスマートフォン、という今の状況をどう歌詞にしたか、或いはしなかったか、たらればを言っても仕方がないが、ちょっと聴いてみたかった気はする。

寧ろ読書家としてはKindleのような電子書籍端末の方が馴染み深かったりするのだろうか。或いは、可能性は低いがスマホゲーにハマっててそれについて歌うとか…いやそれなら真っ先にテトリスの歌作ってるわな。やっぱゲームはラブソングの小道具としてはムードに欠けるのかな。

いや、レトロなメカについて歌ってこそ郷愁がそそられるというのもあるかもしれない。真空管ラジオとかオープンリールデッキとか、最早アンティークだもんね。初代Macintoshとかもそういう匂いがする。歌を歌うんだったらまだその可能性の方があるかもわかんない。逆にポケベルとかだとちょっとまだ距離感がわかんないかもね。

ある意味、ガジェットに対する距離感も音楽の流行に似てたりするのかも。90年代は80年代がダサかったが、00年代に入ったら80年代リバイバルが云々、みたいなよくあるサイクルがあるじゃない。ガジェットも、一昔前はダサいけど二昔前ならアンティークでクールだと思われてたり。そういう視点でノスタルジックにガジェットを歌う歌がその時代の流行のサウンドを取り入れていたりしたらちょっと小粋な一品になるかもしれないな。あったら嬉しいんだけど、さてさてどうでしょうかね。

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6月30日からApple Musicによるサブスクリプション・ストリーミング・サービスが日本で始まる。暫くは様子観だが、こういうのとどうやって付き合っていけばいいのやら。

一応、既存のサービスと比較して値段や曲数やらが議論されているが、前々から書いている通り、スマートフォンが今のスタイルで普及している間は、少なくともここ日本では音楽ソフトは売れない。どんなサービスであっても。問題はソフトウェアではなくハードウェア、特に再生端末と無線ブロードバンド環境だ。

AppleはiTunesというソフトウェア、iTunesStoreというプラットフォーム、そしてipodというハードウェアを組み合わせる事で覇権を獲得してきた。今回のApple Musicの日本開始にあたって、そういった多角的な展開はあるのだろうか。つまり、サービスを提供したとして、最終的にいつどこでどう鳴らして欲しいのかという所だ。

バッテリーの問題もあり、外でイヤホンで音楽を聴く場合専用のプレイヤーを持っている割合が意外に多い。スマートフォンにイヤホンを差している人は多数派だとは思えない。そういった状況で、ネット接続前提のストリーミングサービスがどこまでウケるか。家や店舗でなら、今までの有線放送と何が違うのか。

ストリーミングサービスで肝になるのは、もう書くのも面倒になってきたが"パーソナル・カスタマイズ"だ。ユーザー1人々々に特化したサービスを提供する。その為には個人情報収集がどこまでいけるか、である。

まぁややこしい話は後回しだ。要するに新たなデバイスとして"Apple Radio"みたいなものを提供しないと日本ではストリーミングサービスが定着しないだろう。家で聴く安価な有線放送、みたいな立ち位置では爆発力は無い。Apple Radioを買って、電源を入れたらすぐに自分好みの曲が流れてくる位のスピード感で他の暇潰しツールを圧倒する位の迫力がないと無理。

いや、スマートフォンから次世代のガジェットに移行すれば状況は変わるだろう。Google Glassとかね。それまでは時期尚早という話。


なので、EMIレーベルはまだそんなに焦る必要がないと思われる。楽曲提供は構わないが、例えばストリーミングサービスで新曲先行配信とかをしたらメリット(好評)よりデメリット(不評)が上回るだろう。特に、ファン層が高齢化している現況ではもうどうにもならない。

まとめると、今のところ、たとえ国際的にSpotifyなどのサービスが好調であっても、利用事情・住宅事情の異なる日本ではサブスクリプション・ストリーミングサービスは成功する見込みがないから特に気にしなくていいですよ、と。これが例えば、車載サービスとしてナビと同梱で機能するとかだったらバカ当たりするかもしれんが。まだそこまでは行ってないよねぇ。そもそも、日本人そんなにラジオ聴かないんだよね。そこが欧米とのいちばんの違いだろうな。

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