無意識日記
宇多田光 word:i_
 



奔放なFTBの詞の中でも最も耳を引く1節だ。2サビの「堪えた涙は僕の一部」の方は「悲しみや辛さを糧にして成長する姿」なので解り易いがコチラはイマイチ意味が不明だ。「涙を流すのは僕の自由」とか「自由とは涙を流せる事だ」位ならわかるんだが。思うに、この「自由」とは「解放」の事である。"流した"と過去形である事から"僕"は涙を過去に捉えている事が判る。過去を振り返った時自分の涙がそれまでの苦難の結晶として昇華している事に気付くのだ。Kiss&Cryでも歌われている通り、涙とはソレ迄の努力に決着がつく瞬間・苦難からの解放・「"僕"の自由の象徴」なのである。

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といえば小津安二郎だ。「東京物語」はi_にとって実写映画の最高傑作。この作品の魅力は、'50年代当時のありふれた日常を淡々と描きながらも静かに厳かに神話性・物語性を纏っている点である。「東京」という局地的局時代的名称と、「物語」という有史以来人類を魅了してやまない普遍を合わせた名からもそれは判る。Hステも、どこにでもある様な恋愛・失恋模様を淡々と描く事と音楽としての普遍性を両立せんとした作品だ。"Heart"とは人が永遠に大切にし続ける普遍そのものだし、"Station"はそのまま「局」である。名作とはその名の通り、名で体を表すものなのだ。

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