ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

名古屋猛暑てくてくさんぽ3

2015年07月31日 | てくてくさんぽ・取材紀行
円頓寺商店街へ行く手前、明道町の菓子問屋街を覗いてみた。江戸期に下級武士が内職で菓子作りをしていたのが起源で、2000年までは中京菓子玩具卸市場があった。そのまわりに駄菓子やおもちゃの問屋が集まり、往時の名残をとどめている。沿道には懐かしい駄菓子をはじめ、珍味、包装用品、くじ、おもちゃ、文具、花火などを扱う店がズラリ。小売もやっているから、文字通り駄菓子の夢の大人買いも可能なのだ。

店頭には、大箱のクッピーラムネに数十本売りの麩菓子、うまい棒30本入りセットが味別に山積みされた一角、コンソメパンチやわさビーフのでかすぎるビックバック、プラケース売りのしいかやカツなど、眺めるだけでもワクワクもの。スケールはでかいものの単価が数十円なので、思い切ってひとロット買っちゃっても1000円いかないのがほのぼのしてる。中程には中央菓子卸市場というトタンのレトロな建物があり、薄暗い雑然とした中にこんな夢のような商品があふれている。

ところでお店の看板で、子供会景品用、旅行(先へのばらまきみやげ?)用のほかに、「嫁入り」用との勧めが。豪勢で名高い名古屋の嫁入りで屋根から撒く「嫁菓子」のことで、袋詰めのセットを受注しているらしい。今ではあまり見られなくなったが、撒かないにせよ縁起物としての贈答品とされてはいるらしい。

仕事先へのおみやげにウケるかなと迷ったが、まだ取材初日。持ち運びにかさばるし…。

旅で出会ったローカルごはん…名古屋駅地下街エスカ 『MA MAISON』の、あんかけスパ ミラカン

2015年07月31日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
スパゲッティナポリタンは、本場ナポリにはないらしい。それ以前に、クタクタに茹で置きした麺をオーダーごとに炒め、トマトソースではなくケチャップで味付けする調理法も、イタリアでは見られないものという。各国から入ってきた料理を日本の流儀を用い、日本人の口に合うように変換する。その上発祥の地風に根付いてしまうのが、この国の食文化のすさまじきところではある。

地方ローカルの料理となるとアレンジに拍車がかかり、新潟の「イタリアン」に至るともはやスパゲッティの麺すら使わない。それに比べたら名古屋の「ミラネーゼ」はまだ、スパゲッティの範疇には入ってはいるのでは。ドロリとしたあんに肉系の具をのせた、名古屋めしの一つ・あんかけスパのいちカテゴリー。味噌や揚げ物といった茶色系の名古屋めしに比べたら新進ながら、あんかけスパはすっかり名古屋軽食文化の顔のような定着感がある。

名駅地下街「エスカ」の、名古屋名物の店が軒を連ねる一角にある「MA MAISON」は、名古屋の老舗洋食店が展開するあんかけスパの専門店。オーダーは件のミラネーゼと、野菜系の具をのせた「カントリー」をミックスした、その名も「ミラカン」。野菜と肉をドロドロになるまで煮込んだ濃厚なあんに、太さ2ミリ強の極太麺、さらにたっぷりの玉ねぎとピーマンに肉…といっても赤いウインナーとベーコンがのった、ボリューム感あふれる一品だ。

ぶっとい麺をフォークでがっつり巻き取り、あんにごってりからめてすすると、アルデンテとはかけ離れたホグッとした麺の食感に、まず和む。ソースは見た目ほど濃さはなく、野菜だしと肉の下地がしっかりと安定。大量の玉ねぎはサッパリ感を演出し、赤いウインナーは子供の頃食べた郷愁を誘い、量の割にどんどん食べ進められてしまう。これまた本場の流儀にはない、タバスコに粉チーズに胡椒を組み合わせれば、味覚が変わりさらに食が進むこと。

思えば名古屋の食文化も、東西の料理をミックスしたり、お客の嗜好を具現化したりと、日本のその傾向をさらに突き詰めた感がある。ちなみにこの店、オープン35周年感謝祭と題して、味噌カツに手羽先に台湾ラーメンまでもをあんかけスパ化したメニューを供している。世界をとりこみ名古屋も内包してしまったとは、計り知れないポテンシャルが興味深いような、怖いような?

日々是好食…アイス一本で甦る夏の日

2015年07月30日 | ◆日々是好食
ガリガリ君にあずきバー、パピコにダブルソーダ。駄菓子屋の店先で、プールの帰りに、この時期かじりまくった覚えがある方も多いのでは。子供の夏のおやつに、お手軽アイスはなくてはならない。大手メーカーの有名どころのみならず、地方の製菓会社によるローカルアイスも多彩。30円か50円か、思い切って贅沢に100円のにいっちゃうか。限られた小遣いでの選択は、熾烈であり至福なひとときだったものだ。

自身の思い入れある1本を挙げるなら、ホームランバーだろうか。銀紙をペリリと剥くと、あの魅惑的な白いフォルムが露わに。サックリひとくちいけば冷気とミルキーな甘さが、脳から足先までキン、と貫いていく。そして食べ進めるに連れての、さあアタリマークのお目見えか? のワクワク感。これがある意味、ギャンブルマインドの起源だったりして。

カラッとギラギラ照りつけてきたあの頃の夏と比べ、激烈猛暑の現代は暑さの肌感が変わってきている。それでもワイシャツを汗だくにして都心を巡り歩く大人にとって、コンビニでの小休止でアイスボックスを眺めたら、懐かしの面々に思わず手が出てしまう。シャクッとひとかじり、ヒエッとクールダウン。その瞬間、数十年前のキラキラな「熱い」子供時代の夏が、思い出されるのではなかろうか。