ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@渋谷

2014年05月17日 | ◆一献一品出合い酒
のんべい横丁入口にある「会津」にて、榮川純米酒にごり×田舎煮。はしご酒も佳境に入る頃に扉をくぐるいつもの店で飲むなら、お決まり缶酒にホッとする惣菜が優しい、このコンビが似合う。

ガラリと戸を開け兄さんに会釈して、右奥角はもういつもの席。肩寄せひしめき落ち着けば、何軒目かも忘れた続きの一杯はいきなりのポン酒だ。ペキッとプルをひねりパカンといったところで、濁りの米香にまずはフラリ。直に口で迎えてクククッとやれば、果実甘い柔らかさにハアッと力が抜けていく。田舎煮風のゴロゴロ野菜が、何軒目か忘れたところに嬉しい素朴さ。砂糖を利かせた醤油味が、かの地を故郷と想える懐かしさを感じる。どぶろくあおって母ちゃんの料理を喰らえば、気分は囲炉裏端で飲んだくれの一期一会。

来る者と乾杯し出る者を見送って、知らぬ客同士がみんな仲間となれる小さな店。変貌著しいメガターミナルがすぐ前ながら、路地のたたずまいも行き交う客もみな、古き佳き昭和のまま止まってほしい、渋谷駅そばの午前三時過ぎ。一献一品の小さな酒宴、帰れずとも天下泰平なり。