ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

極楽!築地で朝ごはん7食目・さかえや ~お魚天国・築地は牛丼も本場~

2005年09月28日 | 極楽!築地で朝ごはん
 築地場内市場には、すし屋や魚介の店などに混じり、ちょっと意外な店がある。牛丼の吉野屋だ。こんなところにまでチェーン展開しているのかと思う人がいるかも知れないが、実はこの築地場内市場の店が発祥なのである。モツ煮込み丼の「きつねや」の項でも書いたが、築地市場に隣接する食事処は、市場で働く人たちの食もまかなっており、「早い、うまい、安い」でスタミナがつく牛丼はまさにもってこい。吉野屋のほかにも、市場の周辺には牛丼や焼肉、カレーを出す店がいくつもあり、いずれも味はもとよりボリュームはかなりのもの。魚中心の築地にあって、パワーの源・肉料理はどの店もレベルが高いようである。

 新大橋通り商店街にある「さかえや」も、カレーと牛丼が看板料理だ。ここもカウンター数席のみで、空いている隅っこの席に着くと、河岸の労働者たちが談笑しているのが聞こえてくる。「引退しても朝早く起きちまうから、夜は7時前には眠くなって」「まだまだ若旦那にゃ任しておけない、俺の店だからな。でも代表権はもうないけどなあ(笑)」など、現役の頃から常連だったらしい御隠居が頼んでいるのは焼肉カレー。河岸で働く人の希望でできた人気メニューで、ポークカレーの上に牛カルビ焼肉がどっさりのって見るからにボリューム満点である。

 河岸で働く人は引退しても元気、食欲旺盛だなあと感心しながら、こちらは焼肉丼を注文する。するとご飯大盛りのどんぶりに、具がはみだすほどたっぷりのって出されてきた。具は肉とタマネギのみとシンプルだが、甘辛いタレがよく染みていて、新潟産の本場コシヒカリを炊いたご飯がどんどん進んでしまう。特に肉の厚いこと。チェーンの牛丼屋の肉に比べてずっと厚く、スパイスがよく効いていて食欲がいっそう沸いてくるようだ。

 どんぶりいっぱいをガツガツと、あっという間に食べ終わってしまうとさすがにお腹が苦しい。朝ごはんにしては少々ヘビーで、元気が出る上にお昼ごはん抜きでももつほどかも?(2004年5月31日食記)