かつては北へ向かう特急列車が発着する、「北の玄関口」だった上野駅。しかし今では新幹線が東京始発となり、その面影が薄くなったようだ。地下通路に定食屋や一杯飲み屋など、場末的な雰囲気の店が軒を連ねていたのが印象的だったが、駅ビル「アトレ」が整備され、こじゃれたカフェやダイニングバーが立ち並ぶようになった。きれいに、快適になることは悪いことではないが、「ふるさとのなまり懐かし停車場に…」と詠まれた風情が消え行くのは、少々さびしいことではある。
仕事が暇だったので15時すぎに事務所を出て、午後遅い時間の上野をぶらりと散歩する。駅を後に上野公園方面へ足を向けると、そこはなつかしの上野駅の風情が残る一角。公園へ上る階段の手前に立つビルには、1階に「東京みやげ」を売る名店街(「名店街」という言葉も東京では見かけなくなったが)、そして2階にはものすごい客席数の巨大なレストランがあった。オープンは昭和34年と歴史のある店の名は「レストラン聚楽台」。和食・洋食・中華・寿司・喫茶の総合レストラン、つまりなんでもありのお好み食堂なのである。
遅い昼食と早い晩酌をここで頂くことにして、広々とした客席へと足を運ぶ。窓からは京浜東北線の電車がすぐ前に見え、地方から出てきて列車を待つ客がここに集ったことが伺える。テーブル席のほか、枡席風の座敷があるので、靴箱に靴を入れてそちらへ。中央の噴水横の席に陣取ると、なかなか涼しくて快適だ。ビールを頼もうとすると、中生のほか「中生プラスデンキブラン」というのに惹かれる。電気ブランとは浅草の名店・神谷バー名物のブランデーで、ビールがチェイサーの水の代わりということか。別々に頼むより100円ほど安いのでこれに決定。つまみは304円、409円、514円のそれぞれの均一メニューが用意されていて、貧乏性なのでついついキムチ、ポテトサラダなど304円のメニューを頼んでしまう。量も結構あり、結構お得なシステムである。
ひとしきり飲んだら、空腹を埋めるべくメニューを見ると、麺、丼、定食、洋食、中華、パスタ… とにかく何でもあるのはすごい。冗談半分で上野らしいものはないか探すと、その名も「西郷丼」を発見! 実にベタなネーミングでつい頼むと、大きな丼におかずが満載でかなりのボリュームである。鹿児島ゆかりの西郷さんにちなみ、豚の角煮(3個)、サツマ揚げ、明太子、サツマイモ天が主役。サツマ揚げとイモ天は丼から外にはみ出すほどで、豪快さも西郷どんにちなんでか?ほか角煮や鶏そぼろなど、全体的に醤油のきいたやや辛目の味付けで、それを温泉玉子のまろやかな味わいがうまくまとめて飽きさせない。
酔いも回り、すっかり満腹して、空いているのをいいことに座敷にゴロンとひと休み。時にはこんな「東京時間」のテンポから取り残されたような店で、ひと昔前の空気に浸りながら飯を食うのもいいかも。(2004年9月8日食記)
仕事が暇だったので15時すぎに事務所を出て、午後遅い時間の上野をぶらりと散歩する。駅を後に上野公園方面へ足を向けると、そこはなつかしの上野駅の風情が残る一角。公園へ上る階段の手前に立つビルには、1階に「東京みやげ」を売る名店街(「名店街」という言葉も東京では見かけなくなったが)、そして2階にはものすごい客席数の巨大なレストランがあった。オープンは昭和34年と歴史のある店の名は「レストラン聚楽台」。和食・洋食・中華・寿司・喫茶の総合レストラン、つまりなんでもありのお好み食堂なのである。
遅い昼食と早い晩酌をここで頂くことにして、広々とした客席へと足を運ぶ。窓からは京浜東北線の電車がすぐ前に見え、地方から出てきて列車を待つ客がここに集ったことが伺える。テーブル席のほか、枡席風の座敷があるので、靴箱に靴を入れてそちらへ。中央の噴水横の席に陣取ると、なかなか涼しくて快適だ。ビールを頼もうとすると、中生のほか「中生プラスデンキブラン」というのに惹かれる。電気ブランとは浅草の名店・神谷バー名物のブランデーで、ビールがチェイサーの水の代わりということか。別々に頼むより100円ほど安いのでこれに決定。つまみは304円、409円、514円のそれぞれの均一メニューが用意されていて、貧乏性なのでついついキムチ、ポテトサラダなど304円のメニューを頼んでしまう。量も結構あり、結構お得なシステムである。
ひとしきり飲んだら、空腹を埋めるべくメニューを見ると、麺、丼、定食、洋食、中華、パスタ… とにかく何でもあるのはすごい。冗談半分で上野らしいものはないか探すと、その名も「西郷丼」を発見! 実にベタなネーミングでつい頼むと、大きな丼におかずが満載でかなりのボリュームである。鹿児島ゆかりの西郷さんにちなみ、豚の角煮(3個)、サツマ揚げ、明太子、サツマイモ天が主役。サツマ揚げとイモ天は丼から外にはみ出すほどで、豪快さも西郷どんにちなんでか?ほか角煮や鶏そぼろなど、全体的に醤油のきいたやや辛目の味付けで、それを温泉玉子のまろやかな味わいがうまくまとめて飽きさせない。
酔いも回り、すっかり満腹して、空いているのをいいことに座敷にゴロンとひと休み。時にはこんな「東京時間」のテンポから取り残されたような店で、ひと昔前の空気に浸りながら飯を食うのもいいかも。(2004年9月8日食記)