暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

お散歩日和

2013-11-06 | -2013
まどろんで沈んでいく意識をたどり
わたしはゆうらり散歩をしている
冷たく翳る枯れゆく木々を
臓腑を石灰に満たす人々を
打ち捨てられた一足の靴を
眺め、見送り、そして忘れて
わたしはゆうらりと歩いている
ストロボで撮される影絵たちは
夢のさなかで幽体とも呼ばれ
されど彼らは意識の外で
確かに質量を持っているはずだ
大きくけのびをしたのなら
肌と肌も重なろう
肺の隙間に潜る煙は
静かに空を灰色へと塗り潰し
沈む、沈む、流砂のように
幽鬼のように漂うそのそばを
眺め、見送り、やがて忘れて
ただそれだけで良いのなら
これがわたしのすべてであるなら
こここそ世界を統べているなら
いくらでもいくらでも影を踏む
白く燃え尽きた空からは
黄色と赤の雨がそそぎ
わたしの散歩はもう終わる
枯れゆく木々も白く固まる人々も
何もかもは一握のまぼろし
打ち捨てられた靴だけが
いつだってあるじを報せている

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