ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

結婚式、つい目が行くとこは

2016-01-17 09:53:02 | アート・文化

 結婚披露宴のお呼ばれだった。演劇部の卒業生、おっと、クラス担任した生徒でもあった。定年を迎えて8年、学校から完全に足を洗って3年、よくぞ覚えていてくれてたもんただと思う。それだけ高校時代の思い出が濃密だったってことで、演劇部に精一杯取り組んだ僕としては、喜ばしい。去年は、かつての美人部長、今回は主役スターだった。

 前回は30歳、今回の花嫁は一年下、置賜農業高校卒業生の結婚平均年齢からするとかなり遅めだ。しかし、年が行っているだけあって、花嫁も花婿も落ち着いていて、安心して参加していられた。以前よく呼ばれた20歳前後の式じゃ、もう、見るからに危なっかしくて、ちょっと早過ぎないか?もっ、遊んでからでもいいんじゃないか?と止められるものなら止めたい思いつつ、祝辞を述べたこともあった。事実、あっ、こりゃぜったい別れる!って直感した一組はそれから数年で着実に離婚していた。

 それにしても、披露宴の形も随分変わった。仲人がいないのは当たり前、その分、プロの司会者の役割が大きくなった。式場スタッフが手取足取りで進めていく。昨日など、なんと、花婿さんのウェルカムスピーチで開宴した。幸い、彼、頭の回転もよく、度胸もある男性だったので、スムーズに会に入っていけたが、あれは、緊張の頂点でしゃっちょこばってる新郎には酷なプログラムだな。

 で、最近気になるのが、音と映像のパフォーマンスってヤツだ。最初の新郎新婦の入場、お色直し後の入場、いずれの時にも、その式場自慢の光と音のページェントが組まれている。様々趣向を変えてプランナーや映像デザイナーたちが新奇を競っている。各式場の腕の見せ所みたいになってるようだ。もちろん下請けだろうけど。

 昨日の会場なんて、3D映像を効果的に見せるために会場の壁も、色は白一色、一切の飾り物はなし、映像に合わせて中央に2m四方の窓ようくぼみ、左右にも同様に1m四方の角窓風が縦に3つずつ並んでいる。そこに天井に吊られた4台のプロジェクターから映像が投影され、宇宙空間になったり、ヨーロッパの民家を感じさせたり、時には、都会の地下駐車場?になったりする。もしかして、あの中央の窓が左右に割れて、そこに新郎新婦が現れるのか?と俄然、期待されたが、さすがにそれはなかった。残念!ひな壇の上方1mに忽然と新郎新婦が現れたら、騒然とするだろうな。

 それでも、登場にはいろいろ工夫していて、最初の登場は、会場横のドアが開いて、プール?のある中庭からの登場、お色直し後は上手横の階段を二人して下りてきた。その式場なりに持てる素材を生かそうとしていて、その健気さにちょっと打たれた。

 前面の映像プログラムには、新郎新婦の生い立ちや、なり染め、デート風景などお定まりの画像もはめ込まれて、なるほど、そのための区割りでもあったのか、と納得できたが、若者タッチの転換の速さは写真一つ一つをじっくり鑑賞させてくれず、あっ、なんか写った!あっ、二人のファーストデート?あっ、家族も!?あっ、高校時代?あっ、あっ、あっ、どんどん画像は変わっていくし、しかも画面は7つのフレームだ!いくら感覚で感じ取るのが若者風って言っても、これはやりすぎだろう。そんなたくさんの写真取り込まなくていいから、一枚一枚を丁寧に見せてくれた方が、参加者も楽しめだろうに。

 ともかくも、新奇を競うあまり、この手の制作者の独りよがりの映像プログラムが多いんじゃないのかな?わずか3回ほどの経験から断定はできないけれど、映像ページェントという新技法を手に入って、嬉しくて嬉しくて、見る人そっちのけにして遊んでるって感じがしないでもない。どうだ、凄いだろ!3Dだぞ!スターウォーズみたいだろ?制作者のドヤ顔が浮かんできてしかたないんだけど。

 まっ、これからなのかもしれないね、この映像ショーが観客の目くらましじゃなくて、ほんとうに参列者の心に届き、当人たちにも鮮烈なあるいは心温まる披露宴の大切な一コマとして成長していけるかどうか、そこに才能が問われてるんだと思うよ。びっくりするような映像作ったからって、それがなにか?ってことに早く気付いてくれるといいけどね。

 

 

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