ステージおきたま

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やって良かった!シニア劇団ジョイント公演

2014-08-07 19:08:22 | シニア演劇
 仙台&川西シニア劇団ジョイント公演、盛会だった。やって正解、終わって成功、いろんな成果あった。

 まずは、どちらの劇団も良い舞台を作れたこと。仙台の「まんざら」は宮本研・作の『花いちもんめ』、1人芝居として書かれたものを8人のシニア女優がリレー式に演じきった。シニアならではの人生経験に裏打ちされた深く心打つ表現になっていた。当方「菜の花プラザシニア団」は『Goodnight Baby』、私の作品だ。若年性痴呆症をテーマにしつつも、オープニングで山本リンダの「どうにもとまらない」を6人のシニア女性が歌い踊るという趣向や高校時代の学園祭出し物などを織り込んで、賑やかに楽しく、最後はジーンと来る作品に仕上がった。

 シニアの舞台というと、観客は、はらはらドキドキ、セリフのとちりを心待ちにする?とか、おじいちゃんお婆ちゃんの頑張りを応援に来るといった、参加することに意義あり的な公演を思い浮かべがちだが、今回は、そんな思惑をはるかに越えて、観客の胸を打ち、心地よい時間を過ごしたと感じさせる質の高い公演になっていた。シニアは、下手だから面白い、から一歩確実に上がれたことがとても大切なことだったと思っている。シニアならではの演技、シニアにしか演じられない題材、テーマといったものが確実にあって、そういう部分をしっかり掴んだ作品を作り続けていけば、シニア演劇というものが一つの重要なジャンルになるんじゃないかと感じた。

 シニアは、熱中できる!これも大きな発見だった。仕事を継続中の人は別だが、リタイアしたシニアの場合、やろうと思えばかなりの無理がきく。介護とか抱えている場合は別だが、家庭の理解、協力もそこそこあるから、金はないが間違いなく時間はある。菜の花座などの若手アマチュアの場合、仕事や家庭が大きな足かせになる。遊びたいなんて誘惑も小さくはない。その点、シニアは思いこんだら一本道、だから休まない。再演や旅公演にも意欲的だ。これは劇団をひっぱる身としてはとても心強いし、可能性としても大きい。今回、3月に話しが上がり、7月には実現する素早さ、これなどシニアの身軽さ無くしてはあり得ない話しだろう。このフットワークの軽さは、これからシニア劇団の交流の面で大いに役立つことだろう。出張公演や旅公演、演劇交流などがどんどん広がって行く予感がする。

 いろんな人が集まってくる、というのもシニア演劇の魅力の一つだ。なんせ人生60年生き抜いてきた面々だ。個性的でないわけがない。際だった個性が、詰まらぬ芝居だって面白くしてしまう。すぐれた演劇なら感動ものにまで高まっていく。問題は作者や演出が、そんな個性豊かな人々を生かし切れるかどうかってことだろう。

 演劇以外に高い専門性を持っている人が多いことも、可能性として大きい。例えば、参加者には学校とか幼稚園の先生なんかが多くて、英語の能力だったり、ダンスの振り付けだったり、パソコンだったり、事務能力だったり、音楽だったり、いろんな力を持っている。これは大いに利用できる。さらに、知的な能力が高いので、照明とか音響とか装置製作などのスタッフ作業もすぐに覚えてくれる。5月の菜の花座の舞台では、照明調光やピンスポット、音響など見事に対応してくれたほどだ。

 作品理解が深く鋭いことも芝居作りに有利に働くだろう。次々に質問が飛んで、演出もうかうかしていられない。緊張感が高まり、それを昇華しきれれば、舞台の質は間違いなく上がるだろう。

 最後に、周囲に大きな人の輪を持っているってことも大切なポイントだ。家族以外にも地域とのつながり、仕事上のつきあいなど様々あって、観客動員には圧倒的な力となっている。今回も目標の300人にはちょっと届かなかったが、小さな田舎町での演劇公演としては、思いがけない入り込み数となった。多くの人たちが見に来ることで、地域の中に演劇への興味関心が広がっていく。これは何よりも大切な武器なんだと思う。

 ジョイント公演の報告をするつもりが、シニア演劇の可能性を考える文章になってしまった。まっ、これはこれで必要なことだろう。1ヶ月近くもブログから離れていると、つつい気負ったものになってしまうんだよなぁ。



 
 

コメント
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