ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

同窓会のノリ!『上海バンスキング』

2010-02-28 21:44:20 | 劇評

  久しぶりの東京観劇ツアー。初日は渋谷のシアターコクーンで『上海バンスキング』、夜の部は下北沢のザスズナリ。どうもねえ、大劇場だけだとなんか落ち着かないんだよね。bunkamuraなんかいると場違いだって感じ強くてね。女性はみんな着飾ってるし、若いし、上品だし、薄汚いじじいの来るととこじゃないわ、ってあっちからもこっちからも拒否、って言うよりとことん無視されてる感じで、血圧は一気に頂点だし、汗はかきまくり。そんな居心地の悪さはあるものの、やってるもの自体はやっぱり優れた舞台なので、まあ、取れる限りは見に来る訳だけど、その代償作用として、その後には必ず下北沢か新宿を組み合わせる。ほっとするものね。やっぱり俺はこんな町がお似合いなんだって別に卑下するわけでもなく安堵する。

 でも、今回の『上海バンスキング』はちょっと違った。まず観客の年齢層が圧倒的に高い。新橋演舞場ってところかな。50代~60代が中心。それも劇場は社交の場的な見せびらかしのおめかしはほとんどいない。さらにさらに、男たち、無粋なおじんたちも結構いるんだよ。これは今まで経験したことのない観客構成って言えるかな。

 その謎は舞台を見て、すぐにわかった。出てる役者がほとんどその年齢層なんだ。そう、30年前?上演されて大反響を呼んだ自由劇場の再演なんだ。それも多くは当時のメンバーが出いる。詳しくない僕にはどこまで当時の劇団員が出ているのかはわからないけど、主役クラスは串田和美(演出・出演)でしょ、笹野高史でしょ、吉田日出子でしょ、小日向文世、あと知らないけど、舞台見る限りかなりがそれらしい。

 だから、舞台も客席ももう完全に同窓会ののりなんだ。それと、最近はやりのおやじジャズバンド、これもめちゃめちゃ乗るよね。オープニング、劇中、幕間、そしてエンディング、とことんビッグバンド演奏だもの。おっと、終演後の客だしでもロビーに出て演奏し続け。それを多くの観客が暖かく見守る。ね、盛り上がった30年ぶりの同窓会。こんな桁外れの同窓会ができる彼らって本当に幸せ者だ。でも、舞台だから、芝居だから、金取ってるから、彼らのそこそこの演奏聞いて満足してるわけにはいかない。

 そう舞台だ。役者たちの年齢的な違和感はどうしようもない。役としは20~30までの青年たちの世界なわけで、姿勢やら声の艶やら容姿やら、やっぱり無理か?って感じた滑り出しだったけど、すぐに物語に引き込まれた。若さを補う老練?な技ってところだろうね。笹野高史のトランペット、吉田日出子の歌のうまさに圧倒されたこともある。あっ、串田和美のクラリネットも悪くはない。うん、そこまでやるなら許せる!納得してしまうと後は物語世界だ。

 

 これは間違いなく戦後日本を代表する劇作の一つだから。いろんなものが一杯詰まっている。時代は日中戦争の始まりから終戦まで、日本のジャズミュージシャンたちの憧れと自由の天地=上海。ひたすらジャズに明け暮れる若者たち、いつしか時代のどす暗い濁流に呑み込まれていく。ジャズにかける青年たち、若者たちの明るくも破天荒な日々、戦争の愚かしさ、侵略者としの日本、音楽の力と無力、歴史に翻弄される人々、横暴で非文化的な日本の軍隊・・・ここには先の悲惨で愚かな戦争への痛烈な反論がある。

 そんな時代の一こま一こまが、時に楽しく時に切なくジャズのリズムに挟まれつつ展開していく。ジャズは喜びであり、官能であり、自由であり、抵抗であり、哀悼なのだ。楽しく心躍る前半、一転して重苦しく戦争と死に向き合う第二幕。見る者は確実に舞台に繰り広げられる青年たちの生き様に引き込まれた。中でも、軍の無理押しでバンドが軍歌「海行かば」を演奏するシーンは感動的だった。軍人の横暴におもねるように始められた演奏は、途中主人公四郎のクラリネットソロから一気にジャズへと転調、ミュージシャンたちの精一杯の心意気を示す。もちろん、そのまま終わらせることはできず、抵抗に気づいた軍人の一言で、音楽はまた「海行かば」へと戻っていく。有無を言わさぬ巨大な暴力装置に庶民がどう対抗するのか、そのすばらしい勇気と限界を見事に表現していたと思う。戦争は若者たちの夢を命を精神を奪い終息する。

 演出で気になったことがいくつかある。まず、時に舞台装置の二階部分から、時に装置のとぎれた上下から舞台を見守り続けた若者たち、彼等今の若者たちがその時代を、そして、初演から30年という時の流れを見詰めるという構成なのかとは思ったが、意図が十分に伝わったとは思えなかった。それと、暗転の処理が拙い、なんて、僕が言っていいんか?これも気になった。後、最後の客出しかな。ロビーでの生演奏、いい趣向だと思う。お客さん喜んで取り囲んでたから。まさに別れがたい同窓会の雰囲気。でも、ホールから出たい人が、出られないって状況、こりゃまずいよ。せっかくの余韻が徐々に怒りに浸食されていく様子が一部観客から感じられた。って、僕もそうなんだけど。だって、下北沢の公演まで1時間なかったんだもの、焦ったよ。夕飯だって食いたいし。強引に人波を押しわたって、一路、神泉駅へ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新作『ワンダフル!ベジタブル!!』営業開始

2010-02-26 21:00:32 | 演劇

食育子どもミュージカル第4作『ワンダフル!ベジタブル!!』いよいよ売り込みだ。今日は小学校、公民館などに向けてプレゼン資料を作った。今回の作品のテーマとか、目玉とかしっかり書いてね。もちろん、全国三賞、山形スーパー高校生受賞のことも書き添えて作った。

 これを来週から、地区内の小学校、公民館、教育委員会に向けて発送するわけだ。まっ、公演の依頼がくるのはそのうち数カ所に過ぎない。だけど、この効率の悪さを馬鹿にしちゃいけない。営業なんてこんなもん、なんじゃないか?どうですか?プロの皆さん。ムダな鉄砲に見えるけどこれって徐々に効いてくるボディブローなんだよな。置賜三市五町の小学校、教育委員会に行き渡るわけだろ、仮に今回は公演引き受けてくれなくても、置農の演劇部ってなんか凄いゾ!って認識は確実に広がっていくわけだ。これが何かの折りに効いてくる。

 例えば、今回の作品について言えば、台本が仕上がる前からすでに公演予約が入ってきている。小学校が二つ、児童館が二つ、学童クラブが一つ。どうですか、もう、みんな待っててくれてるんですよ。いゃぁぁ、嬉しいね。光栄だね。こんなことって高校演劇部であるか?今年度達成した年間公演回数20回(子どもミュージカルだけ。ただし、短縮版を含む)を超えるかもしれないね。ついでに数えておくと、演劇部全体の公演回数は、定期公演2回、校内公演2回、演歌ショー4回、地区大会1回だから、しめて29回!うわーっ!惜しい!!30回まであと一つだったんだ。これって学園祭とか入ってないからね。

 改めて凄い。よく頑張った、置農演劇部!!ってことは今年の目標は公演総数30回ってことか。ますます忙しくなるぞ。たくさん公演すりゃいいってもんじゃないなんてやっかむなよ。数は力なんだ。やればやるほど、舞台踏めば踏むほど上手く成るもんなんだよ。そして、確実に自信と思い出はふくらんでいく。年間30回公演なんてめちゃめちゃな高校生活、これって絶対一生の宝だ!って思わないか?

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

卒業記念アルバム

2010-02-24 20:34:02 | 教育

 昨夜は久しぶりに夜中3時近くまで頑張ってしまった。だめだよ、無茶しちゃ、若く無いんだから。って自分で言い聞かせつつも、結局やっちまった。演劇部3年生に卒業記念アルバムを贈りたいって思ってね。そう、来週の今日は卒業式だから。なんとしても昨日の内に作ってしまいたかったんだ。

 昨年からネットのアルバム制作サイト(Aiプリント)で一人一人のアルバムを作ってもらっている。写真が30枚以上も載せられてハードカバーで2000円弱!ね、手頃でしょ。レイアウトなんかはほとんどワンパターンなんだけど、仕方ないでしょ、安いんだから。

 制作サイトから編集ソフトをダウンロードしてその指示に従って載せたい写真を各ページに貼り付けて行くって方式だ。合計33枚の写真を貼り付けることができる。この枚数、演劇部三年間の思い出としてはちょうどいいみたいだ。撮り溜めておいた画像データを3年生一人一人のフォルダを作って取り込んで、それをソフトに呼び込んで制作する。

 幸い今年の3年生は僕がデジカメをきちんと撮り始めた時期に入学した連中なのでデータは豊富だ。一年の時の端役からだんだんと中心役者に育っていく姿が思い出深く並ぶ。表情もずいぶん変わった。身のこなしも結構様に成ってきている。そんな三年間の成長の軌跡を目の当たりにすることができる。

 画像データをCDとかDVDで欲しいって声も聞こえてくるのだけど、これにいちいち対応していたんでは、僕の時間はいくらあっても足りない。だって、公演のDVDは全員に必ずプレゼントしているわけなんでね。それと、去年アルバムをもらった卒業生に聞いてみても、データそのものもらうより、アルバムになったものをもらう方がずっと嬉しいって声が圧倒的だった。そりゃそうだよ。ディスク一枚ぴらっと渡されwも感動ないもの。それとデータは逆に写真が多すぎてだめだ。なんでもかんでもありゃいいってもんじゃない。ディスクに入れたデータはあくまで素材だもの。たくさんある画像から、僕が心を込めて一枚一枚選んで並べたアルバムの方が絶対もらった価値はあると思う。

 ってことで、昨夜はその作業に没頭した。ところがだ!何故か写真一枚をウェブにアップするのに時間のかかることかかること!一人分33枚アップするのに1時間近くかかるんだ。去年もこんなだったかなぁ、おいおい今年は10人分だぜ!行け!行け!なんてパソコンけしかけたって速くなるわけないしね。もううつらうつら居眠りしながら、頑張ったんだ。で、結局3時前。なんとか、送り終えて、これで卒業式の前日にはプレゼントすることができそうだ。

 このアルバムは高校生活3年間頑張りの証しだ。人生の折りにふれ引っ張り出して、この濃厚で稠密で、厳しくも暖かな演劇部ライフを振り返ってほしい。それがその時々のなんかの力になったりすれば、それ以上の喜びはない。置農演劇部の三年間、君たちの人生のもっとも輝かしい時期であるに違いないのだから。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

感謝!感謝!の全国三賞受賞記念公演&祝賀会

2010-02-21 20:20:56 | 地域文化

 ようやく!ようやく!終わった!一月からの超過激スケジュール。最初はなんだったのか?もう思い出せないくらいごちゃーっと行事の連続だった。生徒活動発表会があって、全国パンコンテストがあって、校内公演があって、全国賞受賞式での東京公演が二つもあって、やまがたスーパー高校生授賞式があって、で、今日の全国三賞公演&祝賀会だもの。

 我ながら、よくやった!演劇部員もそれ以上によくやった!もちろん顧問陣もね。おっと、僕はこれで一段落でも、顧問Nと3年生女子4人はまたまた一週間後に福岡公演だった。そして、お別れ会と卒業式。これはもうまともじゃないよね。このハードさは。

 しかも、今日の動きがこれまたとんでもないものだった。だってね、初めての劇場公演でしょ。照明仕込まなくちゃなんないわけよ。これまでは凸の灯体二つ持ち込んで、当てっぱ、でやってた舞台だけど、プラザ使う以上はね、色つけないとね。で、やるならできるぎりぎりのところで良いもの作りたいでしよ。ってことで、照明シーンも結局20シーン近くなってしまった。それをばたばたと記憶してたった20分でリハやって本番。それでもほとんど失敗もなくやり遂げたってとこが、今の置農の到達点ってことだな。立派だ!

 ところが、すさまじいのはそれからなんだ。終演40分後に祝賀会やろうってんだから。客出しもきちんとやって、片づけもすべて終わして、別会場に駆けつけて、衣装もフォーマルに整えて、80人からのお客さん前にして祝賀会だもの。いくつもの役割に分かれて、部員一人一人が分刻み秒刻みで飛び回った。結果は計画から2分の押し。3時2分に開演できた。上々だよね。

 さらに、さらにだよ、アトラクションに演歌舞踊やダンスも披露したんだから。もちろん、ここでも衣装替え!終わればまたまたフォーマル!!こんなのあり得ないタイムスケジュールだったけど、結果はすべてグー!!見事やってのけた。たいしたものだ。素晴らしいものだ。絶賛ものだ。って褒めちぎっていいと思う。

 こんなことができる置農演劇部ってやっぱり全国賞受賞レベルなんだよな。で、最後に山形県高等学校文化連盟賞もいただけることになったって校長から嬉しい報告をもらった。とどめだね、これが。

 祝賀会では8名の指導者の皆さんに花束をお贈りして、感謝の気持ちを表したけど、お世話になっている人ははるかに多い。公演を計画してくださった方、ホールの皆さん、地元後援者の皆さん、さらに同窓会、PTA、保護者の方々、卒業生、先生方・・・数え切れない方たちのバックアップで今の置農演劇部がある。感謝!感謝!!いくら言っても言い足りない。その気持ちを忘れずに、さらにもっともっと多くの人たちのお世話になろう。応援を受けるってことが、実はその人たちに喜びをお返しするってことなんだから。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まさか?!の福岡公演

2010-02-17 21:57:39 | 演劇

 まさかねぇ!あり得ないでしょ!!置農子どもミュージカルが福岡に呼ばれるなんて!だって福岡だよ、九州の、飛行機で行く、福岡だよ!

 実現しちまったんだ、本当に、本当。呼んでくれたのはJAの中央会。先日の東京公演短縮バージョン見てひどく感動してくれたんだそうだ。完全版呼びたかったらしいけど、まずは、4人組の短縮バージョンをやってくれってことなんだな。

 驚いたね。僕としちゃあれはあくまで苦肉の策、”なんとかやりすごせればバージョン”だったわけで、それが福岡オファーにまで行き着くなんて考えてもみなかった。しかも、有楽町グループは代役も多くて、正直心配だったチームなんだ。うーん、なんと考えればいいのか?まっ、率直に、それだけ個々のメンバーの実力が上がったってことと、元々の作品の凄さと、僕の構成力の勝利だって自惚れてればいいのかもしれない。

 それにしても短縮バージョンが売れる?!ってのは発見だなぁ。思ってもみなかった。スライドとコントの組み合わせ、意外と新鮮なのかもしれない。それと、歌は盛りだくさんだったってこと、効いてると思う。なんたっていい曲ばかりだから。そうそう、東京の会場でCD配ったてのも効果的だったんだと思う。こういうことなら、次回作でも短縮バージョン作って、全国気軽に回るってことも準備していてもいいかもしれないね。

 なんか、今回の福岡行き、来年度の全国ブレークの走りなんじゃないか?さらに国外向けだってあり?!なんて軽口も出てたりして。全国大賞の副賞もあることだし、4月からはばんばん県外に打って出よう。さあさ、みなさん、早い者勝ちですよ。予約はお早めに!来年度作品は『ベジタブル!ワンダフル!!』野菜さんのお話です。もうすでに小学校2校、公民館一つ、食育団体一つの公演が決まってますからね。時期としては、7月初旬がねらい目だからね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする