ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

菜の花座新作『決められない!』

2013-01-28 11:39:01 | 演劇
 菜の花座の新作がようやく書けそう。後、ラストをぴたっと決めてから全体を再度見直す。今週中には完成するだろう。

 今回も新しい縛りを自分に課した。一つは女4人の芝居を作ること。次に一つのストーリーでつながるものではなくて、幾つかのショートコントが組み合わさって一つの舞台になるという仕組み。さらに舞台と客席をを舞台上に設けて小劇場風の舞台空間を試みること。うーん、どれもかなり高いハードルだなぁ。

 女4人の芝居にするって決めたのは、今、菜の花座で一番熱心に舞台に立つことを熱望しているメンバーだからだ。昨年、諸事情で『カフェバンバ』の再演が中止になった時、とっても残念がっていたし、さらに12月公演が流れたことにも悔しさをあらわにしていた4人だ。彼女たちの残念そうな顔を見て、これはどうしたって、4人の芝居を作らなくちゃって思ったわけだ。

 次になんでオムニバス形式か?これは舞台を舞台上舞台にしようと決めたことから思いついた。ステージ上に舞台を仕上げ周囲を客席で囲む構造だと、舞台の広さはせいぜい間口2間半、奥行き2間半くらいのスペースに限定される。そういう小さな空間しかもすぐ目の前に観客という仕掛けでいつものようなストーリー演劇はちよっとふさわしくないなぁって感じたことと、少しでもいいから今までの型を破った舞台に挑戦してみたいって思ったからだ。

 以前も『遭難。』の公演で舞台上舞台を作ったことはある。ただ、そのときの設定の仕方にはかなり無理があった。一つは照明。例えばホリが使えない。調光室での操作ができない。客席が縦長になって舞台を見にくい。緞帳を降ろすので圧迫感がある。などなど。で、今回は前回とは発想を大きく転換して、舞台中央奧に舞台を作り、その周囲に客席を設ける構造にする。客席の後列になる舞台のかまちには、菜の花座お馴染みの客席囲い幕?を巡らせる。こうすれば調光室からも十分に舞台が見えるし、サスもフロントもSSも思う存分に使える。もちろん、ホリだって可能だ。これで120席程度確保できる計算だ。

 プラザの700席って大きすぎるんだよな。菜の花座や置農のような弱小アマチュア劇団には、200席くらいが調度いい。そんな小劇場の親密感を持った舞台空間を作りたくてね、こんなことを考えてみた。台本にしても芝居の構造にしても、舞台そのものにしても、やってみないとわからない未知の分野だらけだ。でも、新しいことだから、やってみる。やったこと無いから挑戦する、こういう前向きな気持ちは絶対に無くしたくないと思っている。

 菜の花座春公演は4月21日(日)だ。ぜひ、その日は空けておいてほしいな。おっと、作品の中身『決められない!』については書けなかった。また、いずれ宣伝を兼ねて作品解題を行おう。



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涙もありのわらび座『おもひでぽろぽろ』

2013-01-20 21:41:03 | 劇評
 わらび座ねぇ、ちょっとあか抜けないし田舎に媚びてるかなぁってイメージあって、あまり期待はしていなかった。『おもひでぽろぽろ』の米沢公演。思いがけず素晴らしい出来の舞台だった。

 これまでも数年に一度は見てきているわらび座、見るたびに舞台の質が上がって行っているのを感じる。今回の作品は地方発のミュージカルとして大台に乗ったなって感じた。ついほろりとする部分も幾つもあって、終演後には何度となくカーテンコールが繰り返されていた。

 実はこの作品、元はと言えば高畠に取材して制作された高畑勲監督の同名のアニメ映画を舞台化、ミュージカル化したものだ。副主人公のトシオは高畠で有機農業に取り組む若者たちが原像だ。トシオと僕と同名だが、残念ながら僕ではない。僕の友人たちだ。そんな経過もあって、映画版の全国初上映は高畠で行われ、なんと1日2回の上演に2000人以上が詰めかけるという一大イベントとなった。その運営にはかなり深く関わっていたんだけど、まあ昔語りになるのでこれ以上は書かない。興味のある人は拙著『帰農の里』参照。

 元々の映画をあまり覚えていないので、比較と言ってもいい加減なものなんだけど、今回のわらび座作品では、有機農業青年トシオの姿はかなり控えめになっていて、小学5年生の時のタエ子とその友達と現在のタエ子との絡みが全編巧みに織り込まれていた。特にタエ子の心の傷:あべ君との和解というテーマが全体を貫いていて、これが今風の良い効果を上げていたように感じた。いじめられっ子のお話しってことで。また、トシオのお婆ちゃんも大きな役になっていた。若々しく恋を謳歌する歌とダンスやその後のじっくりと描かれた若き日の辛い別れが、タエ子とは別のもう一つのおもひでぽろぽろとなっていて涙を誘った。この役者さんの力はずば抜けていたので、おそらくこの役者の歌唱力、演技力を生かすために作られたシーンなのじゃないのかな。

 このような台本(齋藤雅文)の巧みさ、それ以上に作品の成功に寄与したのは、やっぱり演出だな。栗山民也さんの演出、シーンの一つ一つが洒落た印象に残るものに仕上がっていた。トシオが運転するスバルR2の中の若い2人の演技とか、幻の小学生が跳梁する有様とか、ラスト、籐カバンと麦わら帽子へのトップ明かり残りとか、記念写真撮影でのシーンの終わらせ方とか、ちくしょー憎いなぁって演出が題材の泥臭さを洗練したものにしていた。

 甲斐正人さんの音楽も良かったし、松井るみさんの舞台美術も素晴らしかった。こういう一流の人たちに支えられて、わらび座の若手たちも精一杯力を発揮していた。質の高さを保証してくれるのは、やっぱり都会のプロなのか、ってあたりが残念な気はするけど、まず、見応えのあるミュージカルを極めて低料金で見せていただけたわけだから、素直に今日一日の幸せを感謝しよう。

コメント (3)
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見てる人は見ている:国際ソロプチミスト南陽クラブ賞

2013-01-14 10:59:04 | 地域文化
 置農演劇部はこれまでいろんな賞をいただいてきた。『こころを育む活動』全国大賞や『ボランティア・スピリット』全国賞、『やまがた公益大賞』など毎年のように大きな賞を頂戴している。食育子どもミュージカルの活動や演歌ショーの広範な公演活動を評価していただいたものだ。部員にとっても顧問にとっても大きな励みとなっている。

 多くの賞でそうなのだが、これら全国や県レベルの大きな賞は、こちらから応募をし、提出した活動内容の審査書類により受賞が決まる。全国で様々行われているたくさんの活動を自力でくみ上げ評価することなどできるわけはないから、これは当然のシステムだ。ただ、賞によって審査の仕方も異なっていて、『こころのを育む活動』全国大賞などのような大きな賞になると書類審査の後にめぼしいグループに対して実地聞き取り調査が実施されたりする。針小棒大、活動を過大に記述したり、筆先三寸、やってもいないことをいかにも風に記載したりしている可能性もあるからだ。

 たしかに、提出書類の書き方には気を遣う。特に書類審査一つで決まる賞の時にはなおさらだ。いくら、活動内容が勝負!と言ってみたところで、文章で伝える以上、上手下手は当然ある。活動の様子が十全に伝わるような書類作りに苦心している。忙しいさなか、2000文字とか3000文字の作文は容易でないが、生徒たちの活動が目に見える形で評価されるためには避けて通れぬ苦労と割り切っている。

 グループによっては、それは売名行為で本来の活動趣旨に反すると考える人たちもいることだろう。それはそれで潔い態度だと思う。でも、置農演劇部としては、ものごとはもっと簡単だ。人間だれだって褒めてもらいたいじゃないか!僕だってそうだし、生徒たちはもっとそうだ。褒められ、認められて、自分たちの活動の価値を確信できるのだ。自分に自信が持てるのだ。勉強でもスポーツでもその他特技でも、およそ自慢できるものなど持たない置農演劇部生徒たちにとっては、大きな自信回復、一発逆転の手段だと言える。だから、積極的に応募する。日本全国素晴らしい活動は五万とあるから、落ちてもともと落ち込むことはない。次の別口を狙えばいい。こんな風に置農演劇部は数々の受賞を手に入れてきた。

 しかし、今年、それとは違う受賞が二つあった。一つは『サントリー地域文化賞』。これは地元新聞社がサントリー文化財団に推薦し、その中からこれぞとおぼしき活動が選ばれ現地調査を経て受賞団体が決定する。置農の場合、山形新聞の推薦を受けたわけだが、その際の推薦項目は以前山心3P賞を受賞した「MOTTAINAIグループ」や「「えき・まちグループ」の活動が中心だったに違いない。おそらく推薦の時点では、演劇部も紅大豆本舗もほとんど考慮されていなかったと思う。

 ところが、実際の聞き取りでは、それら二つのグループと同じ、いやそれ以上に演劇部、紅大豆本舗の活動が印象つけられたのではないかと感じている。特に証拠があるわけではないが、演劇部の活動に対して、それだけで地域文化賞に値する、と言っていただけたことからの感触だ。だから、堂々と胸を張って受賞団体の一つと言っている。

 もう一つ、目立たないが大切な受賞があった。国際ソロプチミスト南陽からいただいた『国際ソロプチミスト南陽クラブ賞』だ。ソロプチミストはロータリークラブの女性版のような組織で、各地でボランティア活動や、地域支援活動を行っている。その活動の一つに地域団体の顕彰制度があり、今年は置農演劇部が対象に上げられた。応募のシステムはあるにはあるが、会員の方たちが地域を見据えてこれぞと思う団体に声をかけてくださる。演劇部の場合、その方たちと特別な関わりがあったことなどまったくない。会に呼ばれたこともなければ、活動のお手伝いをしたこともない。置農演劇部の評判を聞きつけ、陰からその活動を見つめてきた結果、授賞に値すると判断してくださったということだ。

 全国レベルの著名な賞も嬉しいが、このような地域密着型の賞もとても名誉なことだと感じる。学校や各種団体の活動をしっかりと見つめ、その意義を評価しての表彰だ。演劇部の活動を関心を持って追っていてくださった証だ。それも、女性たちがご自分の私財を持ち寄っての顕彰だ。賞状の大きさは一回りも二回りも小さくとも、その暖かさと確かにおいては、全国賞に匹敵する、あるいははるかに上回る受賞だと思う。

 見ている人は、どこかにいる。見ている人はしっかり見ている。これがすべての基本だな。

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地方の女を書きたいけれど

2013-01-05 23:28:36 | 地域文化
 菜の花座の台本だ。女4人で舞台を作る。しかも年齢は20代前半から30代。今、こういった女たちは何を悩み、何を喜び、何に失望し、何に怒り、何に微笑むのだろうか。

 できればこの地の女たちを書きたい。この山形県の一地方。そこに残ることを決めた、あるいは残らざるを得なかった、あるいは、たいした考えもなく残った、あるいは、・・・そんな4人の娘たちの舞台を作ろうとしている。

 彼女たちの関心は、恋、そうだろう。結婚、きっと大きな関心事だ。仕事、大切に違いない。でも、それは都会だって同じことだ。田舎だからリアルって話しではない。町から車を5分走らせれば田圃に囲まれ、自然豊かで健康的なデートコースには事欠かない彼女たち。でも、遊び場所って言ったら、カラオケ?ガスト?ワーナーマイカル?

 だから早々と結婚する者が多いのか?少女からあっという間に母ちゃんに飛び級して行く女たち。40歳でお婆ちゃんになっちまう女たち。その一方で、じくじくと己を抱えて戸惑う女たち。都会風のキャリアガールなんて縁もゆかりもない。洒落たバーも無ければ、危ない上司とのアバンチュールなんてのもさらさら無い。無我夢中でのめり込む仕事も無ければ、飛び出したいと願うほどの倦怠も無い。これをある人は、「まったり生きてる」と表現していたっけ。

 本当は、こんな女たちの現在を書きたいと思っている。どうと言うこと無い、でもたしかに女一人のかけがえのない人生、そんなものを書きたいと思っている。
 
 でも、今回の作品のテーマは、「決められない女たち」、とりたててこの土地の女たちに固有の問題ではない。今時の女に共感できる題材なのかどうかもわからない。ただ、その優柔不断は見方を変えれば、まったりに通じるものなのかもしれない。

 ともかく書き上げる。そして、後は当の女たちに任せる。そこから地方の女たちの息づかいが聞こえて来ないともかぎらない。そんなことを考えながら、一人一人女たちに形を与えて行こう。

 

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台本書きでお正月

2013-01-02 17:43:08 | 暮らし
 世間軒並みお正月。年越しには紅白見ながら鍋囲んで年越しそば、一夜明ければお屠蘇におせちにお雑煮元朝参り。

 今年は一人きりだからね、そばなしおせちなし、もちろん紅白もなし、初詣なんてとんでもない。でも、あんまり素っ気ないのもどうかってお屠蘇と雑煮は自分で用意した。わざわざ米沢の薬局で屠蘇散買ってきて、日本酒と味醂合わせて作った。今もそれをちびちび舐めながらのこのブログ。違うよな、お屠蘇の飲み方。いいのいいの、堅いことは言わない。降りしきる雪を愛でつつ雪見屠蘇。要するにお屠蘇好きなんだ、甘いし養命酒みたいで。

 などと超然たるゆとりの時間を過ごしているかって言えば、まるきし、ほでない。頭抱えたり、ノートに向かったり、うろうろ歩き回ったり、駅伝テレビ点けてみたり、除雪機動かして見たり、・・・・もう!本当、落ち着け!そう、台本書かなくちゃなんないから。

 正月はいつだってそうなんだけど、今年は新作が2本と加筆版が1本、かなりの圧迫感だ。1本は例年通り食育子どもミュージカル。新チームがだらしなくて気乗りしないんだけど、まっ、自分自身に対する約束だから書かないわけにいかないだろ。もう1本は菜の花座の新作。12月の菜の花座をスルーしたので、4月公演のための台本を2月までに仕上げなくちゃならない。忙しくて及び腰のメンバーが多い中で、やる気を見せてくれている若手女優4人のために書こうと思っている。最後はシニア演劇のためのコント手直しだ。11月に本公演が終わって、3月の卒業までに何をやるか、冬場だし新たに一本なんて無理だから、置農演劇部のコント『詐欺にご用心』をやることにした。これ出演者が6人、シニア演劇の生徒は7人。1人役柄を書き足さなくちゃなんないってわけだ。

 締め切りの順から言えば、コントなんだけど、これはまぁ、なんとかなるだろう、食育ミュージカルは生徒の本気見てからじゃないととても手を付けられない、となると、女4人の芝居だ。

 難しい!若手の女ばっかり4人。男は1人も出さない。難しい。4人姉妹なんてのはもう書いたし、同級生ものはありきたりだ。最近、安部公房にはまってたりするもんだから、普通に時間が流れる芝居はやりたくないななんて思ったりして。未来もの、超現実もの、それもなぁ。じゃあ、民話を今に引っ張り込んでかなんて、山形の民話本漁ったりもしてみたけど、それもぴんと来ない。

 舞台の設営方法もあるんだ。今回は2回目の舞台上舞台を考えている。小劇場風にね。小さな舞台をぎっしり囲む観客席。となると出し物も当然限定されてくる。あまりリアルな展開はそぐわない気がするし、大人数でじたばたどたばたするのも鬱陶しい。

 それと装置の問題もある。女4人と代表と僕、それに真冬のど真ん中。どう考えたって装置作りは無理よね。てことは抽象舞台。さあさあ、これらの難問を乗り越え突っ切る台本は如何に?!

 で、悩みに悩んでこの正月。うろうろ歩き回り、おろおろ頭を抱え、なんとかこれなら行けるかな?ってのにかすった気がしている。テーマは「決められない女たち」。1人芝居、2人芝居、それと4人の芝居があっち行きこっち行き、こんがらがりもつれあって話しが進む。いや、進まない。だって、決められない女たちなんだから。

 てことで、明日あたりから書き始められるかな。よし!BSプレミアム大晦日特集高倉健シリーズ、深夜なので見損ねた一本『唐獅子牡丹』見ようっと。そうそう、『幸福の黄色いハンカチ』と『駅・Station』は良かった。特に『駅・Station』、あんな大人の芝居を書かなくちゃね。

 


 

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