ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

定期公演『カノン』本読み佳境

2010-04-30 22:09:33 | 教育

 定期公演、野田秀樹作の『カノン』、本読み始めて3週間。あと14ページ、ようやく先が見えてきた。いつもののことだけど、これ本当にできんの?って悲惨な有様だったけど、どうにかこうにか格好になってきた。継続は力なりだね。

 なんたって、平安時代の盗賊の話しだからね。台本の元になっているのが、芥川龍之介の『偸盗』とメリメの『カルメン』なんだから、これはしんどい!特に置農演劇部のうぶな生徒たちには、宇宙の果ての別世界だよ。惚れた女のために盗みはおろか人殺しにまで手を染めてしまう男とか、堅気の兄弟をたらし込む女盗賊とか、想像しろったってとても無理!いやいや、そんな複雑な心理以前に、荒くれ者たちのエネルギーを再現すること自体が難しい。

 だから、初めのうちはただひたすら大声を張り上げることだけを要求した。ともかくせりふに力がないんだ。野生のバイタリティがないんだ。表現なんて二の次、三の次。もう目一杯声上げて迫力のある声だしだけを特訓した。

 今年のメンバーは、滑舌の悪いのとか、声が細いのとか、羞恥心が抜けない奴とか、やたら声がキンキンしてるのとか、もう、演技以前の課題満載の連中ばかりだから。本読みはまるで発声練習の如き趣だった。

 でもねぇ、やってれば変わってくるもんなんだよね。今日まる半日稽古していて気づいたけど、滑舌も良くなってるし、声も逞しくなってるし、恥ずかし地獄からも抜けだしつつある。もさもさ声の主役もかなりすっきりとした発声になっていた。

 表現もまだまだ底は浅いものの、嫉妬の狂おしさとか、若さの暴発とか、権力者のいかがわしさとか、そこそこに感じられるようになってきた。ともかく、要求することは、気持ちを作れ!ってこと。怒り、蔑み、嘲笑、哀れみ、嫉妬、狂気、悩み・・・・・登場人物の追い込まれた気持ちを自分なりに作ってそこからせりふを出せと求めている。

 今日は、主人公の太郎が女の裏切りにもだえ苦しむせりふを延々40分稽古した。わずか4行のせりふだ。女盗賊の女の歓心を引こうと何人もの人間を殺した若者が、女の心変わりに、落ちた奈落の深さを呪うせりふだ。これをとことんやった。泣いた!普段笑顔いっぱいの生徒が。どんな辛くてもめげない奴が。できない悔しさにか?自分の不甲斐なさにか?泣いた!あの涙、太郎の涙にも通じるものがあったのかもしれない。

 あの涙、効果があった。壁にぶち当たっていた当人もそこを抜けられた。周囲で見守る部員たちも厳粛な面持ちで見守っていた。そうか、ここまでやるのか?!これが演じるってことなのか!緊迫感に溢れた40分間だった。

 こんな緊迫感ある稽古を重ねながら、しだいに劇が形を整えていく。どうやら芝居が立ち上がっていく。そして、部員たちは着実に新しい表現と自信を獲得していくんだ。継続、繰り返し、積み重ね、これしかないんだ、自分を超えるには。

 

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奮闘!レコードのデジタル化

2010-04-28 22:18:26 | 演劇

 ことの起こりは、定期公演『カノン』だよ。どんな音楽付けるか?『カノン』だからね、やっぱ、クラシックでしょ。それもバロック。あっ、チェンバロとかオルガンの曲なんか似合いそう。だったら、あるじゃん、家に!レコードだけど!!

 ってことで、もう何十年もほこりを被ったままのLPレコードを引っ張り出してみた。あるある!バッハ。じゃーん!平均律クラヴィア曲集全6枚!聞いてたんだよね、こんなもの。はるか昔の話しだけど。それにしても、これってお宝だよね。他にも無伴奏チェロソナタ全曲とか、シューベルトの冬の旅とか。すげえすげえ!こりゃ、なんとしてもデジタル化して、パソコンかHDに保存しなくちゃね。

 さあ、どうする?以前使ってたソニーのBVAIOにはソニックステージマスタリングスタジオってアナログ=デジタル変換ソフトが付いていたけど、今使っているダイナブックにはあっちゃこっちゃ探ってみてもないみたい。買うか?ソフト!こんだけのお宝手に入れるためだもの、出費もやむなし!で、いろいろアマゾンとか、価格コムとか探し回ったら、IOデータからDAVOXLって機器が手頃な値段で出ているってことがわかった。ソフトも付属してるってことで、よし、これだなってことで早速注文。

 機器ったって届いた品物は、プラスチックのちっぽけな箱。入力と出力の端子がついて、USBのコードがついてるってだけのもの。できんなかい、こんなもんで?まずは、居間のオーディオセットに接続してやってみる。さっぱりだめ。アンプからの出力端子って奴が見つからない。そんじゃ書斎?のミニコンポならどうだ?とこれもあれあこれ2時間ほどの悪戦苦闘。ようやく、ヘッドホン端子から信号を取り出せばいいんだと思いつき、どうやらパソコンに取り込むことができた。

 よしよし、パソコンのマイミュージックに保存してと、さて、聞いてみる。あれあれ、なんか、雑音だらけ!えっ!なに?このプーンて音は。向きを変えたり、あっちを差し替えこっちを直し、さんざんいじり回して得た結論は?プレーヤーが悪い!!なんと、10万以上もしたんたぜ、これ!って言っても40年近く前だもんな。雑音も仕方ないっ諦めるわけにはいかないよ、だって、レコードは結構音質いいんだもの。

 うーん、プレーヤーか?また、買い物か?またまたムダ使いか?でも、買わなきゃ、DAVOXLも100枚以上もあるLPもすべて無駄になる。貴重だよ、ビートルズやボブディランもそうとうあるしね。今時、いくらで変えるんだ?プレーヤーって。で、またまたアマゾン&価格コム。おっと!7900円?!なんと、一回の飲み会費用だよ。ってことは、飲み会一回スルーすればいい。よっしゃ!買っちゃえ!!やれやれ、いつだってこのパターンなんだよ。

 で、買ったプレーヤーがオーディオテクニカのAT PL300って奴。ちゃちいぃぃぃ!軽いし、簡便だし、なんかおもちゃみたい。ベルトドライブのゴムなんか5ミリ幅だもの。40年前のダイレクトドライブの重厚感を懐かしみつつ、まっ仕方ない、買っちゃったんだもの。

 菜の花座稽古帰りの11時近くだったけど、早速接続してデジタル化へGO!『カルミナ ブラーナ』で試してみる。この曲も『カノン』には似合いそうな気がしてたから。日付が変わる頃、ようやく完了。パソコンに取り込んだ音を取り出して見て、おおーーっ!いいじゃん。安いのにちゃちなのに、軽いのに、なかなかの働き者だった。まずは、これで大量の宝の山を手堀りすることが可能になった。良かった!良かった!今夜はぐっすり寝られそうだぜ。

 

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地域のあったかさ:『夢芝居2010』初公演

2010-04-25 00:23:35 | 地域文化

 地域のお花見会、観桜会に呼ばれた。南陽市金山地区。でも、この寒さだろ、桜はぎゅっとつぼみを閉ざしたまま。春の息吹なんてどこにあるの?霰さえ落ちてくる天候だもの。だから、お客さんは、・・・そりゃ来ねよな、きっと!

 午後1時に集合して、いつもの通り走って、ストレッチして踊ってアップして、さあて、メイクと着付け。あれれ、観客は?まあ、いいじゃないか。十人だろうと5人だろうとしっかり見てくれる人がいればそれでいい。

 今日の余興は地区に生まれた合唱団と置農演劇部。先に「金山合唱団」の発表。女性14~5人と男性5人ほどの混声合唱だ。曲目は『白いブランコ』『千の風にのって』他一曲。いいなぁ!いや、上手ってわけでは、・・・・・でも、なんかぐっと胸に迫るものがある。おばさん、おじさん、おじいさんが、一生懸命、『白いブランコ』歌ってるのって、いいよなぁぁぁ。後ろには桑畑があって、その奥は山。キーボードに合わせて精一杯なんだ。

 金山って地区にどんな歴史があるのか、知らない。でも、ここに集まった数十人の人たちが心から金山を愛し、金山を大切にしていこうと思っているか、じんじんと伝わってきた。人が集まらなくたって、自分たちが心から楽しんでいれば、いつか地域の人たちも気づいて寄ってくっさ、ほんで、それがいつか大きな流れになって、生き生きと地域が立ち上がってくるに違いねえなさ、ってそんな感じかな。

 結局、観客は合唱団+飲み物販売の方たち、+子どもたち数人、しめて・・・・・でも、楽しい公演だった。高校生の拙い踊りを思う存分楽しんでくれた。目一杯声援してくれた。だから、部員たちも気持ちよく、ノリに乗って踊っていた。アンコールまでしてもらっちゃって。終わった後は、玉コンと団子と綿飴のご馳走攻勢!いやあぁぁぁ、食った食った!それも金山のおじさん、おばさんたちと楽しく歓談しながらね。

 まさしく異世代交流!この『夢芝居』には多分そんな効用もあるんじゃないかと思っていたけど、思った以上の素晴らしい成果だった。今の高校生にとって、父親とも爺ちゃんとも言える人たちと、気持ちを通じ合えるって、ほんとあり得ない状況なんだから!地域を大切に大切に頑張っている人たちとの交流、この経験は必ずなんかの形で生きて来るに違いないと思うね。

 気に入ってもらって、次回も呼んでもらって、末永いおつきあいになれば、これはまた、素晴らしいことだよね。南陽市金山の皆さん、ありがとうございました。

  

 

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定期公演は懲りもせず野田秀樹『カノン』

2010-04-21 21:26:24 | 教育

 笑ってくださいよ!馬鹿にしてくださいよ!蔑んでくださいよ!またまた野田やっちゃおうてんですから。

 2年前は『キル』!訳もようわからんせりふを、勢い一つでわめき散らし、どでかい布舞台中に広げて右往左往して3時間。もう懲りたろ!?って思っていたら、今度は『カノン』だよ。やれやれ、ってまっ、僕と顧問Nで選んだんだけどね。

 そりゃね、いろいろあたりましたよ。なんか定期公演にふさわしい台本ないかってね。ただ、置農演劇部定期公演については、暗黙の不文律があってね、これがなかなか容易でない。まず、時代の先端に近い作品を選ぶこと。一筋縄でいかない作品に挑戦すること。もちろん、高校演劇なんて論外。生徒たちの現実から遠ければ遠いほどいい、なんて選考基準なわけだから、これは見つけ出すのは至難の技なんだな。

 永井愛やって鴻上やって野田やって新感線やって、残るはケラか?渡部えりか?っていろいろあたってみたけど、どうも、これだ!ってのにぶつからなかった。仕方ないんで、過去の名作なんかも当たってみた。

 水上勉の『はなれ瞽女おりん』なんかはかなり乗り気になった。瞽女歌CDまで買って聞いたくらいだもの。で、これがまたなんとも言えず良くてね、ああ、これ絶対やりたい!って思って読み返してみたんだけど、やっぱりダメだ、ってことになった。女の役が少ないんだもの、女性上位のうちの部には向かないなってね。

 そう、いくら素晴らしい作品でも、我が部のレギュラーメンバーに向かなけりゃ、ダメなんだよね。部員の数、男女の比、主役級の部員のキャラクター、そういったもろもろがフィットしてないとね、無理なんだ。

 じゃあ、なんで野田秀樹?

 それはね、現実から適度に浮いてるからなんだ。永井愛や水上みたいに地べたにべったりじゃない。だから、女が男をやってもさほど不自然でない、って僕が思ってるだけか、いや、そうなんだよ。それと、わかりそうでわからないせりふとシーン展開。そのくせ、やたら面白いやりとり、こんなとこが、うん、そうか、これしかないって勘違いさせらちまうんだろうね。

 てことで、前回『キル』同様、主役の男役は女が演じる。どこまで悪党に迫れるか?道ははるか(春香、って奴が演じる)彼方だね。それと、今回の『カノン』では衣装のこともあった。時代劇でも、平安時代もの、ってことは水干直垂だよね。これなら、今のうちの衣装チーフなら簡単に作れそうだってことと、結構様になるよなって直感だ。あと、ちょんまげが不要ってことも大きい。

 と、置農演劇部にいかにふさわしいかってこと書き連ねてきたけど、実際は、壁だらけ。カルメンのような魔性の女「沙金」を演じられんのか?とか、太郎、次郎ともに女で立ち回りできんのか?とか、問題は山積みだ。野田作品特有の場転の突拍子無さも問題だ。いずれにしても、高校生にふさわしい芝居じゃないよな。

 で、だから、演るわけだよ!挑戦するわけだよ!!

 で、今日の本読みは、1時間半でわずかに1ページ!!いつものことながら、終わるのかよ、これ?!

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お待たせ菜の花座『つぶやき六角堂』台本完成!

2010-04-17 20:40:00 | 地域文化

 へとへとだよ。もう、這いつくばってゴール、バタン!って姿だね。予定を三週間も遅れてしまった。今朝、最後の推敲をして、印刷、午後からの置農演劇部に綴じ方を手伝ってもらって完成した。公私混同じゃないか?いやいや、菜の花座、主体は置農演劇部OB/OGだから、応援するのは当然だ。もちろん、部員も喜んで?助けてくれた。本番は7月11日と日程決まっているから、役者やスタッフの皆さんに迷惑かけるね、ごめん。

 今回のお題は『つぶやき六角堂』。そう、今はやりのつぶやきだ。それが落ちになる、けど、もちろんどんな使い方したかは、見てのお楽しみだ。菜の花座の役者10数人を持ち味生かしつつ当て書きしたので、役者にとっては、やりやすい芝居になっていると思う。かなり笑いの要素が強くなったかな。気楽に楽しんでいただけるという点では合格、でも、人生の深みをえぐれたか、となると自信はない。片田舎に生きる人たちの様子はそれなりに描けたとは思うけどね。

 さあ、明明後日から、いよいよ稽古。今回も菜の花座の異世代混交の強みを生かし切った舞台になるはずだ。かつての若手もそろそろ中堅、それなりの責任を果たしてもらうことになっていくと思う。そうそう、今年卒業の置農演劇部員も勝手に書き込んだんだけど、出てくれるかね。

 昨日は演歌ショー『夢芝居』用のコント『振り込め詐欺にご用心』も書き上げて、ようやく台本書きから解放されたこの夕べだ。さっ、溜まっていた本でも読むとするか。

 まずは、トム・ストッパードの『コースと・オブ・ユートピア』だ。ほら、去年、BUNKAMURAで9時間だかかけて上演したってあれだよ。作者のストッパードは『恋に落ちたシェークスピア』の脚本書いた人。面白かったものね、あれ。それと『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』ってこれまた不思議なシェークスピア劇のひねり物も書いている。これは何年か前、古田新太と生瀬勝久の絶妙のコンビの舞台を見て、これまた、すごく良かった。なので、かなり分厚い本だけど楽しく読み通せそうだ。それでは、読書の時間ですので。

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