ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

マジック アワーに出会ったか?

2008-06-30 22:09:58 | 映画

 三谷幸喜の『マジック アワー』、上手いねー!さすがだねー!あの作り物ぽさがほんと!良かった。セットと言い、ストーリーと言い、演技と言い、ほんとウソっぽくてね。わざとらしくってね。導入では、どうなるのって、心配したけど、見終わって見ると、ああ、この映画はああじゃなくちゃ!って納得、安心、お気に入りだった。

 何が良いって、三谷さんのシチュエーションコメディへのこだわりだよね。伝説の殺し屋の代役に、売れないアクション俳優をはめ込む、ここまでは、まあ、よくある手だ。僕だって考えつく。おっとー!でも、その俳優が状況をまったく知らされずに、その仕事を映画の撮影として突っ走るって、これ相当の荒技だ。どうしたって無理がある。そこら中にほころびどころか、糸のほつれやら、かぎ裂きやらが、ちら見えで、そりゃないだろ!と突っ込み入れたくなることしきりなのだが、

 でも、許す!おっと、僕なんかに許してもらっても仕方ないか。でも、このとんでなく無茶なシチュエーションを必死でこぎ渡ろうとした監督を、僕は、無謀を承知で夢に立ち向かう息子をほほえみつつ見守る母親のごとくに、抱き留めたい。だから、僕が抱き留めたら気持ち悪いって!つい軽い気持ちでついたウソを、必死で上塗りして、ごまかしの自転車操してるみたいな、そのひたむきなウソ八百への情熱を良しとしたい。つき始めたウソが、どんどんエスカレートして行き、どんどん荒唐無稽になっていく。その手練手管の巧みさではなく、そのがむしゃらさに心打たれた。

 もう一つ、ぐっとくるもの。それは、三谷さんの映画への思いの深さだ。ほとんど過去の名画など縁のない僕には、どのシーンが何の映画のパロディなのか、オマージュなのかわからない。でも、幾つものシーンが、かつて三谷さんが恋いこがれた名シーンをイメージして作られたものなんだってことは直感できた。どっかで見たようなシーンやせりふの連続だった。でも、それは借り物ってことじゃない。嫌みなんて全然感じない。うふふ、やるやる!みたいな共犯者の心持ちかな。これが愛する映画への最高の捧げ物なんだってこと、よーくわかった。

 できあがったシーンばかりじゃない。映画制作を陰で支えるスタッフへの尊敬と愛着。これも上手に組み込まれていた。何たって、ラストシーンは、裏方の大活躍で締めくくられたからね。ともかく、好きなんだよな、映画が。その熱い思いがふつふつとたぎる映画になっていた。

 だから、エンドロールは、セットが組み立てられるまで。これ、見事なものだった。これだけでも、数百円の価値はあったんじゃないか。最後に裏方の凄技を持ってくる、監督の思いの深さ、並じゃない!!

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発見!『父と暮らせば』

2008-06-29 10:55:34 | 演劇

 こまつ座公演『父と暮らせば』を見た。今回でこの芝居を見るのは三回目、脚本も読んでいる。ストーリーはもちろん分かっている。装置もああこれこれって懐かしい。導入の押し入れシーンはいつ見ても、洒落た工夫ににんまりしてしまう。せりふだって、随所に、そうそうそうだったと、思いだしつつ見た。なのに、にも関わらず、昨夜の舞台は発見の連続だった。

 例えば、父親が原爆の惨状を一寸法師の昔話を借りて語るシーン、覚えていない。いや、覚えてはいる。でも、語りつつ次第に激していく父親の恨みつらみの衝撃力はまるで記憶にない。そのときのせりふ、原爆の灼熱の温度は16,000℃、太陽二つ分、上空数百メートルで二つのお日さんが輝いた。こんな印象的な大切なせりふなのにさっぱり覚えていない。

 やれやれ、僕の芝居を見る目、せりふを聞く力もたいしたもんじゃないね。がっかりだ、まったく恥ずかしい。

 もっと驚いたことがある。それは、父親がすでに死んでいるってことが、芝居の冒頭から語られていたってことだ。いやあ、知らなかった。ラスト、家屋の下敷きになった父親を救い出そうとする娘、被爆時を思い出すシーンで初めて、父親が幻影だったと明らかになるんだと、すっかり思いこんでいた。そうじゃなかったんだ。観客にはかなりはっきりと、父親の被災そして、死が伝えられていた。こんな大事なこと見落としていたなんて、もう、恥ずかしいを通り越して、呆然としてしまうほどだ。

 こんな誤解は、単純に僕の注意力のなさが原因なんだが、今になって、翻って考えて見ると、いや、開き直って思い返してみると、僕が勘違いしたような構成の方が、いいんじゃないだろうかって思えてきた。おいおい、井上さんにけち付けようなんて、おこがましいにもほどがあるぞ。まっ、それは百も承知。

 だってね、娘が父親の死を受け入れているとなると、娘はかなり意図的に父親の幻影を引っ張り出して利用してるってことになる。木下さんへの愛に踏み出すために、その一押しがほしくて父親を呼び出してるってことになる。もちろんそうなんだが、それを観客がはなから知ってしまうと、なんか、娘の打算が見えてきて、ちょっと鼻白む感じがするんだ。父親は生きていて、愛に躊躇する娘を心配して、訪ねてきているって形でラストのどんでん返しまで行った方が、娘のいじらしさを損なうことがないように感じる。生きている存在と思いこまされていた父親が、実は娘が呼び出した幻想だったって最後にわかった方が、ラストの衝撃力もより大きくなるんじゃないだろうか。

 前回までは、僕の方でそう思いこんで見ていたから、ラストシーンのインパクトはかなりなものだった。今回は、さらっと終わったって感じ。木下さんを出迎えて、夕日に立つ娘の横顔、もう一つ、迫ることがなかったのも、そんな理由からかもしれない。

 とは言え、あちこちで心打たれ、涙を流したから、全体としてはとても良い舞台だった。萬長さんの熱のこもった演技も良かったし、栗田桃子さんの、せりふぽくない淡々とした語り口と、突如吹き出す激情の奔流にも引きつけられた。彼女が美人でなかったことも良かった。ごめんなさい、桃子さん。気付ば、もう終わり?あっという間の1時間半だった。

 さて、今回も置農演劇部部員全員で見に行った。期末試験二日前だって言うのに、いいのか?いいんです!見終わった生徒たちみな、泣きました、と感激しきりの表情だったから。そう、この感動は、きっと、彼らの心の中に大切なものとしてしっかり残る。悲惨な原爆のこと、そこに生きた少女のけなげさ。期末試験なんかよりずっと大切なものなんだよ。おっとそうまではっきり言うとまずいけど。それにしても、一部男子が寝てたってどういうことなんだ?男の鈍さは、演劇部に入ってもなおらないか。

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キャストそろう!

2008-06-27 21:52:40 | 演劇

 よかった!やっと、キャストが全員出そろった。出てくれるのか危ぶんでいた東さんが、出ます!と言ってくれたんだ。 

 アマチュア劇団で、何が辛いかって、出演者がなかなか決まらないことくらい厳しいことはない。なんせ、みんな忙しいからね。今回はお休みとか、しばらく休憩とか、これで辞めますなんて言葉がぼろぼろ出てくる。それをなだめすかし、だまくらかし、泣きついて、なんとかかんとか、出演者を確保する。ほんと、胃の痛むような作業だ。

 今回みたいにキャスト17人なんてことやっちゃうと、これはもう、全員OKとるなんて不可能に近い。特に、今回はしばらく遠ざかっていたベテランの男優二人に当て書きしてしまったから、その人たちに断られたら、絶対絶命ってことだったんだ。

 中でも東さんだ。壮士芝居一座の女形って設定だから、これはもう、置賜の演劇人では彼しかいない。あの柔和な表情穏やかな物腰、下がった眉毛、いやいや、何よりもあの演技力!どう考えたって、東さんなんだ。って、いっくら力んでみたって、わからないか。分からない人は舞台見てください。納得!だから。

 彼の場合、大切な仕事と重なってしまって、今日まで返事がもらえなかったんだ。それが、先週、はっきりと承諾してもらった。これで、この芝居『雲雀 はばたきて』は成功したも同じだ、ってほど、僕は安心した。

 それと、彼らベテランが出てくれるのは、若手にとっても実にいい刺激になる。味がある、工夫ができる、真面目に取り組む、若手にはぜひぜひ見習ってほしいところがいっぱいある。だから、この芝居を機に、精一杯取り組むという基本に戻ってほしいと願っている。

 ともかく、これで面白くなった。18歳の若手から、ベテランの男優陣、そして、熟年層まで、菜の花座の持ち味、幅の広さが戻ってきた。さあさ、これは楽しみですよ。稽古もすでに勢いを増しつつある。おい、若いの!甘えてないでがんばれよ。

 

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全国大会出場記念公演

2008-06-25 23:04:16 | 演劇

 置農演劇部全国大会出場記念公演の宣伝活動がスタートだ。この間の土曜日は、部員全員で小松の町にポスター貼りに出た。日曜は顧問Nが米沢のホールにポスター持って回った。月曜日は、同窓会の支部長会で、公演の宣伝活動お願いした。なんと、総会終了後の懇親会を演劇鑑賞に振り向けてくれることになった。今日は今日で、保護者会。一人10枚のチケット販売をお願いした。

 なんせ、川西、米沢の二カ所でそれぞれ昼夜2回の公演だから、すべて満席にするとすれば、2400枚売らなくちゃなんない、大変なんだほんと!まっ、川西の昼の部については、本校生徒と地元中学生が見てくれるので、満席間違いないんだけど、米沢がねえ・・・・。明日からは、管内高校、中学校にポスター、チラシを郵送する。

 こんなに大がかりになるなんて考えてはいなかったんだ。川西での公演、これはやらなくちゃゅならない。でも、米沢は、練習会か?ってくらいの軽いノリだった。全国行くんだから、せめて、米沢の高校演劇部には見てもらわなくちゃ、て゛、どうせ公開するなら、一般公演で、だったら、2回公演で。こんな調子で、あれよあれよと、4回の公演が決まってしまった。それを学校が全面的にバックアップしてくれる。

 ありがたいことだ。芝居の出来は、舞台の数に比例するから、何度だって公演は大いにこしたことはない。昨年だって、地区より県、県より記念公演、記念公演より東北とぐいぐいと上達していった。今年だって同じことだ。場数を踏んで出来をあげていくしかない。ただ、気がかりなのは、公演の間が短いことだ。謂わば熟成の時間がない。促成に次ぐ促成で仕上げていくしかない。

 演技も歌も生バンドも前途多難。後、1ヶ月!出来るのか?いいや、できる!絶対できる!今までだって、掲げた目標はすべてクリアーしてきた。今回だって同じこと。部員たちはかっちりと成長して本番の舞台に上がるだろう。

 ということで、置賜農業高等学校演劇部全国大会出場記念公演は

川西公演:7月23日(水)15:00~と19:00~の2回公演 

      会場はフレンドリープラザ

米沢公演:7月29日(火)15:00~と19:00~の2回公演

      会場は伝国の杜置賜文化ホール

だ。入場は、一般500円、高校生以下無料。

ぜひぜひお出かけください。昨年のバージョンとはさらに変わった新演出でお待ちしています。次回はどんなとこ変わったか、ちらっともらしちゃおうかな?

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新ハージョン『どんがら山奇譚』

2008-06-20 21:45:18 | 演劇

 全国大会向け『どんがら山奇譚』、始まった。去年の舞台のDVDをみながら、動きなど思いだしつつ進めている。ものの出ハケなんか、基本的に同じだから、画面見ながら、ああ、ここでこうするんだぁ!なんて、感心しながら作っている。

 でも、同じことを2度するのって、嫌だよね!台本が同じ、てのは仕方ないとして、演出や装置は、やっぱり手直ししたい。演技だって、去年の猿まねなんてうんざりだ。だって、去年の作品見た人が、今年もたくさん見に来るんだから。なーんだ、去年と同じだ。キャスト代わった分だけ、落ちたね、なんて、言われたくないじゃないか。おっ、違うぞ!うーん、去年よりバージョンアップしてる!って言われたいもの。アップはともかく、なるほどなるぼと、手を加えてきたな、てくらいは、サービスしたい。

 で、演出面では、全曲生演奏を目指す、しかも、演奏中のバンドが常時見えているような工夫をする。さらに、気分を削ぐ暗転を極力減らす、なんてことを目標にしたので、必然的に装置も半分くらい作り直すことにした。おっと、歌の方も、土井先生に無理を言って、二曲書き直してもらった。さらに、細かい動きは、これからどしどし変えて行きたい。

 って、ことだから、何度も見ている人にも見応えのあるものになると思う。どうか、楽しみにしてほしい。全国大会のプレ公演のチラシ・ポスターも今日出来てきた。明日は全員で川西町町内に貼りに出る。いよいよ、とうとう、ついに、始まった。後は、この新しい試みをしっかりと自分のものにするだけだ。さあ、頑張ろうぜ!みんな!!

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