ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ご心配をかけました。『アーダコーダで魔女ナンダ』初演

2012-03-29 21:57:50 | 演劇
 前日の18時に衣装が完成ってどんな初演よ?ってみんな心配してくれた『アーダコーダと魔女ナンダ』の初演、なんとかやり通せた。あんな事前準備で、よくぞここまで仕上がったものだと、改めて置農演劇部の底力を心強く思う。

 こんなことは今までやったことないんだけど、搬入・立て込みの後、即座に通し稽古。そう、会場で通し!ランニングもストレッチも発声もすべて省略で、昨日の続きの通し稽古をした。そのくらいせっぱ詰まってたってことだ。

 当然、ここでもセリフは飛ぶは、間は開くは、出は遅れるはと散々の稽古。そりゃそうだ。慣れた練習場所でやったって上手く行かないものが、本番会場の狭い袖空間の中でスムーズになんて行くはずがない。舞台経験の浅い1年生が中心なんだもの、ちょちょっと段取りしただけで、巧みにやりくりなんてできっこない。こりゃ、立ち往生も覚悟せにゃいかんな、って正直思っていた。

 でも、いざ終わってみると、赤面するような大きな失敗はなしで済ますことができた。微妙に止まったり、間が延びたりはあったものの、セリフのやりとりストップという最悪の事態は免れた。

 いや、できそものは、はなはだ不満だ。歌の声は小さいし、歌詞は忘れているし、歌は走るし、可動パネルの転換はでたらめだし、ダンスは間違えるし、笑いも不発だし、音響もエコーかけ忘れるし、笑顔はないし、・・・・・もう、きりがない。それでも、見終わった子どもたちはみんな面白かったと言ってくれた。1時間5分のお芝居の間、子どもたちの頭が揺れ動くこともなかった。

 1年生中心のこのチームで、これほどまでにかぶり物も衣装も歌やダンスも多い芝居を短期間で仕上げられたってことは、大したものだと思う。明日は、米沢市松川コミセンでの公演だ。13時の開演に、9時から乗り込んで、徹底的に稽古するつもりだ。自信をもって、出来た!と言える舞台に仕上げよう。もちろん、その後も手直しはそこら中で続けていくわけだけれど。


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壮絶!初演前日

2012-03-28 21:58:22 | 演劇
 壮絶な1日だった。まさしく戦争!何度部員を怒鳴り散らしたことか!いや、罵声を浴びせたのは昨日の方がはるかに多かった。だって、初演の前々日だというのに、衣装が7割方できていないってことを発見したからだった。

 迂闊だった。菜の花座公演で十分に目配りが出来なかった。大丈夫!進んでます!という言葉を鵜呑みにしてしまった報いだ。もっ早く気付くべきだんだ。物作りに入って一週間たった頃、2台あるミシンのうちの1台しか稼働していないことに気付いて、問いつめたところ以前から故障しているとの返答。えええーっ!!どうしてすぐに言わないの?衣装班4人もいて、1台のミシン、何してたの?この時点で進捗状況のチェックを入れるべきだったんだな。でも、まだ、1週間あるからと、ジャノメミシンさんに来ていただいてその場はスルー。

 月曜日、菜の花座の公演も終わり、さあ、明日はぎっちり通しをするから明日の午前中にはすべて物作り作業を完了してね、はぁーい、わかりました、ってことで、迎えた昨日。驚いた!ほとんどできていない。さらに、ミシン1台は不調。えっ?なに?残り15着?!?!?!!!!!!どうして?なぜ言わないの事前に?出来てないなら、土日も顧問Mについてもらって部活できたのに!ね、この状況で怒り狂わない人間は居ないよ。

 でも、怒りをぶちまけてたって衣装はできないし、明後日の初演が延期できるわけでもない。年度末の担任業務に多忙な顧問Nも引っ張り出してきて、絶対絶命のピンチの打開策を協議した。Nも怒り心頭!ただし、僕とは正反対に理路整然と部員を追求して仕事を割り振っていった。その必要以上の落ち着いた振る舞いに怒りのわななきがぷるぷると伝わってきた。

 一発逆転の秘策は、まずミシンを2台買い足すこと。次に翌日は朝7時に集合して実習前に衣装と稽古を始めること。さらに衣装班には全員持ち帰りの作業を課すこと。後は、衣装には顧問NとMが全面的に介入し、突貫作業を行いつつ、僕の方は演技の仕上げをしていくってことにした。

 だから、今日は6時半から作業開始。途中、昼食以外は午前一度、午後一度の10分間休憩を取っただけで、ぶっ通しての作業と稽古の同時進行を敢行した。

 ミシンは、ジャノメさんが、大サービスで8時過ぎには届けてくれて、不調の一台も修繕してくれた。なんと2台のうち一台は古いのでサービスですって。本当にあり得ないほどのご厚意だった。すでに2回も修理にきてくれて、そのうちの一回は針を反対向きにセットするという初歩以前のミスだったにもかかわらず、すべて無料。何か御礼をと言ったら、定期公演のチケットもらえればそれでいいですよ!ってなんとういう嬉しいご返事なんだろうか。

 ミシンが4台揃い、顧問2人も入ったことで、フル回転で作業は進み、通し直前の午後6時にすべて完成した。トラックへの荷物積み込みは明日早朝ということにして、ぎりぎり7時まで稽古を続けたが、結局、半分までしか進められなかった。でも、昼間のぶっ通し稽古のお陰で、セリフもだいぶ確かなものになったし、ダンスや歌もしっかり仕上げることができた。後は、最後のつめを各自自宅で怠らなければ、なんとか初演をやり抜けそうだ。もちろん、緊急避難的に手を抜いた所も多々あるので、今回の2回公演が終わったら、その部分の手直しもしなくてはならないだろうけど。

 装置を立て、衣装をつけての稽古を見る限り、なかなかいいものに仕上がりそうに感じた。中でも魔女の衣装がカラフルで、配役の人選ともども、うん、間違いなかったと安心することができた。乙姫一族との対決シーンなど色彩的にきらびやかでとても魅力的に仕上がっていた。後は、役者たちがどれだけ役を自分のものにして、吹っ切れるかだね。

 ということで、明日は川西町農改センターで10時開演。明後日は米沢市松川コミュニティセンターで13時開演だ。お近くの方はどうか足を運んでください。

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1回公演の効用

2012-03-26 21:39:35 | 地域文化
 この数年、菜の花座は昼と夜の2回公演で通してきた。少しでも多くの人にみてもらうため、役者の舞台経験を増やすため、に無理を承知で押し通してきた。そう、無理!たくさんの無理がある。まず、金がかかる。役者の負担が大きい。打ち上げが後日になる。撤収が深夜に及ぶ、などずいぶん大変な思いをして意地を張り通してきた。だが、今回は昼の部一回に戻した。

 理由の一番は、2回やってもそれほど観客が増加しなかったこと。特に夜の部は入りが寂しく、まばらな客席を前にした上演では役者のテンションも下がって、結局舞台の質を保てなくなったからだ。夜遅くなれば、翌日の仕事にも差し支える、この点でもメンバーの士気は低下した。もちろん、費用の割増分も痛い。そんなこんなで、今回は昼一本にしぼることにした。

 たった一回しか上演できない物足りなさはあるものの、客席の埋まり具合も上昇し、終演後もゆとりを持って片づけに取り組むことができた。これまでの大騒ぎの撤収とは大違い、和やかな笑いの中で作業を終了できた。そして、何よりの効果は、その日のうちに打ち上げができたことだった。

 お陰で、関係者全員、さらにはほぼ無関係の置農演劇部OBまではまって長時間舞台や演劇の話題で盛り上がり、久しぶりに美味しい酒を飲むことができた。団員たちの評価もほぼ完璧に一回公演歓迎だった。

 理想としては、土曜の夜に一度、日曜の昼に一回の2回公演ってことなんだろが、今時土日がきっかり休めるのなんて、公務員か大企業の社員くらいしかないから、菜の花座ではとても無理。ここ当分はこの形を続けるしかないだろう。さらにさらに観客動員を膨らませて、700の客席の7,8割が埋まるような劇団になることだろう。

 さて、今回は、私も舞台に出ていたので、舞台の写真を撮るのが大変だった。出番を済ませては客席に戻ってシャッターを押し、出番が近付くと袖に戻って準備する、なんてこ忙しいことを繰り返してどうやら撮影を済ませた。そのうちから何枚か紹介しよう。



 
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朝からオムレツ焼いて:『カフェバンバ』

2012-03-26 00:02:41 | 地域文化
 菜の花座第25回公演『カフェバンバ』、終わった!うーん、間違いなく!(びっくり)マークだよ。

 公演の朝にオムレット焼くって!なんちゅう経験だ!それも3つも!使った卵はなんと10個!(そのうち最低5個は、ゲネと本番で食べさせられたんだけど。)

 それが終わって今度は早朝からパンフレットの印刷。プラザに着いたら、音響担当が手配違いで、まだ自宅ぅぅぅぅ!

 なんなんだぁ?このしっちゃかめっちゃかは!

 こう書けば、このはちゃめちゃの1日のユニークさが少しは感じてもらえるだろう。

 これまでも、危機一髪は何度もくぐり抜けてきたけど、今回は中でも格別だった。まずは役者にセリフが入らなかった。前日のゲネは通しどころか、立ち稽古、本読み状態?衣装も決定したのは数日前、おまけにやたら消えものが多くて、そちらの準備もまま成らず、しかも、これまたやたらと出はけが多く、段取り覚えるのも一苦労。

 やっば、冬場の稽古ってのは、無理、無理、無ーーーーーーー理!

 でも、そこは菜の花座、今回も奇跡で見事に乗り切ることができた。もちろん、手直しすべきところはまたまだぞろぞろだったんだけど、何とかかんとか、見てもらえる舞台になった。

 今回も幾つか新しい取り組みをした。その一つは客演にベテランのF氏をお招きしたこと。菜の花座の団員が多忙を理由に休みがちな中、連日早くから稽古に顔を出し、セリフもいの一番に入れて、ご自分のシーンを着実に磨き上げて行った。その舞台に対する誠実な姿勢が、どれだけ怠慢な団員たちの尻を叩いたか、知れない。本番でも、菜の花座としては久しぶりに演技途中で拍手が起きるという熱演をみせてくれた。

 もう一つの試みは、ダンス。カーテンコールをダンスで締めくくる、全員が楽しく踊って幕を閉める、そんな温かいエンディングにしたいと思った。だが、これがなかなかのくせ者だった。ダンスに手を焼いたってことじゃくなく、団員全員がやたらダンスに熱中して芝居の稽古が疎かになってしまったからだ。一時は、もうダンスは止め!って自分の思いつきを呪ったこともあったほどだ。でも、終わってみれば、やっぱりいい雰囲気で舞台を終えることができた。

 今回の公演にはその他にも、置農演劇部の若手が入団してくれたことや、若手が指示待ちでなく、それぞれの部面で役割を果たしてくれたことなど収穫は大きかった。終了後の打ち上げには、キャスト・スタッフ全員、それに振り付けの先生まで参加してくれて大いに盛り上がった。これも、和気藹々とした稽古が続けられた証だな。

 さて、観客の反応は、まずは、「面白かった!」ということのようだ。婆ちゃんの元気という、地域の課題を描いたことも共感をもって受け止められたようだ。笑ってホロリの菜の花座オリジナルが提供できた。惜しむらくは、観客がもう一つ伸びなかったことかな。これまでよりは多くの人たちが来てくれたものの、大台の300にはやっぱり達しなかった。うーん、もっともっと多くの人たちにみてほしかった。

 ほんじゃ、やっちゃおう、もう一回!ということで、『カフェバンバ』再演決まりました。時期は8月か11月、今回見た人たちはもう一回、さらに口コミで広げてもらって、じゃんじゃか来てもらって、大台突破を実現するぞ。

 と、宣言してしてしまった、いやぁぁぁぁ、困った!今年はこれまで以上に忙しくなるに違いなかったんだ。ああ、思いつきで口を滑らせるこの悪癖!これが命取りなんだよ。

 


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大衆演劇は心のふるさと!こまつ座『雪やこんこん』

2012-03-21 00:16:20 | 劇評
 いいなぁ!やっぱり井上さんの芝居はいい!!

 昨年の『キネマの天地』に続いてスタンディングだ。

 しらふで振り返れば、すいぶんご都合主義な台本だと思う。落ちぶれはてた女剣劇劇団がたどり着いた芝居小屋の亭主が元大衆演劇の舞台に立った女将だったり、その女将が、小屋のオーナーの旦那からストリップ剣劇の興業を無理強いされてたりと、まあ、まぁ、アイディアって言えばそうなんだけど、冷静に考えれば、無理!って展開だ。

 でも、そんなこたぁ、関係ないんだ。調子よく帳尻合わせたって、筋立てがわざとっぽくたって、どうでもいいんだ、そんなこたぁ。要は、泣ける!心が大きく揺らいだってことが大切なんだよ。嘘くさい親子の出会いが、いや、実際嘘だったんだけど、観客の心をがしっとわしづかみした力業。ぐぐっと引きつけられたその吸引力は、まさしく、大衆演劇の世界なんだよ。

 故有って離ればなれになった親子の出会いとか、無理難題を押しつける旦那への意地っ張りとか、大衆演劇の定番とも言える設定が見る人たちの心を良いように引きずり回していた。まさしく、大衆演劇の心だ。

 「お客さんの拍手が心の支え」とか舞台に生きる者の心意気を伝える言葉が目一杯あふれていた。女剣劇「中村梅子一座」を借りて、演劇に人生を賭けた井上さんの思いが最初から最後までずしずしと迫ってくる舞台だった。

 で、芝居を見ながら、思っていたのは、置農演歌ショー『夢芝居』のことだった。

 なんで、こんなレパートリーを作ったのか?この舞台がどうしてこうまで、人気なのか?

 その秘密はまさに、大衆演劇的心にあるんだよな。僕の心の奥底に脈々と息づく大衆演劇的心。

 じゃあ、大衆演劇的心ってなんだ?

 それは庶民の優しく愛おしい心根なんじゃないだろうか。

 愛する者へのひたむきな情愛。義理人情への止むに止まれぬのめり込み。信念を守り通す一徹。

 誰もが願い、誰もが心引かれるもの。そんな、あったり前の、誰でもが納得の心情。

 それが、観客を引きつけ、魅了するのだと思う。
 
 となると、『夢芝居』の後は、股旅物しかないよなぁ。どうする?_




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