ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

毎年がドラマだ!米作り

2014-05-25 21:09:53 | 暮らし
 田植え終わった!やれやれやれ!公演翌日の先週月曜日、黒米の小さな田3枚を終え、昨日は家の前1反歩でコシヒカリ、そして、今日は源さんの田1反2畝にヒトメボレ。

 いつも通り、苦労したけどね。何って、田植機がどうにもならない偏屈野郎だから。苗が湿りすぎてもだめ、乾きすぎてもダメ。そんな!!!ポット苗って奴、しかも期間中プールに漬けて育苗してるんでね、なかなか水分調整がままならない。田植えの2日前からプールから出し地面に下ろして水やりしてきたけど、やっぱり、無理!たった1反2畝にまるまる1日かかってしまった。今時の田植え知ってる人なら、信じられない話しだよね。しかも、欠株はうんざりするほど!実は、明日も補植しなきゃならんのだ。

 今年の苦労の種は、発芽の失敗。種まきまでは急激に春めいた気候に助けられて順調に進んだ。ハウス張りも晴天、無風、なんの苦もなくやり遂げたし、苗床のプール作りも汗だく作業ではあったが、手慣れた仕事。いつも何かしらトラブルありの種まき機、まっ、今年も若干へそ曲げたけど、まずは想定時間内に終了。ハウスに並べ終えた翌日からは晴天続き、いやぁ、こりゃ早く発芽するわ!って喜んでいた。種まき後5日も晴天続きってそうはないから。

 ところが、1週間たっても芽が出ない。おかしい!?どんなに低温続きだって、1週間すれば芽が出始める。しかもこの晴天。やばっ!焼いたか?種籾が高温で死んでしまったのだ。温度上昇には気を遣って、ハウスの開閉はこまめにしていたけど、苗にかぶせてあったシートの下は予想をはるかに上回る高温になっていたみたい。今時の農家は、太陽光を反射する銀色のシルバーシートてのを使って直射光でも温度が上がらないようしているんだが、我が家は、なんたって、省経費農業、赤湯園芸が閉校になったとき貰い受けた昔々その昔の製品を大切に使ってる。こいつは保温効果もあるが、暖かけりゃどこまで上がったって幸せっていう脳天気なシートなんだ。だから、焼いた!がーーーーん!!!

 即断即決!種まき後9日目に急遽まき直しすることにした。苗床土作りからなんてとてもしてらんない。土もなけりゃぼかし肥もなしも燻炭もなし、残った種籾もごく少量。そこで芽の出ていないポットをほじくって種をまくって方法にした。直径わずか1センチのポットを一つ一つきべらでほじくり返す、種を入れる、水を撒く、かけ土で上を覆う。信じられるか?苗箱1枚800穴だぞ!一つ一つほじくる!この作業をなんと90枚やった。座り込み、ひたすら穴をほじくり、種をまき、・・・これをなんと4日間!ど素人だからできるアホな作業だな。それから5日、今度は焼いてなんていられない。毎日、2時間おきのハウスを見回り、シートをこまめに剥いでは水をやり、もう、抱きすくめるように育てた。10日近くもほったらかしてあった種籾、果たして発芽するのか?どきどきの数日間だったが、なんと4日目には白い芽が顔を覗かせ、1週間で見事出そろった。

 なんだ、こういうことなのか。種をまいたら、発芽までシートははぐらない、水はやらない、そう教わってきたんだ。そりゃシルバーシート使った育苗の話しだったんだ。昔シートなら、晴天ならはぐ、乾けば水をやる、そうしなきょいけなかったんだ。農家の教えに忠実過ぎたんだ。こういうのを教条的って言うんだろうな。

 こんな出直し苗だが、まずはなんとか田植えできるほどには成長した。ただし、田植えを1週間延期しての話しだ。で、昨日今日の田植え。まぁ、できたんだから、ちびとか出来損ない、なんて悪口言っちゃいけない。感謝、感謝なんだが、やはり背丈は小さい、根の張りは不十分。となると田植機の機嫌がすこぶる悪くなる。ってことで、まる1日!

 今年の経験から学んだこと。その一、先達の教えと言えども、鵜呑みにしてはいけない。その二、真実は、同一条件の中でのみ真たり得る。その三、稲の生命力は改めて偉大だ。

 さっ、明日は朝から中腰作業。辛い一日が待っている。でも、これ乗り越えなくちゃ、実りもまたないのだ。僕の米を待ってくれてる人、マイブームになったご飯パンを作り続けるためにも、頑張りましょうぜ。
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『山棲』、実験は果たして?

2014-05-23 23:32:28 | 演劇
 菜の花座第30回公演『山棲』、上々の出来で終わった。役者たちはそれぞれやり切ったとの思いが強かったようだ。そりゃそうだ。本番3週間前からほぼ毎日稽古だったもの。菜の花座の悪しき慣習を破り、セリフの跳ばしやかみはまったくなし。役作りもほぼ要求通りに演じきってくれた。なにより、役柄に同化していたのが素晴らしい。役作りというものをようやく理解してくれた公演だったように思う。久しぶりに加わった東さんの迫真の演技に、他のメンバーも大いに刺激を受けた、これも飛躍的に演技レベルを押し上げた。観客の評価もほぼ良好で、元高校演劇部顧問のT先生からは、圧倒され感動のあまり帰りの車運転もままならなかった、是非再演を望むと、最上級のお褒めをいただいた。終演時の拍手も明らかに2度目の挨拶を促す暖かさと熱気にあふれていた。

 没頭する役者たちを影で支えたスタッフも強力だった。菜の花座シニア団のメンバーが初体験の照明、ピン、音響を見事にこなしてくれた。連日夜遅くまでの稽古にも終始つきあい、小道具や衣装の製作でも力を発揮してくれた。スタッフ弱体の菜の花座としては最強の助っ人たちを得ることができた。

 さて、この『山棲』、大きな実験舞台だった。まず、装置を作らない。舞台上には山状の白い布の吊りものと森を描いた3枚の紗幕のみ。黒パンチを敷き詰めた舞台を10のエリアに分けて、各シーンはそれぞれ別のエリアで演じる。したがって、芝居はわずか数メートルの範囲での演技が次々に場所を変えて繋がっていく形式だ。場転のための暗転はまったくなし、時空が大きく異なるときのみ数秒の暗転を入れた。役者がピンに追われて別のエリアに入ればそこは時空を異にする場所ということで、こういう演出になれない菜の花座の観客には少し難解かもしれないと思いつつ実施した。

 照明は全体に暗くエリアのみを照らす明かりとし、ピンを多用して前明かりとした。もちろん、初ピン体験の二人だけに外す危険も大いにあったから、各エリアごとシーリングやサスで前明かりは準備してあったのだが。山状の布には5色の明かりを用意し、シーンの性格を色づけして表現する方法をとった。山棲たちの栖ならそれは山だろうが、敢えて都会のバーやアパートのシーンでも色を染めて静かに主張するようにした。これもかなり実験的だ。音楽は最小限度に控え劇の雰囲気に合っていたオーストラリア原住民(アボリジニー)の音楽を2カ所だけに使用した。テーマを暗示する子守歌は私の作詞、シニア団のKさんが作曲してくれて山姥役のエミが生歌で歌った。DV男の暴力シーン、平手打ちの音は、袖で舞台上の演技を見ながら音響が手を打ち合わせ、その音をマイクで拾って流した。男をいたぶるクライマックスシーンの金属音など上手袖にある綱元の柵の鉄フレームをドライバーで叩きそれを同じくマイクで拾った。と、こう書き出して見ると随所に実験的な試みが散りばめられていることがわかる。

 台本も変わっている。山に棲む妖怪たち?が中心となって物語は展開していくのだが、彼らはそれぞれ生まれた時期が違う。山姥は先の戦争の末期に山に迷い込んだ者だし、山爺や山童は江戸時代、飢饉の中で捨てられた者たちのようだ。比丘尼はキリシタン禁令の時期、弱行者はたぶんもっと前の時代から山を彷徨っていたに違いない。要するに、時代の悪意に放逐された者たちということだ。共通するのは恨みのみ。整然と理解したい人にはやっかいな構成だろう。

 さらに、山棲5人はそれぞれ複数の役を演じる。一人二役、三役、当然早着替えが必要なわけだが、主たる役所の山棲以外は黒衣装に象徴的ワンポイント、例えば帽子とか眼鏡とか杖とかカーディガンなどで成り切ることにした。これはかなりの冒険だった。自殺者が命を絶つシーンは蝋燭を自ら吹き消すことで表現したが、これはさほど独創的とは言えないだろう。でも、山だけがブルーに輝く真っ暗な空間でスモークの中を歩み寄る自死者たち、かなりの迫力で、恐い!との感想がたくさん寄せられていた。

 こんなある意味突拍子もない舞台作りを目指した理由はなんだったろう?

 一つは、これまでの菜の花座カラーから脱げたしたかったこと、ということは私自身も作者として、従来のほんわか笑いほんのり涙!的な作劇を越えたかったってことだ。菜の花座も旗揚げから16年、30回の公演を迎えた。私も60代を大きく折り返す歳になった。そろそろここらで観客の胸ぐら掴んだ勝負ってやつがしたくなったということだ。気遣いやおもねりじゃなく、真剣勝負を挑んでみたいと思ったわけだ。

 結果はどうやら、目的を達し得たと考えて良いように感じている。細々な所では、違和感や提言等の感想ももらったが、この舞台に塗り込めた様々な実験を真っ向から否定する意見はなかったように思う。人によっては、話しや題材、その処理の仕方に肌に合わないものを感じたり、目を背けたいと思った人もいたようだが、それは仕方ない。80パーセントの共感など得られるはずもない。人はみな多様な感性と生き様を持っている。嫌悪を感じるということも、大きなインパクトを与え得たと考えれば、それも成功と見なして良いのではないか。この舞台で菜の花座も私も一つ別の地平にたどり着けた気がする。この開けた地平からさらに多くのイメージが浮かび上がってくるのを楽しみにしたい。



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『山棲』本番直前!

2014-05-15 18:23:20 | 演劇
 菜の花座第30回公演『山棲』、本番まであと3日。こうも連日の稽古が続くと、なんかもう半年近く前から取りかかってるみたいな気になってくる、が、実は、3月半ばからだから2ヶ月にしかならないんだな、これが。さすがに3週間前ほぼ毎日はきつい。故障者リスト入りは出ていないものの、疲労のため休養、なんて者もちらほらだ。

 体力なら任せてよ!の僕なので、疲れはそうない。昼間農作業をこなし、午後からハーフ21kmを走って稽古なんて日もあった。でも、シニア一期生『風渡る頃』やって菜の花プラザシニア団の『Goodnight Baby』終わらせて、さらに菜の花座となると、集中力を保つのは容易なことではない。それに米沢市職員コントなんかもダブったりするとこれはもう忍耐力テストだ。などと一人悲鳴を押し殺してすがりついてきた『山棲』も、残り3日となって、あぁ、もっと稽古できないか!ってなるのはいつものことなんだなぁ。

 それでも、今回はよっぽど違う。若手役者のやる気がふつふつと滾っている。仕事もあっての稽古だから、そうとう辛いはずなのに、休まない。必死で役作りに挑んでいる。彼女たちをやる気にさせる台本だったってことかな。今までの菜の花定食では満足できない難しさってことだ。これを乗り越えれば、役者としてもワンランク上がれるのはきっとだから、頑張れるのだろう。年齢的にも、楽し楽しのサークル活動で続けられないところにもきているしね。結婚して家族に無理を押しつけながらの連日稽古なら、こりゃ真剣にならざるを得ないってこと。

 それと、シニア団員がスタッフで支えてくれていることも大きい。連日、数人のシニアメンバーが物作りや衣装製作に通ってくれている。先週からは照明を担当する人たちが、役者の動きを見逃すまいと見つめている。こうなっと、稽古も集中しないわけにはいかなくなる。仲間とは言え、シニア演劇学校を通して入ってきた人たち、「はえぬき菜の花」とは異質な経歴の持ち主たちだ。演技は未だしと言えども、知的レベルは高い。そんなシニアにぎりっと見つめられて、演技の質が上がっていかないわけはない。

 役者にとって、見られることは何よりもの肥やしだ。視線に曝され、視線を浴びて、役者の身体の中からじわりじわりとオーラがにじみ出していく。そう、そんな稽古をしたいと常に思っていたんだ。仲間だけで、物も作り、舞台にも立ち、楽しく仲良く作る芝居、それも悪くない。でも、30回もの公演を重ねてきた菜の花座、ここらで脱皮の時期なんじゃないかと思う。

 役者も劇団も大きく羽ばたく記念の舞台、それが『山棲』!いよいよ、明明後日18日(日)14:00開演だ。

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