ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

『どんがら山奇譚』

2007-07-30 21:52:16 | 演劇

 大会用台本がようやく、ようやく書けた。菜の花座の公演が終わって2週間、しかもその間にチンドン屋の玉庭雪祭り出前もあったし、子どもミュージカルは米沢上郷コミュニティセンター、大塚小学校、山形市霞城セントラルと三つも公演いれてしまったからね。なんせ、書く時間がない。それにサッカーアジア杯なんかもあったりして、・・見なきゃいいんだろ!はい、ごもっとも・・我ながら、よくも期限を守って生徒に渡せたと思う。

 もっとも、最後のシーンを書き上げたのが午後4時半、それから制作の生徒呼び出して、プリンタから出てくるそばから、印刷、印刷、印刷。それを部員全員で折って綴じて、全員の手に渡ったのが5時45分。滑り込みセーフ!

 『どんがら山奇譚』これがタイトル。内容はと言うと、今回もまた、また、また、また、ひねった内容になってしまった。奇譚の文字からわかる通りまともな話しじゃあない。座敷わらしが7人も出るしね、それとは別に妖怪バンドも出演するんだ。とは言っても、妖怪漫画の類とは大違い、ストーリーの骨組みは大まじめ。

 集中豪雨でめちゃめちゃになった山奥のムラのお話しなんだ。住民は全員、町の仮設住宅に仮住まいしている。ところが、結局復興の目途が立たず、廃村という方針が決まってしまう。ここから話しが始まる。ね、かなり今的でしょう。で、そのムラどんがら山に一人の婆さんが、仮設住宅を抜け出して戻ってしまう。ほっとけないからと、役場職員が連れ戻しにムラに入る。と、不思議や不思議、年寄りはもとより子どもや若い衆まで、わんさかいるじゃないか。さらに、役場職員は婆さんの息子と勘違いされて、・・・うーん、ここまでだな、予告編としては。

 と、こういう具合に荒唐無稽にねじ繰り上げてしまうわけなんだ、僕のくせというか、好みだね。日常生活を写実的にとか、人生の機微をこまめに丁寧に、なんて作り方は絶対できない、したくない。これだから、いつまでたっても県大会止まりなんだね。だって、こういう作品は情緒では理解できないからね。知的な興奮とでも言うのかな、ひねりににやりの感性のない人には、なんだ馬鹿馬鹿しいで終わってしまうからね。昨年なんか、とうとう県大会にも出られなかった。これはさすがに痛かった。生徒に悪いことをした。

 だから、今回はひねってはいるけど、ストレートな感動場面はしっかり作るという方針で書き上げた。うち捨てられ地方、切り捨てられる老人、そして、朽ち果てる伝統的な暮らしと文化、こういった時代の風潮にちょっと待った!!って作品に仕上がったんじゃないだろうか。

 も一つ自慢!部員26名中、18名をキャストとして舞台に上げることができた。やっぱり経験だからね、演劇は。本番の舞台を伴わない稽古どんだけしたって演技力なんて伸びるもんじゃない、これが僕の信念。ともかく出す。端役だろうと、ダンスだけだろうと出せるものは出す。最低必要限度のスタッフ残してすべて出す。今回もこの方針を全うできたってことが嬉しい。

 ストーリーの難関だけじゃない。今回は生演奏もある。歌は10曲、ソロ有り、デュエット有りだ。あえて、あえて、ハードルを高くした。子どもミュージカル13回上演なんて途方もない力を持った部員達なんだもの、これくらい、軽くはないけど、越えてくれるさ。あっ、もちろん衣装も見物だよ。うちのお針子さん優秀だから。

 そんなこんなで見所満載の置農ミュージカル『どんがら山奇譚』乞うご期待!!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミスマッチ!山形公演!!

2007-07-27 21:15:39 | 暮らし

 わかってたんだよ、この結果。観客38人中、笑顔が浮かんだ人わずかに3人。同、笑いがこぼれたシーンなんと3カ所。終演後話しかけて来た人、あーあ、3人。今日の山形市霞城セントラル公演の無惨な結果だ。

 公演引きうけた時から、あらかたこんな事態は予想していた。だってね、米粉利用推進協議会の総会での公演だもの。観客の大方は、米粉を製品に利用している企業の人たちだ。置農食育子どもミュージカル『”いただきます”見つけた!』は、農業守れって内容だからね。今日の観客には今一ぴんと来なかったと思う。米粉を使った製品開発には興味あっても日本人の食のあり方には、関心そこそこってとこだったんだろう。いやいや、セリフには食の外部化を憂う部分なんかもあるわけだから、耳がいたいっていうか、そんなの聞きたかねえよ、って人たちもいたことだろう。

 そんな中で、唯一感動してくれたのは、山形市消費者連合会の会長さんだった。この元気なおばさまは、いたく芝居を気に入ってくれて、山形発の食育ミュージカルとしてどんどん県外に進出しましょう、って主宰者の山形食糧事務所の部長さんに迫ってくれた。ありがたい!ぜひぜひ仙台公演をって話しも出た。実現すれば素晴らしいことだと思う。食糧事務所の部長さん、よろしく御願いします。

 まっ、こんな熱い声援をいただけただけで、わざわざ山形市までやってきた甲斐があったというもんだ。後一つ嬉しかったことは、ベーカリー中村屋の常務さんに僕の焼いた米粉パンを褒めていただいたこと。しかもその方が置農出身だったこと。失敗した部員全員に挨拶させるだった、先輩に敬意を表して。

 それにしても、観客の無反応はどうだ。まるでマネキン相手に芝居見せてるようなもんだ。小学生なら大爆笑の場面でも、しらー、感動的な歌の時も、シーン、あーあ、この人達の感性っていったいどうなってるんだろ。中高年男性よ、もっと芸術的感受性を磨け!いや、芸術性なんて言わない。せめて楽しい、つまらないの意思表示をしてくれよ。終演後のアンケート、小学生にはちょっと難しいかもしれない、違うんだよ、あなた達に難しかっただけなんだ。子ども達はもっとストレートに感覚で受け入れてくれたんだ。日本の文化的状況の困難をずばり感じた一日だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大会は妖怪バンドでいただき!

2007-07-25 19:52:23 | 演劇

 ここでこうしてブログ書いてる暇はないんだ。だってね、今週中に地区大会向けの台本仕上げなくちゃならないんだから。ああ、もうまったく!と、言いつつも書いているブログの魔力、ちょっと麻薬的だよ。高校生なんかが、はまってしまって、読んで欲しいばっかりに、あることないこと書いたりする気持ちよお-くわかる。

 で、今日のお題は、「大会は妖怪バンドでいただき!」。地区大会向けの台本ネタをさわりだけばらしてしまおうって寸法だ。

 まだ、シーン2までしか書き上げていないので、筋がどう転がっていくのかわからない。ただ、今はっきりしてるのは、劇中で生演奏やるぞ!ってこと。そうそう、『おもかげチャンチキ』のチンドン屋ののりだね。やるねえ置農でもか!あるいは、また凝りもせず!とも言える。

 でも、チンドン屋じゃない。れっきとしたバンドだからって、チンドン屋だってれっきとしたバンドだろ、そうでした。楽器はこれまで買い集めたものがあるからね。まず、大太鼓はスルドだろ。次ぎに締め太鼓。それにクラリネットとチャンチキいずれもこの春、衝動的に買ってしまったものだ。これに学校にあるアコーディオンを借りて5人か6人編成のバンドで3曲くらい演奏させようって思ってる。

 名付けて妖怪バンド!そう、妖怪の登場する芝居なんだよ。どんな妖怪か?それは舞台を見てのお楽しみ!まず、演奏だけじゃない、演奏しながら踊ることも考えてる、とだけ言っておこう。

 もちろん、歌もある、ってことは、今年もミュージカルで攻めるってことだ。高校演劇の大会をミュージカルで挑戦すること4度。今年は5度目の正直、そんな言葉ないか、と行きたい。僕も高校演劇はこれが最後だからね、ここまで来れば、もう、ミュージカルの旗は降ろせないよ。幸い、これまでの蓄積があるからね、役者もソロをとれる人間が何人か出てきたし、人数も増えた、部員の中に吹奏楽出身者もいる、こんな好条件が重なってるんだもの、今年は、一気に無謀な冒険に突っ走ろうじゃないの。

 結果がどう出るか、そいつはわからない。でも、凄いことやったよな、って自他共に納得できる舞台にはしたいと思うんだ。と言う割には、台本遅いんだよ、遅れてるんだよ!もう1ヶ月半しかないのに!って部員達の不満の呟きが耳元で唸りを上げている。だから、今日はこれでお終い。

 さあ、台本書かなくちゃ!

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

またまた出番ですよ!チンドン屋『菜の花座』

2007-07-22 21:06:00 | アート・文化

 公演明けて最初の日曜日、今日のお呼び、実はほんとつらいとこ。昨日は食育ミュージカル米沢上郷コミュニティセンター公演、明日は川西町大塚小学校公演だからね。でも、引きうけた。だって、お世話になってる玉庭のお祭りだもの。

 玉庭のふるさとセンターは菜の花座が装置作りに使わせてもらってる場所。これまで使った装置・道具のがらくた一切合切置かせてもらってるって義理がある。そこのお祭りだもの、引きうけないわけにいかないでしょ。

 受けた以上は、事前に稽古をして臨みたいと思った、ことは思った。菜の花座の公演反省会の後、一時間くらいできるんじゃないか。甘かったね、反省会延々長引き、終了したのは10時前。よし、これから場所を探して練習すっか!って威勢のいい声も上がったけど、つい数日前に公演終えたばかりだからね、かけ声も自然消滅、結局、本番当日早めに集まって合わせるってことになった。

 11時半、現地集合、近くの公民館を借りて音出しやら着替えやら、なんと新曲の初合わせまでしちまった。始めて3ヶ月足らずのド素人集団が、一発勝負で新曲なんて大胆を大幅に通り越して無理・無茶・無謀!でも、いつまでも、定番の5曲だけじゃつまらないしね、日常的に稽古してるってわけじゃないから、本番!よっしゃ、新曲やってレパートリー広げよう、って随分お客さんには失礼な話しだよね。

 参加はチンドン太鼓のえもっちに口上とチャンチキのミホさん、若手では太鼓のマキコとお囃子と歌のエミそれとサックスの僕。もちろんアコーディオンは我らの師匠ユキエさん。地元のナオミは何故か、串カツ売りでついて付いて歩いた。

 元分校体育館の会場は、超満員。4列ずらっと敷かれた板がテーブル、その回りをじいちゃんばあちゃんおじさんおばさん、コップ片手に取り囲んで盛り上がる。僕らの出番は押しに押して2時近く。まずは後方の入り口から『美しき天然』で入場。盛大な拍手の声援を浴びながら舞台に上がって口上。ミホさん、しっかり9月の『おもかげチャンチキ』公演の宣伝もしてくれた。

 終われば、今度は会場を練り歩きながら、花笠音頭とチャンチキおけさ。そして、感動のシーンは北国の春でやってきた。曲が始まるやいなや、会場全体の大合唱が始まったったんだ。いやー、感動もんだった!うかつにも、こみ上げるものにサックスの音が一瞬途絶えちまったよ。そして、いよいよ、新曲はエミの歌が入った『竹田の子守歌』チンドン風。実は、最近買ったソウルフラワーモノノケサミットのCDでガツーンとやられた曲をそのまま、なんて言えないな、かなり低レベルでコピーしたって話し。でも、これがなかなかの好評だった。エミ、お客さんに、歌上手いね、なんて褒められて得意満面。よしよし、これからもいろいろ歌わせてあげっからね。なるほどチンドンコンサートも悪くない。よし、若手女優陣がダンスユニットLaf Lanaなら、おじさんおばさんはチンドンコンサートで行くからね。とは言っても若手に助けともらってのことだけど。

 ということで、新しいチンドンの魅力を発見できた一日だった。お客さんと一体になれる喜びと感動。チンドンコンサートという楽しい可能性、とっちも、ますますくせになりそう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日も明日もパン作り!

2007-07-20 23:05:51 | 暮らし

 やれやれとんでもない台本書いちまったもんだよ。劇の中で、お客さん全員に手作り米粉パンをプレゼントするなんてさ。お陰で公演の前日は必ずパン屋さんに早変わりだ。最初は部員にも手伝わせて焼いていたけど、それだと稽古が進まない。いや、それ以上に、僕一人で作った方がよっぽど手間が省ける。だから、今日も授業の合間を利用して一人しこしこパンを焼いた。

 明日は米沢上郷コミュニティセンターでの公演。観客は100人を予定しているとのことで、粉にして3㎏のパンを仕込んだ。50%の強力粉、もちろん国産小麦だ。農業高校だからね、食育ミュージカルだからね、こだわるよ、そりゃ。それと米粉を同量。配合はバターロール、って、こう書くとプロみたいでしょ?そうなんだよ、僕は元パン屋の職人なんだから。詳しくは僕の本『帰農の里』(無明舎刊)を読んでほしい。だから、3㎏程度の生地、一人で作業するなんてどうってことない。12時半に仕込んで、分割・成形・発酵そして、窯へ、4時半にはすべて焼き上げた。

 うん、作業そのものは大したことない。でもね、担任業務や授業をかいくぐっての仕事だからね、う~ん、つらい!しかも学期末だよ。通知票作らなくちゃ、クラス通信書かなくちゃ、夏期補講の準備しなくっちゃ、三者面談のお知らせ出さなくちゃ、って、状態だから。とうとう今日は、部員たちの通し稽古見られなかった。おいおい、大丈夫かよ。

 明後日は日曜日だけどパン焼きだけはしなくちゃいけない。週明けの23日(月)は川西町大塚小学校での公演、観客なんと、児童と保護者、先生も合わせて205名!こりゃ、7㎏か?8㎏か?それに明後日は玉庭のお祭りでチンドンも頼まれてるし。仕方ないから、顧問Nも引っ張り出して、彼女に仕込んでおいてもらって、分割以下の作業は僕がやるって手はずにした。まっ、顧問が二人とも農業教員ってのは、こういう場合、とっても便利だね。でも、顧問N、きっと泣いてるんだよ、無理矢理付き合わされてね。ごめん!

 なんだって、こんな目に遭わなくちゃいけないの?それはただただ、作者、つまり僕の無責任な思いつきの末路なんだ。狂言回しが紙芝居屋さん、ってことは、当然、アンズ飴とかソース煎餅とかちびちび食べながら見るのが本当でしょ。でも、食育ミュージカルだから、やたらなのも食べさせられないしね。そんじゃ、野菜クッキーか米粉パンだろ!野菜クッキーもやってみた。作り置き効くし量も出るし手間はかからない。でもねぇ、なんかねぇ、物足りないのよね!やっぱり、もらった子どもたちが、おおーっって心ときめくものでなくちゃね、ということで、6月以降の公演では、どんなに苦しくても、どんなに大変でも、どんなに忙しくても、パンを焼いて出してきた。

 そこまでどうしてこだわるかな?元パン屋の意地もある。でも、一番の理由は、子どもたちが、ほんと!喜ぶからなんだ。もらった時の嬉しそうな顔!大切にちょっぴちょっぴりかじりながら劇に目を向ける横顔。歌に引き込まれてパンを口にくわえたまま舞台を見入る眼差し、う~ん、いいなぁ!やっぱり、これは大切な演出なんだって思う。食育にふさわしい本物の食べ物を食べながら、食について楽しく学ぶ、こんな楽しく素晴らしい経験、きっと、子どもたちの心に深く刻まれると思うんだ。

 だから、忙しくたって泣くな、顧問N!僕たちは凄いことやってんだゾ!!あっ、泣いてんのは僕か、またまた、ごめん!

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする