ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

置農食育子どもミュージカル『ベジタブル!ワンダフル!!』初演

2010-03-29 23:02:59 | 演劇

 なんとかかんとか、どうにかこうにか、やっとこさっとこ『ベジタブル!ワンダフル!!』の初演が終わった。川西町小松の農村環境改善センターでの公演だ。

 今回の作品は、仕掛けが多い。大きな仕掛けが二つ、三つ。はてさて、上手くいくかなぁ?結果は一勝一敗一引き分けってところかな。装置全部を覆っていた幅4間の布が一気に落ちるという最大の見せ場は成功した。客席からもため息がもれたくらい上手く行った。でも、テグスを使った工夫は失敗、かなり無様なところを見せてしまった。

 演技については、やっぱり固かったな。まだまだ役もせりふも自分のものにできていないって感じだった。せりふが飛んだり、詰まったり、稽古不足がもろに出てしまった部分もあったな。

 でも、お客さんには喜んでもらえたようだった。今回も1時間を超える長い作品だったのだけど、最後まで子どもたちの興味を引きつけることができたからね。まずまずってところじゃないかな。

 この舞台今日がスタート。これから20回近くの公演を重ねていく。昨年同様、一回一回レベルを上げていくという気持ちで頑張っていこう。まだまだ面白くなるはずだから。笑いだってもっともっと取れるようになるはずだから。

 明日は2回目の公演。米沢松川小学校体育館での公演だ。今日の失敗を一つでも二つで乗り越えた舞台にしていこう。僕だって、今日の経験から多くのことを学んだんだから。

 で、楽しく夢いっぱいの舞台の様子をご紹介しよう。

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ねっ!ビジュアル的にはなかなかの優れもんだろ?

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"お話し"に泣く:こまつ座『シャンハイムーン』

2010-03-28 20:21:03 | 劇評

 明日はいよいよ置農食育子どもミュージカル『ベジタブル!ワンダフル!!』の初演!やっとこさっとこ、通し稽古ができた。ウソーー!ホント!!そんな稽古不足で初演向かえていいのか!?!よくない!!って責任追及の声は僕の中でもグワングワン響き渡っている。でもまずは皆さんにお見せできる最低の?レベルには達したと思う。後は精一杯やって勘弁してもらうだけだ。

 できれば2回通したいとおもったんだけど、ダメだしがあまりに多くて、2度目は直しを入れて終わり。いよいよ荷物の積み込み。今回は大きな装置はパネルだけなので、簡単簡単って思うのはまだ早い。荷が少ないてのは、実は意外と大変なことなんだ。何故か?荷物の締まりが悪くなって道中緩んでしまうからだ。しかも最初の荷造り。ここはきちんとパッキングの段取りを固めてしまわないと後々、苦労することになる。

 ってことで積み込み完了が12時55分。おいおい、あと35分で『シャンハイムーン』開演だよ。飯だって食ってないていうのに!よっしゃ、決断!顧問二人で部員を車輸送することにした。2台で2回転。10分前に全員滑り込みセーフで、フレンドリープラザへ。大混雑のロビーで大あわてで昼食。館長の阿部さんにせき立てられつつ客席に入った。

 さて、『シャンハイムーン』だ。結論から言うとよかった!泣けた!最後の最後まで涙腺全開だった。年取って涙もろくなってるってことは差し引いても、優れた舞台だった。改めて井上さんは素晴らしい劇作家だ!って叫んでしまった、もちろん心の中での話しだけど。

 井上さんには近代史を彩った人物が主人公になっている作品が結構多い。石川啄木、樋口一葉、吉野作造、前回は小林多喜二だった。、今回の作品は新作ではないが、これまた有名人魯迅だ。歴史上最上の知性と良心の持ち主たちを、井上さん独特の視点と作法で笑いと涙の感動舞台に仕上げてきた。

 これはある意味ずるい手法だ。だって、彼らの生き方そのものが今時の我々には圧倒的なんだもの。心を打つんだもの。中国革命のために生命をなげうって邁進した魯迅。権力や暗殺者の脅迫にも屈せず中国人民の未来のために発言し続けた魯迅。こりゃもう感動しないわけがない。最初から、すげーって感動バイブレーションが高鳴っているからね。

 でも、それをそのまま偉人物語にしないところが井上さんの凄いところなんだな。今回の作品では魯迅の生き方の本質に自殺願望を見いだして、それが”ちょっとしたきっかけ”から人物誤認症?なるものの発症へと展開していく。身近な人たちが過去に傷つけ人、裏切った人、世話になった人、そんな人たちに見えてしまい、悔悟の念にさいなまれるという仕組みだ。日本での恩師藤野先生、革命の同士愁僅女史、魯迅に触発された若き作家。魯迅はひけめを感じ、これらの人たちの幻影に詫び続ける。そして最後は、持参金を目当てに娶り、終生愛することのなかった第一夫人への冷たい仕打ちまでが明らかとなり、偉大なる革命家の素顔と自責の苦しみをかいま見せてくれる。

 さらに、誤認症が回復したと思ったら、今度は失語症。「みんなに面倒をかける」が「みんなにもんどうをかける、たんとうをなげる、」ついに「べんとうをたべる」と発語してしまう魯迅の滑稽さ。目指す言葉が出てこないって状況から巧みに笑いを引き出し、さらには失語の大爆笑の中で心情を吐露する魯迅に、笑いの涙はいつの間にか魯迅のせつなさへの共感の涙に変わっていった。こんなシーンってほんと凄い!笑いは笑い涙は涙じゃないんだから。おっと、そういえば、藤山寛美の松竹新喜劇もそうだったな。

 失語症となった魯迅が言葉を取り戻すきっかけ、これは冷静に振り返ってみれば、お話しとお手紙なんだ。これちょっと劇作的には上質とは言い難い。井上さん自身もたしかどこかの劇作法講義の場で、舞台で起こっていない出来事は極力書かない、ってことを上げていた気がする。そんな疑問はうすうす感じつつも、それでも泣かされてしまったのが今日の舞台だった。

 足長おじさんを続けた医者の前に、学資を出してもらっていた少女が成長し看護師となって現れ、一緒に貧民の医療に当たることを切望するとか、魯迅の第一夫人が養子をもらって未来に鎖をつなぐことになった手紙とか、60kmも離れた田舎から歩いて本を買いに来た少年たちを喜んで向かえる本屋の主人とか、ここにこう書いてしまえばたしかに臭い!なんかしてやられたって感じないわけじゃないけど、それがあの魯迅のでたらめな言葉のおかしさに縁取られて、とっても感動的な話しとして観客をぐいぐいと引き込んでいたってことだ。要するにお話しの魅力、お話しの魔力ってことなんだな。そんな魔法陣を見事に張ってくれた演出家、役者、スタッフに感謝しなくちゃなんないな。

 最後に、舞台装置、良かったなぁ!島次郎さんのもの、さすがだ。ラストシーンで舞台奥の窓が鏡になって後ろ向きの出演者全員の後ろ姿と表情が一緒に見えたときなんて感激だった。それと雨ね。窓の外に本当に雨が降ったもの。あの雨どうやったんだろう?

 おーい、ばらし手伝ったカナミ、チヒロ、どんな仕掛けだったったコメントにばらしてくれないか?

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食育子どもミュージカル『ベジタブル!ワンダフル!!』新趣向は成功?

2010-03-26 21:15:52 | 演劇

 この一週間、朝の9時から夜の7時まで、とことん新作作りに取り組んできた。会議も年休とってエスケープし、校舎内某所で部活動。もちろん、送別会もキャンセル!菜の花座の台本も一時お預けだ。ともかく、29,30の初演を乗り切らなくちゃなんない。う~~~ん、苦しい!!

 なんでこんなにせっぱ詰まったか、そりゃ、前作を超える舞台にしたいからだよ。3年生が多かった前年度と違って新体制は役者としては極めて手薄。じゃあその分何で補うか?新メンバーが持っている技術と持ち味しかないでしょ。

 何なの?それ。それは物作りの技術、中でも衣装とかぶり物なんだな。役者で敵わなければ、装置や道具や衣装で勝負ってことだ。そこで、これまでとは異なり、針金細工の着ぐるみをほとんど止めて、発泡スチロールのかぶり物にした。これが実に手間を食う。着ぐるみとは比較にならない細かさだから。さらに衣装。これも出来合いのもの止めて全部作ることにした。

 野菜のかぶり物は、まあこれまでも経験あるのでさほど心配はしなかったが、猫の顔となると、仕上がるまでかなり不安だった。人間の顔の上に猫の顔が乗ってるって構造だからね、こんなのが7匹も出てくる。これ異様じゃないか?不思議な光景じゃないか?違和感だっぷりなんじゃないか?それにだぼだぼの衣装!!

 で、今日ようやくすべてが仕上がって、装置も立て、衣装も身につけ、かぶり物も被って、稽古をしてみた。頭に大きなかぶり物なので、動けるのか?踊ることできるのか?いやいや顔見えるのか?なんてところから全部チェックした。

 途中ショートケーキのイチゴが取れてしまったり、猫のあごがはずれたり?のすったもんだはあったけど、思いがけずいい仕上がりになっていた。誇張したかぶり物と衣装が上手くマッチしていたし、野菜をかたどったパネルもとってもファンタジックでよかった。全体が和やかでコミカルな仕上がりとなっていた。

 それに振り付けも、部員二人がああでもない、こうでもないと悩み抜いただけあって、なかなか面白いものになった。もちろん音楽の良さは言うまでもない。知野さんが作ってくれた音楽の様々な曲調をよく表現したふりになったと思う。

 これなら、年間20回の公演にも耐えられる。県外公演、東京公演も任せてよ!と言える作品になるだろう。そうそう、町田以外にも、ついに東京公演が決まった!でもこの話しはもう少しに煮詰まってからにしておこう。さあ、あとは、問題の役者の力量ってことだな。おっと、その前にせりふ入れろよな!歌詞覚えろよな!ってところってどういうこと?まっ、それだけ物作りが多忙を極めたってことなんだろうな。

 残るは2日!明日はいよいよ通し稽古!どこまで仕上げられるか?勝負は続くよ。

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校舎内四方発泡削りカス

2010-03-21 10:10:45 | 演劇

 子どもミュージカル2010『ベジタブル!ワンダフル!!』制作大苦戦だ。公演一週間前だというのに、未だ装置も道具も衣装もかぶり物も完成していたない。もちろん、動きも振りもダンスもまだ!おい、できんのかい?!

 中でも遅れているのがかぶり物。昨年までは針金細工の着ぐるみが中心だったので、これはノウハウもきちっと出来ていたし構造も単純だったので、苦労しなかったとは言わないがまあ、なんとかなった。今年はキャラクター全部を発泡スチロールのかぶり物+衣装にしたので、いやあ、大変だぁぁぁ!発泡スチロール重ねて大まかな外形削り出して、そこから丁寧に猫や野菜に仕上げていくんだもの。仕上げも大変なら、作業環境も容易でない。細かい削りカスが四方北方に飛び散って、それが作業場ばかりか学校中に広がってるって状況なんだな。

 あまりの惨状に、今年はいくつか新兵器を導入した。まず、カーペットのくるくるゴミ取り器。そう、粘着紙のロールを転がしていく奴ね。あれを2台購入し、終了時には学校中転がして回っている、けど、ダメだ!さらに、我が家から強力集塵機を持ち込んでもいる。スタッフの対策としては、削りカスの付着しにくいウィンドブレーカーを着用し、マスクをかけて頭は洗顔用ビニールヘッドキャップをかぶるっていう物々しい出で立ちで作業に取り組んでいる。まずはこんな様子だ。

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 こんな悪戦苦闘にもかかわらず、作業は遅々として進まず、僕から厳しいダメだしを食らってるんだから、やりきれないよね、彼らも。

 ついでに他の作業現場もご紹介しよう。こちらは着実に技術が蓄積されているようで、まずは心強い。こんな六角形の椅子だとか、大きなトマト形をしたゲートとか、上手に作るようになった。衣装も4台のミシンがフル稼働。なかなか面白い衣装が、これまた全員分出来つつある。前回までは着ぐるみで誤魔化していた部分をすべて衣装にしたわけだから、これまた大きな進歩、大きな冒険って言える。とは言っても、芝居を仕上げなくちゃね。ミュージカルを完成させなくっちゃね。いよいよ最後の一週間、突貫工事の開始だ。

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自分が変わる!置農演劇部

2010-03-17 19:02:38 | 教育

 今日は、置賜農業高校の入試合格発表だった。定員を割り込んだことは残念なことだったけど、まずは、入ってくる新入生を大切にしていこう。僕が新入生を大切にする、ってことは要するにできるだけ多くの新入生に演劇部にへ入ってもらうってことだ。だってね、演劇部の活動三年間続ければ、間違いなく大きく成長できるからなんだ。自分をいろんな意味で変えることができるからなんだ。おまえの思いこみだろ?って、なかなか!顧問の独りよがり、根拠なしの自惚れ、誇大宣伝?そうじゃないんだなぁ、これが。

 今回厳しい新入生獲得合戦を勝ち抜くために、新入生歓迎パンフレットを作ったってことは何日か前に書いた。ダイレクトメールで合格者一人一人の手に渡るよう準備は万全だ。合格発表と同時に発送することだってできたけど、合格通知書と同時に部活案内が届いたんではまずいでしょ、だから、1日遅らせて明日出すことにしている。

 カラー8ページのパンフレットの中心は、部員たちからのお誘いの言葉だ。これはなんたって説得力がある。一二年生全員が、自分にとっての置農演劇部を表現して新入生を強力に勧誘している。ほとんど全員に共通するのは、「忙しい!」「休みがない!」いいのか?そればらしちゃって?でもご安心、その後には「でも毎日がすごく楽しい」「充実した活動」と続くんだ。生徒たちなかなか書くじゃないか。偽らざる生の声だね。

 さて、も一つはっきり書かれていたのは、自分を変えられるって勧誘の文句だった。いくつか紹介すると、「自分を変えたいと思っている人は、前向きな気持ちで入部してきてネ」「演劇部に入って、”新しい自分”を見つけてみないか?」「毎日の練習は厳しいけど、自分を成長させることができる」「入学当初と比べると、皆すごく変わった」「やりがいがあり、一番成長できる部活だと思う」「自分を変えたいなら、高校生活を充実させたいなら、一度見に来て」以上は二年生のコメント。二年間がむしゃらに活動続けてきて、今、ふっと振り返ると自分が大きく変容してるってことに気づくんだろうね。だから、二年生はどんなに苦しくたって不平や不満を言わない。もちろん、休まない、さぼらない。

 一年生の場合は、必死で着いてきた一年間だったから、大変だったって気持ちがまず大きいようだ。それでも、「舞台をやり遂げた時にはとても気持ちのいい達成感を味わえる」「全員が笑顔になれる部活です」「自分を変えたい人、ぴったりの部活です」「勉強と部活を両立できるようになりました」「新しい自分が見たい人は、是非演劇部に入ってください」「自分に自信を持つために一生懸命頑張りました」と、はやくも変わりつつある自分に手応えを感じている者が少なくない。

 ねっ、顧問の独り合点じゃなかったでしょ。部員たち一人一人の実感なんだよ。彼らがこう言って演劇部を誇りに思ってくれている!感動だね。自分が変われる部活動なんて、最高の褒め言葉じゃないか?優秀な生徒、才能豊かな生徒が質の高い活動を展開していく、これも悪くない。でも、人前でしゃべれなかった生徒、中学時代不登校で悩んだ子、自分に自信が持てない者、こういった生徒たちが、置農演劇部の中で大きく変わり、自信と達成感を身にまとい笑顔を輝かせている姿って、本当に感動的だ。そんな活動を作れたってことこそ僕の一番の実績なんだって思う。大会で上位に行くとか、賞もらうとかじゃないんだよ。もっとも、対外的な評価があるから、自信につながるのは間違いないんだけどね。

 だから、一人でも多くの新入生にこんな貴重な経験を積ませてあげたい。心から充実した三年間だったと実感できる高校生活を送らせてあげたい。僕や顧問Nが新入生獲得に血眼になんのはそういう理由からなんだ。入ってくれればわかるんだ!一年間続けてみれば納得するんだ!三年間過ごせば、一生の宝を手にすることができるんだ!!

 さあ、新入生のみんな、置農演劇部に入ろう!このブログ見たら、騙されたと思って演劇部を覗いてみよう。君の人生が変わる、そのきっかけを置農演劇部がプレゼントするよ、ってなんか、人生開発セミナーの宣伝みたいだな。

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