ダメだろな、木酢液の臭いなんが、退散しっこねえよな。
念のため、2日続けて撒いてみたけど、全然効目なし。さらに傍若無人ぶりが目に余るほどになってきた。
それも黒米、奥の1枚で我慢するでもなく、手前のもう1枚にも侵入し始めた。これは、なんとか、これ以上の狼藉に阻止線を張らにゃならんぞ。
少なくとも、お隣のIさんの田には入らぬように手立てせにゃ。
ネット2枚と空いてる鉄ポール数本を持ち出して、侵入口を中心に防御線を張り巡らした。
頼む、イノシシ、これ以上、悪さするな、水浴びしたけりゃ手前に調整池があるじゃないか、そこなら専用沐浴場に貸し出すから、自由に使ってもらって差し支えないから。
翌朝、どうだ、防御ネットの威力は?
おう、よしよし、警戒して田んぼにゃ入らなかったな、そう、それが野生動物ってもんだ、危うきに近寄らず!
気を良くして、道路の反対側を見てみると、
あっちゃぁぁぁ、小作人さんたちの上の田、ど真ん中に丸くはしゃぎ回った痕が!
ぐるりを見て回って、こいつぁ、別の個体じゃねえか、反対側の水路伝いにやってきた奴らしいぜ。
かぁっ、ここもまたネット張りかよ!このクソ暑いなかで!!
仕方ねぇ、収穫時期終わって無事お役目果たしてくれたトウモロコシ畑のネットを外して、それを田んぼに移動、堰の小川に沿って50メートル、張り終えた。灼熱の太陽の下での作業、いい加減にしてくれよ、イノシシ。

なっ、頼む、ここまでにしてくれ、いたずらは。
これ以上遊ぶな!

あと1か月で稲刈り終わる。それまで堪えてくれ、なっ、お願いだイノシシ。お互い妥協ってもんが必要だろう。棲み分けの仁義ってものがあるだろ。
これまでじっとしてくれてたじゃないか。
その時の気持ちで、稲刈りまでの1カ月、自重してくれぇぇぇぇ!