ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

課題は、1946年を生きる若者

2008-09-30 23:43:17 | 演劇

 地区大会を終えて、取り組むべき課題がくっきりと見えてきた。二人の審査員から同じく指摘されたこと、それは、役になりきれていない!ってことだった。1946年の青年たち。そりゃ無理だよな。部員たちには遙か昔の伝説みたいなものだ。

 だいたいね、第2次世界大戦で日本が戦った国を三つと挙げられない人たちなんだよ。そのころの青年たちの考えや思いなど知るすべもない。60年の歳月は、どこまでもどこまでも果てしないのだ。なのに、敢えて書いた。1946年の青春を。うーん、実に無謀だ。

 一年前までは、死と隣り合わせの日常。戦いと壮絶な最期を間近に見据える日々。なのに、そこから突如放り出された青年たち。彼らのとまどい、彼らの空虚、彼らのやるせなさをどう感じたらいいのだろうか?どう表現したらいいのだろうか?これは僕にだってわからない。でも、もう書いてしまったんだ。手探りでも、当てずっぽでも、手当たり次第でも、やってみるしかないのだ。

 稽古では、目一杯時間を割いて、時代背景を語り聞かせてきた。当時の風俗、出来事、政治、ことある事に語ってきた。でも、ダメだった。言葉で伝達される知識には自ずと限界があった。

 だから、まず、視覚で時代を感じとる所から再開しようと思う。そう、ビデオを見せようってことなんだ。今井雅之の『Winds of God 』、鈴木清順監督の『肉体の門』。さらに、アメリカの若者風俗とダンスを見知ってもらうため、『ウェストサイド ストーリー』。これらの名作をじっくりと見て、一人一人が自分の役柄を理解してもらおうと思う。

 でも、それだけでは不足だ。若者一般を感じとったところで、一人の穣司、一人の義男、一人の耕太にはならない。時代と交差しつつも、個々の生活があったはずだからだ。だとすれば、彼ら一人一人の人生を、そのバックグラウンドを作り上げて上げるしかない。で、それは、台本を書き演出をする僕の仕事ということになるだろう。

 いずれにしても、もっともっと肉薄しなくちゃならない。彼らの悲痛な叫びを心の奥に聞かなくてはならない。どこまで、迫れるか?1946年の青春に、それが、東北大会への決め手となるだろう。

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ほっと一息!最優秀!!

2008-09-28 23:17:11 | 演劇

 置賜地区高校演劇大会、置農、最優秀!よかった、ほっとした!だってねぇ、全国行ったメンバーだよ、地区は何としても最優秀で上がらなくちゃって思うじゃないの。それに、今回ははっきりと東北大会を意識して作っているからね、地区で負けてたんじゃ話にならない。結果が出てみると、まあ、順当かな、なんて気にもなるけど、出てみるまでは、いつもの事ながらどきどきだったよ。まずは、最初の障碍を乗り越える事が出来た。目出度し、目出度し!!

 さて、今大会の感想なんだけど、まず、生徒創作が2本も出たってことが大きな収穫だろうね。これまで、置賜は書く人がいなくて、既成の作品でばかり勝負していたから、ついに、創作脚本が、置農を含めて3本、過半数を制したってことは、記念すべきことだと思う。

 しかも、うち一本は、『幕末戊辰録』(九里学園)って時代ものだったってこともうれしいじゃないか。高校生ものだって自分で書くってのは大変なのに、よく時代ものを書いたと思う。これは本当に素晴らしいことだ。構成も、時間を自在に飛び越えるもので、見応えがあった。

 もう一本は、オリジナルで勝負し続けている高畠高校。ここは高校生の生と死を扱った、ちょっとつらい内容だった。以前の作品に比べると、とてもわかりやすくなっていて、観客に伝わる舞台作りになっていた。ただ、何故こうも暗いの?っていう疑問は今回も感じたけどね。

 2本の生徒創作のうちどちらかは県大会に行けるかな?って期待していたけれど、残念!県大会出場の2校は、既成台本で勝負した、米沢中央、米沢東の2校になってしまった。と゜ちらの学校の作品も、それほど台本が良くなかっただけに、創作作品2校にはチャンスだったんだけど、本当に惜しいことをした。米沢中央と米沢東は、既成作品ながら持ち前の演技力で上手にまとめて、優秀賞、県大会出場を決めた。どちらも、培った伝統の力って感じだった。

 で、創作が何故負けたかって話しだが、うーん、脚本を書く基本ルールがわかっていない、って事じゃないかな。その典型が、場転=暗転の多さだ。テレビドラマの影響か、アニメや漫画に慣れているせいか、ともかく、簡単に場転を仕込んでいる。これが、芝居をぶちぶちと切ってしまっていた。堪えて、我慢して、極力場をつなぐという気持ちが希薄なんだよね。さらには、読む言葉と聞く言葉との違いなんてことも、十分に意識されていなかった。改めて、脚本創作講習会の必要性を感じたね。

 あと、もう一つ感じたことは、声の出し方だ。相変わらずトーンが高い!どうしてああいうきんきん声で通してしまうんだろう?僕が年寄りってこともあるが、あの甲高い大声は、もうそれ聞いただけで、結構!止めて!!って耳をふさいでしまうもの。今の時代の表現ってことなんだろうけど、あれはどうにかならんのか。

 置農の芝居では、しつこいくらい、低音で話せってダメだししている。たしか昨年の東北大会もそうだった。この夏の全国でもそういう学校があって、それが理由で悔し涙を流したものだ。世の中も、話し言葉の口調が全体に、甲高くせわしないものになっているってことの影響なんだろう。ああいう声でなくては、表現出来ない時代の雰囲気ってのは、なんか、とっても、寂しいものだよね。

 ってところが、今回の大会で気になったところだ。審査員もしっかりと指摘してくれていたことだし、部員はもちろん、顧問がよーっく、理解してじっくり落ち着いた芝居を作りたいものだ。さらに、生徒の創作台本をサポートして完成度を高めて上げる添削力についても、顧問の責任は大きいって思う。まず確実にレベルアップを続ける置賜の高校演劇、さらにこの勢いを保っていきたいものだよね。

 

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怖いねぇ、舞台は!

2008-09-27 22:24:22 | 演劇

 置賜地区大会、置農演劇部の公演が無事?終了した。無事じゃないよ、大ありだよ。音出なかったんだから!MDに録ってあったTake the Atrainの音楽が出なかったんだ。リハーサルでは出ていたのに、本番になったら、何故か読み込まない!それってありか?!

 だから、せっかく用意したダンスが、たった3曲のうちの1曲が踊れなかったんだ!うーん、悔しい!いや、僕なんかより、今日にそなえて1ヶ月ダンスの練習に明け暮れてきたダンサーたちはよっぽど残念だったことだろう。踊りたかったと思うよ、ほんと!

 それと、音響スタッフ、ショックだったんだよ。舞台終わったあと、みんなの前に出てこれなかったくらいだもの。でも、こればっかりは仕方ないんだ。機器のトラブルなんだから。MDは本当に怖いんだ。ときどきこういうことがあるから。

 でも、そのトラブルがあったお陰で、キャストはぐっとしまった演技をしてくれた。頑張んなね、取り返さんなね、って気持ちが強まったんだろうね。だから、引き締まったいい舞台になった。でも、その気負いが裏目に出て、せりふ噛んだり、とばしたり、早口になったりといったミスは出てしまった。まあ、でも、それも勢いのなせるわざってもんだ。

 今回の舞台が観客や審査員からどういう評価を受けるか、それは明日になってみないとわからない。高畠高校のK顧問からは、良かったって言ってもらえたけど、他の人たちは果たしてどうだったか?恐ろしいばっかりだ。

 でも、幸い全国に行ったお陰で、県大会の出場権はすでにもらっているので、今日の評価を真摯に受け止めて、県大会ではすべてについて納得の行く舞台を創ろう。おっとその前に11月12日(水)フレンドリープラザのプラザ演劇祭での上演があった。ここでじっくり作り込んで、県大会に乗り込むってことになる。いろんな課題が見えた今日の舞台だった。さあ、明日から、東北目指した苦難の日々が始まるぞ、部員諸君覚悟はいいか?!

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演劇部は客寄せパンダ!

2008-09-26 00:07:23 | 演劇

 演劇部は客寄せパンダだって思っている。古いねえ、客寄せパンダって何よ。そんなら、チンドン屋?宣伝隊?おうおう、ますます黴が生えてくる。今ならなんて表現するんだろう?要するに、置農のコマーシャル部隊だってこと。

 そうなんだよ、時代から置いてけぼり喰らいつつある農業高校だからね、知恵だし、汗かき、力出し合って生徒募集に励まなくちゃならないってわけ。なんせ、少子化の波がひた寄せているから。

 なら、何が一番のCMになるのか?以前ならカリキュラムとか、学習の様子とかだったけど、今はもうそんな時代じゃあない。いやいやそれも大切!馬鹿にしちゃいませんよ。でもね、今時の中学生にとって、一番の魅力は楽しい高校生活ってことなんだよ。

 だとすると、こりゃ何ったって部活だよ。活発な活動があって、生徒たちが生き生きと取り組んでいて、その努力の結果が確実に成果に結びついている、こんな学校生活に惹かれるってことなんだ。

 ってことなら、当然、演劇部だよ、置農では。あっ、ごめん!ホッケー部も頑張ってます!弓道も地区でトップの実績です。野球部も最近めきめきです。でも、なんたって、全国だから演劇部は!って反っくり返るなよ。でも、実績が上がってるって言ってるだけじゃダメなんで、手にした成果はしっかりと伝えなくちゃならない。

 中学校の先生たちって本当に、輪切り思考だから!何年も前のイメージいつまでも抱えているから。置農って言ったら、落ちこぼれのどこにも引っかからない奴の行くところ!なんて考えで進路指導してるから、困ったもんなんだよ!そんな先生方に置農演劇部頑張ってるよ!ってぶちかましてやることが絶対重要なんだ。体力勝負じゃないからね、演劇は。あくまで知的な文化活動だからね。

 じゃあ、どうやって伝えればいい?そりゃ決まってる!部員が直接中学校に顔を出して、楽しくやってるよ、精一杯頑張ってるよ、全国行ったんだよ、って言ってくることだ。ええーっ!中学校で目立たなかったあいつが!通知票2ばっかりだったあの子が!保健室登校だった彼女が!驚くよねえ、びっくりだと思うよ。で、思うわけだよ。そうか、高校は偏差値じゃないんだ!って。生徒がどれだけ伸びるか、そこが決め手だ!って。

 昨日の午前中は、いっせいに出身中学校を訪問させた。地区大会の案内を持たせて。それも、大会のポスター、招待券だけじゃない。ちゃっかり置農独自のちらし持たせて。そりゃ、来ないさ、先生方。でも、いいんだ。ほー、置農、やってるじゃないか、活発じゃないか、って認識を新たにしてくれれば、それでいい。それが、来年の生徒募集につながる。ひいては、それが置農の活性化につながる。そして、置農の生き残りに帰着するってことなんだら。

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あて書きだからって、楽じゃない!

2008-09-21 21:31:29 | 演劇

 僕が台本書くときは、あて書きだ。置農演劇部にしても、菜の花座にしても、その公演に出られる役者の声と顔と姿と力と見極めながら登場人物を設定していく。全国大会に行った『どんがら山奇譚』なんて、ミドリに何をさせたら生きるか、ってところから思いついた芝居だもの。役者の持ち味は、実に大きい。

 というか、今ある持ち駒を無視して書いたって、いいもの書けっこないって思う。アマチュア演劇の役者の力量には限りがある。どんな役にも対応出来るなんて引き出しの多い人は、まあいない。陰影に富む表現力を持った役者だとしても、その人が存分に輝く役というものは、そうは多くないものだ。だからあて書きする。

 でも、あて書きの純度には幅があるものだ。その役者の地そのもので行けるってものから、ちょっと努力がいるってもの、大いに頑張りが必要ってもの、さらには、これあて書きって言えるか?と役者が悩むものまで、その差は大きい。そのものズバリで行ければ、演技指導は簡単だ。でも、面白くない。書く方だって、そうそう役者に合わせて書けはしない。高校生ものを書けば、役者と役との差は極度に縮まる。でも、これ、書く気ないから。だから、いつも、どの程度役者に冒険させるのか、悩みつつ書いている。

 で、今回の『Let's Dance 1946』だ。年齢から言えば、それほど隔たりはない。登場人物の中心は20歳代前半だから。でもね、生きた時代背景がやたら違い過ぎるんだ。出てくるのは、一年前まで、どう死ぬかってことばかり考えてた若者たちだから。今時の高校生には到底、理解不能、共感拒絶の役柄なんだ。中には、アメリカで育って戦中に日本に戻ってきた日系2世の青年なんてのも出てくるから、これはもう、やたら不可解だ。見かけは日本人でも考え方も身ごなしもアメリカ人でなくちゃならないわけだから。だから、今回はあて書きとは言うものの、要努力!要勉強!!ってことなんだ。しかも、芝居がリアルな演技を求めてるから、なおのこと難しい。

 今日は、3時間半かけてわずか10ページしか直せなかった。ともかく、発声から、せりふ回しから、足の運び、体の傾き、視線の方向、・・・もうなにもか一つ一つ直して行かなくちゃならない。結局、時間切れで、とりあえず通しを行ったが、・・・・当然ながら、ひどい!ああ、どうするよ?あと、稽古できる日数は正味4日間だっていうのに。しかも、一番難問のダンス練習シーンは全くの手つかずなんだ。

 でも、やるっきゃない!乗り越えるきゃない!ここで踏ん張れば、ぐんといいものになる。一気にレベルが上がる。舞台が本物になる!!そして、役者も、つまり部員たちも、確実に力を付けることができるんだ。これまでもそうしてきた。今回だって、きっとできる!って、やたら自己暗示掛けてねえか?いやいや、僕は結構楽観してるんだけどね。

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