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気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

「不偏」を目指す

2013-12-13 14:58:57 | 

 先週の続き。話をいったん美から日常に移す。私たちは生活の中でも滅多に「顔と体を真正面に向けて、両腕を垂らし、左右の足に均等に重心を分けて立つ」という姿勢を取らない。一つは身体の問題。大抵の人は、左右どちらかに捻れていたり、重心を左右どちらかの足に多くかけていることが多い。要するに偏っている。野口整体では先天的な(過剰でない)偏りを「体癖」と呼び、その人らしさを発揮する姿勢として認めている。

 二つ目は「気分」の問題。正面に向かい合って立つというのは、緊張感の強い形である。それが平気だとすれば、余程親しい間柄、恋人同士くらいのものだろう。ではなぜ緊張するのか。想像するに恐らく、自分の情報(感情・身体のバランスなど)が、相手に最大限伝わってしまう姿勢だからではないだろうか。自分の身心に(相手に対してというだけでなく、自分に対しても)自信が持てなければ、隠したくなるものだ。積極的に使うならば、正面に立つことで、相手に自分の全てを見せて、信を得るということもできるだろうが。

 こういうわけで、「顔と体を真正面に向けて、両腕を垂らし、左右の足に均等に重心を分けて立つ」という姿勢は、有りそうで無い形、簡単そうで難しい形なのである。しかし私はこの「形」にこだわりたい。それは歪み(偏り)を否定することではなく、不偏の意味を追いかけることである。この一番シンプルな姿勢の中で、何かを工夫する(筋肉の緊張・弛緩のバランスを取る)ことが、そのまま健康法になり、そして不偏でありながら自然体である処に、美を創り出すことができるのではないかと思っている。