裏山には、入口の異なる二本の山道があり、私は勾配の急な方を登ることが多い。この二本の山道は頂上(と言っても低い山)付近で交わり、一本になる。年に数回「上(勾配の急な方)」の山道から「下」の山道へ「けもの道」を通って降りることもある。
先日その「けもの道」を、枯葉に足を滑らせ、木に飛びつくようにしながら降りていた。いつもならば「下」の山道とぶつかり、左右のどちらかに行くのだが、何故か私は気がつかずに直進してしまった。しばらく歩いて、ようやく私は間違えたことを悟った。来た道を戻れば良いのだから慌てることはなかったが、それでも初めての処は、私を少し緊張させた。辺りを見渡すと先に平坦な道があったので、進んだ。するとそこに突然、現れた!入口が・・・
私は全く予期していないものの出現に驚いた。この山の中に地下壕(戦時中、軍用機のエンジンを作っていた)があることは、聞いていた。この入口はその地下壕に続いているのか。
私は何だかここに、「呼ばれて」来たような気がした。戦争末期、ここで働いて(働かされて)いた数千人の「想い」のようなものに呼ばれて・・・もし「想い」があるのなら、それは、無念さ?絶望?希望?継承?・・・わからないが、それを考える(感じる)ことは、大事なことだろう。