その神社は山の上にあるので、行くには石段を登らないとならない。その石段の上の方に、写真のような石で造ったものがある(スミマセン、名前を知りません)。その上部は凹状になっていて、雨が降るとそこに水が溜まり、水が溜まると、鳥がそこで羽を洗う。
先日、その水の中を覗き込んでみると、動いているものがいる。ボウフラである。細長い形をして、全身を振って泳いでいる。体操選手が「バック転」や「宙返り」をするように躍動感がある。それが親(蚊)になると、ずいぶん動きが遅くなってしまうものだ。
さて、雨が降らず、日照りが続くと、ここの水は枯れてしまう。しかし彼らはきっと、その前に成虫になれるだろう。何となくそう思う。
もし、枯れる直前に覗き込むことがあり、彼らが変わりなくあの躍動感ある運動を続けていたならば、その時には近くの水を与えるかも知れない。そうしたくなる何かがある・・・
いつもの山道に、突然、白い花が咲いていた。いったい何時咲いたのだろう。私が仕事をしているときか。寝ているときか。
この可憐な花は「イチヤクソウ」といい、スズランのような形をして、下を向いている。
高校時代の野球部の先生に頂いた色紙には、「花はひとに見られたくて咲くのではない」と書かれていた。その意味を訊かずに来てしまったが、おそらくその意味は、「花には何の意思も無く、ただ咲くだけであり、人の気を惹くために美しくしている訳ではない。」ということだろう。
人はいつでも周りの人を意識してしまうが、もし花のように、ただ存在することができれば、それもまた花のように美しいのかも知れない。