坂道を登っていたら、眼の前に「白い窓」が現れた。写真では地表に見えるが、実際は垂直に近い感じでそれは在った。穴のやや奥まった処に、白いものが見える。
この山の下には地下壕があり、戦時中には航空機のエンジンなどを造っていたという。
陶淵明の「桃花源記」では、漁師が偶然にユートピアを発見するが、そこには数百年前に秦の乱世を避けて、移り住んだ人々の末裔が楽しく暮らしていた。
もしもこの「白い窓」が開いて、道が地下壕に続いていても、そこには戦争のために働いていた人々の末裔はいないだろう。
私は想像したい。私の歩いているこの山の下で、命を削った人々の毎日を・・・