T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1202話 [ 「鬼火」を読み終えて 6/8 ] 5/29・日曜(曇・雨)

2016-05-29 08:31:28 | 読書

[丹波守下屋敷]

   平蔵は、曲者どもの棲家(渡辺丹波守下屋敷)を突き止め、

   若年寄・京極備前守から、丹波守直義と権兵衛酒屋の亭主の弟・永井伊織

   との関係についての情報を手に入れる。

1章

 人殺しと大声を出したのは、井関録之助と同心・松永弥四郎だ。

 ここまでは、高橋勇次郎が役宅を尋ねた時に平蔵が計画を描き、平蔵と与力・佐嶋たちが実行した芝居である。(「闇討ち・3章」)

 腕を斬られた浪人の後を彦十が、他の浪人4人の後は同心・松永と密偵二人が後を尾けた。

 今夜の平蔵の行動の狙いは、「平蔵暗殺」による兇賊どもの油断と兇賊どものねぐらを突き止めることであった。

2章

 その夜更け、弥勒寺門前の茶店・笹屋の女主のお熊が、戸を叩く音に応えて裏手の戸を開けると、本所の銕〔平蔵の昔の呼び名〕だよと言って、死んだ筈の平蔵があらわれた。 

 そして、三日ほど、ここに泊めて貰うぞと言って中に入り、後から二人来るから、婆さんは、おそいからもう寝てくれという。

 まず、彦十が来て、先ほどの怪我をした浪人は、助けてくれと言って宗林寺へ入ったと、連絡して帰って行った。

 しばらくすると、同心・松永があらわれ、高橋を除く3人の浪人は、

「入谷田圃の先の立派な門構えの屋敷の裏門から中に消えました」

 と報告した。平蔵は、松永に、明朝、ここへ来てくれと命じた。

3章

 翌朝、与力・佐嶋がお熊の茶店に来て、明日の昼前に、京極備前守様のお屋敷へお越し下されとの使いがあったことを伝えた。

 昼過ぎに、同心・松永がやって来て、

昨夜、浪人たちが逃げ込んだ屋敷は、渡辺丹波守の下屋敷である」と知らせた。

 平蔵は、これは容易ならぬことだと見張りを増やすことにするために、与力・佐嶋と連絡を取ることにした。 そして、松永には、当面、外から入ってきた奴が帰るときだけ、そ奴を尾けろと命じた。

 連絡を受けた佐嶋は、丹波守下屋敷の近くの竜沢寺を見張り所にして、同心2名と密偵5人を増やし、合わせて10人で見張ることを平蔵に報告した。

4章

 翌日の昼前、平蔵は、虚無僧の姿で京極備前守を訪ねた。

 備前守が、平蔵から依頼されていた病没した渡辺丹波守直義について、評定所で調べたことを語った。

直義殿は、16歳のころに、奥向きの女中に手をつけ、その女が身籠ったので、下屋敷で子を産ませ、生まれた男子を六百石の永井弥兵衛昭高の養子にした。 永井家は徳川の天下になる以前より、渡辺家の家来筋に当たるとのことだ

 永井弥兵衛は、他ならぬ永井弥一郎・伊織の亡夫である。

永井家には、跡継ぎの弥一郎がおり、その弟として養子に入ったわけじゃ。 ところが、弥一郎は父亡きのち家督をし、お役に就いたというに、いまより、20年ほど前に、突然、屋敷を出奔し、行方知らずとなったまま、今日に及んでいるとか……」

 平蔵は、この度の難問が半分は解けましたるようにてございますと礼を述べ、その渡辺丹波守の下屋敷が曲者の溜りになっていることを報告し、備前守から「いかようにも助け遣わす」との言葉をもらって屋敷を辞去した。

 いまの渡辺家は丹波守直義亡きのち、長男の右京亮直照が家督をし、当主となった。

 その直照は、わが下屋敷が無頼浪人どもの巣になっていることを知っているのだろうか。 また、旗本・永井伊織が、異腹の兄であることを弁えているのであろうか。

5章

 平蔵は、京極屋敷からの帰りに、丹波守下屋敷を見張る竜沢寺へ立ち寄った。

 同心・酒井が居たので、「今夜、共に与力・佐嶋と笹屋へ来ること。五郎蔵による渡辺丹波守の屋敷の探りは、怪しむべきこともないようなので、打ち切ること。薬種舗・中屋幸助が出入りしていた渡辺屋敷と永井屋敷の両家への、他の出入りの商人を突き止めてくれるよう同心・小柳安五郎に五郎蔵を付けて命じること」を指示した。

 平蔵は、盗みの世界と何か関係があるのではないかと睨んだ渡辺家と永井家の中に、もし盗みの仕掛け人がいるとすれば、自分のところへ出入りする大店を押し込みの対象にするだろうと考えたのだ。

 酒井は、平蔵が何を思っているのか、すぐに察知して走った。

 そこへ、密偵の駒蔵が来て、丹波守下屋敷に、駕籠が一挺突き、頭巾を被った武士が駕籠を待たせて中に入って行きましたと告げたので、平蔵と同心・松永が現地に急いだ。

 現地に着くと、武士が帰るところだったので、平蔵は、松永に尾行を命じた。

―中略―

 三州屋の二階で、平蔵の暗殺に参加した夜から毎日寝そべっていた高橋勇次郎は、報せがあるまで出てはならぬという平蔵の指示を無視して、みよし屋に出向いた。

―中略―

 そのころ、笹屋で平蔵は、佐嶋と酒井に京極備前守から耳にした一件を伝え、これからの打ち合わせを始めていた。

 このとき、丹波守下屋敷を出た武士が乗った町駕籠を尾行していた松永が笹屋へ急いでいた。

 同じころ、みよしやのおよねに会って、良い機嫌で、不忍池の向かいの寺の前を歩いていた高橋勇次郎を目がけて黒い影が、抜き払ってきた。

                                                      

                   次の節「見張りの日々」に続く

 

 

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