「作品概要」
東京の救命救急センターで働いていた、62歳の医師、白石咲和子は、あることの責任を取って退職し、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療の医師になる。
これまで「命を助ける」現場で戦ってきた咲和子にとって、「命を送る」現場に戸惑うことばかり、老老介護、半身不随のIT社長、6歳の小児癌の少女……様々な現場を経験し学んでいく。
家庭では、老いた父親が骨折の手術で入院し、誤嚥性肺炎、脳梗塞を経て、脳卒中後疼痛という激しい痛みに襲われ、「これ以上生きたくない」と言うようになる。
「積極的安楽死」という父親の望みを叶えるべきなのか。咲和子は医師として、娘として、悩む。
(幻冬舎サイトより)
「目次」
プロローグ (医大病院医師を退職、帰郷して診療所に勤める主人公)
第一章 スケッチブックの道標 (老老介護と第六章のプロローグ)
第二章 フォワードの挑戦 (半身不随のIT社長と同上)
第三章 ゴミ屋敷のオアシス (ゴミ屋敷の中で生活する老母と同上)
第四章 プラレールの日々 (終末期を在宅で過ごす厚生高級官僚と同上)
第五章 人魚の願い (死期を間近に控えた小児癌の少女と同上)
第六章 父の決心 (父親が望む積極的安楽死への主人公の葛藤)
「全章への登場人物」
白石咲和子 主人公。
城北医科大学救命救急センターの副センター長を8年務めた62歳。
退職して故郷の金沢で父と過ごすことになる。
帰郷後、仙川のたっての頼みで、まほろば診療所の「在宅診療」を
引き受ける。
バツイチの独身。母は5年前に交通し事故で死亡する。
仙川 徹 咲和子より2歳上、父親が医学部の同級生で、
子供のころから家族ぐるみの付き合いをしている。
足を骨折して車椅子の生活をしていて、診療は咲和子に頼んでいる。
40代に妻を乳癌で亡くしている。
星野麻世 まほろば診療所で6年勤務する29歳のベテラン看護師。
それまでに大学病院で2年間、勤務している。
実家は金沢港外の山腹にある旅館。
野呂聖二 医師国家試験浪人中。救命救急センターでアルバイト中に、
咲和子に迷惑をかけたことことから、その責任を負って、
まほろば診療所に来て運転手をする。
玉置亮子 まほろば診療所の事務を担当している。
白石達郎 金沢でひとり暮らしをしていた咲和子の父、87歳。
80歳まで、加賀大学付属病院の神経内科医として勤務していた。
妻に延命治療を強いたとして、悩んでいた。
白石康代 咲和子の母、5年前に79歳で死亡。
交通事故による外傷性くも膜下出血だった。
柳瀬尚也 まほろば診療所スタッフの憩いの場、バー「STATION」のマスター。
若いころモンゴルを放浪していた経験がある。
「私の感想とあらすじ」
死までの数か月の終末期医療をテーマにした当該作品のすべて(第三章を除く)について、感動したが、第一章の老妻を介護する老夫の愛と、第六章の父が望む積極的安楽死への葛藤には、とくに心を打たれ感涙した。
長く記憶に残したいし、後日、ポイントになる部分を読み返したいと思うので、この2章について、別ページに、あえて作品の一部をコピーして粗筋として纏めた。
終
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