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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

バッド・コップ・スクワッド

2024年12月09日 | 本の感想
バッド・コップ・スクワッド(木内一裕 講談社)

川口市で起こった強盗傷害事件の犯人逮捕のため、埼玉県警の刑事5人(小国、菊島、橋本、真樹、新田)は武蔵野市に向かう。真樹は犯人の車に乗っていた男を誤って射殺してしまうが・・・という話。

このあと、5人が偶然別の事件に巻き込まれてしまうが、こちらの方が本筋。

会話が多くて、ちょっとシナリオっぽい感じがあるが、とにかくテンポがよくてあっという間に読み終わってしまった。
登場人物や情景といった背景描写や説明的部分がほとんどないのに、会話や行動から5人のキャラがくっきりと浮かびあがるのがいい。特に準主役(いや、主役かな?)の菊島のそれが抜群によくて、彼の前日譚や後日談を読んでみたくなった。

初出の単行本は2022年に出ていて、最近文庫化されて書店でみかけた。表紙のイラスト(これも著者の描き下ろしらしい。映画監督をやったこともあるそうで、多才な人なんだなあ)が、ちょっと江口寿史風で洒落ているのに惹かれて読んでみた。エンタメとしては最上級の出来映えだと思うのに、なぜもっと評判にならなかったのかな?私が知らなかっただけか・・・

DUNE2(映画)

2024年12月04日 | 映画の感想
DUNE 2 (映画)

ポウルと母ジェシカはハルコンネンの追撃を逃れてフレーメンの支援を受ける。族長スティルガーはポールこそがアラキスの救世主と見定める。フレーメンはメレンジの生産施設を攻撃し始め、脅威を感じたハルコンネンは皇帝を巻き込んでフレーメンとポウルを攻めるが・・・という話。

パート1に比べると、アクションシーンが多くてより人気がでそうな展開になっているが、その分香り高さみたいなものが失われたような気がして残念。
ハルコンネンは不気味さがなくなってただのデ●だし、皇帝はひたすら軽いし、ベネ・ゲセリットの神秘性はあまり感じられなくなった。
ポウルは、もうちょっとガッチリした感じの俳優の方がストーリーには合いそうなんだけど、初代ハヤカワ文庫(矢野徹訳でやたらと読みにくかった)で読んだ者としては石森章太郎(当時はまだ石森だった)のイラストのイメージとティモシー・シャラメはぴったりと一致するので、満足?できた。

とにかくおカネがかかっていて、セットやVFXも立派だけどキャスティング(特に脇役)もすごい。ガー二イがジョシュ・ブローリン、スティルガーはハビエル・バルデム、皇帝がクリストファー・ウォーケン、教母はシャーロット・ランプリング(ウィキで調べるまで気が付かなかった)等々

日本では興収がイマイチっぽいが、海外では大人気だそうで、3も間違いなく見られそうでうれしい。原作はまだまだ続き(ポウルの子供の話)があるので、スター・ウォーズみたいにさらに続きも見られるかもしれない。

銀色のステイヤー

2024年12月04日 | 本の感想
銀色のステイヤー(河崎秋子 角川書店)

菊地俊二は、北海道静内の競走馬生産牧場の社長。後にシルバーファーンと名付けられる期待の仔馬を二本松調教師に預ける。シルバーファーンは扱いづらい性格で時に騎手(俊二の弟:俊基)を振り落としたりしながらも勝ち上がり、クラシック戦に挑むことになるが・・・という話。

菊地牧場の従業員で馬あしらいはうまいものの自己中心的なアヤ、
二本松厩舎の厩務員の鉄子、
目立った戦績はないが手堅い俊基、
元銀行員で冷徹な経営手腕の二本松、
愛人宅で腹上死した夫に意趣返ししよう?とシルバーファーンの馬主になった広瀬裕子
といったシルバーファーンを巡る関係者たちを描くのだが、それぞれキャラが立っていて(特に鉄子。鉄子はニックネームで本名は大橋姫奈、ヘビースモーカーで趣味はパチンコ)、かつ、テンポよくストーリーが進むので、筋としてはありふれているものの、とても楽しく読めた。

「ホースマン」という言葉が頻出する。競馬関係者くらいの意味だと思うが、本書はシルバーファーンの成功物語が軸ではあるものの、テーマは「ホースマン」の気質や心意気を描くことにあったのかな、と思う。

ブレイキングバッド(シーズン1)

2024年12月02日 | 映画の感想
ブレイキングバッド(シーズン1)

舞台はアメリカのアルバカーキ。ウォルター・ホワイト(ブライアン・クランストン)は天才的な化学者だったが、50歳の今は高校の教師をしている。息子には障がいがあり、妻は第二子を妊娠中で、住宅ローンが重いこともあって洗車場でバイトをしている。
ウォルターは肺がんと診断され、治療費を工面するため、かつての教え子で末端の売人であるジェシー・ピンクマン(アーロン・ポール)と組んでメタンフェタミンの密造に乗り出すが・・・という話。

ほぼ日のコラムで糸井さんが褒めていたので見てみた。10年くらい前の作品なので古めかしい感じは否めないし、TVシリーズとあって展開がかなりスロー(余分なエピソードが多い感じ)だったが、(だいたいどうなるか分かっていても)「次どうなるの?」と見るのをやめられなくなる。このあたりはTVシリーズを作り慣れた人のテクがすごいんだろうなあ。

ウォルターが麻薬どころか爆薬でもなんでも合成?仕放題なのは、ちょっと現実離れしているかなあ。

ゆとりですがなにか インターナショナル

2024年12月02日 | 映画の感想
ゆとりですがなにか インターナショナル

坂間正和(岡田将生)は実家の造り酒屋を継ぐが、妻の茜(安藤サクラ)とはギクシャクし、大口取引先の韓国資本?の会社からは契約を打ち切りされそうになる。小学生教師の山路(松坂桃李)は相変わらず童貞で、道上(柳楽優弥)は中国事業に失敗し今は中国向けの動画配信にはげむ。正和は取引先の繋ぎ止めのためにリクエストされたノンアル日本酒を、カリスマ杜氏の服部(吉原光夫)に託すが・・・という話。

TVシリーズは見ていないので、筋や仕掛けの面白さに気がついていない所も多いと思うが、それでも相当に楽しめた。特に終盤の伏線回収と酔いつぶれた正和の行動の謎解きは面白かった。

家族がオンラインで打ち合わせなどをしているのを尻目?にして正和の母:和代(中田喜子)が亡き夫の遺影のある仏壇に向かって「私なんかずっとお父さんとテレワークだよ」(うろ覚え)というシーンには吹き出したが、この小さな小さな挿話がエンドロール前で伏線回収されるのには感心した。