蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

気力か打ち損ないか

2012年08月11日 | 野球
気力か打ち損ないか

たまたま一昨日(8月9日)は夏休みが取れて、ロッテ―西武戦をテレビで最初から最後まで見られました。

ロッテは、先発・抑えともに故障者続出で、中継ぎが本職の投手に先発させたと思ったら中1日とか2日とかでまた中継ぎに起用、あるいはその逆の起用が続いていて、素人目には「いくら何でもメチャクチャだ」とも思えることもありました。

この日も、先発大谷は中一日。あまり感情が顔に出ないピッチャーだと思うのですが、今日は明らかにしんどそう。さっそく2回までに2点とられたのですが、3回にロッテとしては珍しい効率のいい攻撃で5点をとってくれました。
で4回表、無死1、3塁としてしまいましたが、そこから気力をふりしぼったような投球で無得点に抑えて珍しくガッツポーズ。見ている方もつられて「ヨッシャー」と叫びたくなる場面でした。

6回は南(3連投)、7回中郷(連投、8月5日には先発)、8回益田(連投)、9回薮田(連投)で1点差にまで迫られたものの、最後の代打中村をフォーク(チェンジアップ?)の連投でなんとか逃げ切りました。3塁にランナーがいるのにフォークを投げ続けられたのは、よっぽどキャッチャー金澤を信頼しているのか(とは思えません・・・)、ストレートに自信がないのか・・・好調時の薮田なら外角のストレートでびしっと空振りなんでしょうけど・・・

6回以降、なんとかかんとか抑えられたのは、投げすぎでヘロヘロの救援陣の気迫というよりは、西武の方が打ちそこなってくれたにすぎないような気もしました。でも、逃げていては打ちそこないもあまりないので、どちらか片方だけということもないのでしょう。

まあ、中継ぎ投手というのは登板試合数が最大の評価項目のはずですし、大谷、南、中郷もくすぶり気味の時期が長かったので、無茶な起用法をされても案外、喜んで投げているのかもしれませんし、あるいは、素人から見ると「まさかまた中郷?」(7回起用された時はそう思えました)なんて起用されると、「打たれてもオレのせいじゃない」と逆に開き直れるのかもしれません。というか、そういう風に考えらえる気が強い選手であってほしいですね。
(中郷は8月10日も登板しました。なんとか1点に抑えてリードを保ちました。ご苦労様といいたくなります。今年は給料あげてもらいたいですね)
(敬称略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

閃光 ロストクライム

2012年08月10日 | 映画の感想
閃光 ロストクライム

3億円事件というと、沢田研二さん主演の「悪魔のようなあいつ」というTVドラマの印象が鮮烈で、この事件を主題にした小説やドラマは数多いものの、同作を凌ぐ出来のものは見たことがない。

本作は、犯人グループが警察上層部の関係者だったから摘発ができなかった、という謎解きがありきたりだし、出演者もTVのXXサスペンス劇場とかでよく見かけそうな人が多くて、斬新さが感じられなかった。で、やっぱり「悪魔のようなあいつ」には及ぼないな、と思った。

もっとも、「悪魔のようなあいつ」を見たのは相当昔なので、私の記憶のなかで美化が進んだだけかもしれない。

それにしても、今の若い人に3億円事件といってもピンとこないのかも。私が子供の頃は、あのモンタージュ写真は様々な機会に様々な媒体で見かけたものだけれど。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本国の原則

2012年08月03日 | 本の感想
日本国の原則(原田泰 日経ビジネス文庫)

日本の経済的発展が生じた時期は、自由な社会が実現されていたタイミングと一致している。典型的なのは大正デモクラシーの時期と太平洋戦争後の時期だ、というのが本書の主張。

いろいろな例が挙げられているのだが、あまりに整理されていなくて散漫だし、自由な社会と経済発展の因果関係がほとんど説明されないので、たまたま一致しただけじゃないの?と、思えてしまう。

満州を植民地したことが、日本経済にはほとんど良い影響を与えなったというあたりの解説は興味深かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

象牙の箸

2012年08月02日 | 本の感想
象牙の箸(邱永漢 中公文庫)

少し前にお亡くなりになった邱永漢さんのグルメエッセイ。

中華料理のレストランの経営論みたいなのもけっこうあって、そのあたりは現在の状況(この本が書かれたのは昭和30年代)にはそぐわない内容もあったりするが、中華料理の作り方や楽しみ方は今でも全く違和感なく受け止められた。

素材のうまみをいかした料理というのは加工度が低いゆえにレベルが低い、というのが中華料理の考え方だそうで、素材をナマのまま使うのではなくて、いったん乾燥させたり、長時間煮込んだりするなどの手を加えるプロセスを増やして人工の味覚を作り上げるのが本当に格の高い料理だ、と著者はいう。

なるほど、いかにも中華思想だな、と思えた。

今、世界一と評されるデンマークのレストランは、素材をできるだけ加工しないというのがポリシーだそうで、現在のトレンドとはそぐわない考え方なのかもしれない。もっとも、このデンマークのレストランの料理を写真でみたことがあるが、正直にいってうまそうには見えなかったけれど・・・

著者は、直木賞受賞の小説家であり、バブル到来前にすでに「株の神様」などと称された経済評論家としても有名だけど、真骨頂は本書のようなエッセイにあったように思う。

そもそもタイトルがいいよね。「象牙の箸」というグルメエッセイと聞いただけで読んでみたくなりませんか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする