蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

失踪家族

2011年02月05日 | 本の感想
失踪家族(リンウッド・バークレー ヴィレッジブックス文庫)

ある朝、女子高生の主人公が目覚めると、父、母、兄が家に見当たらない。夜逃げしたりした気配はなく、家の中の様子は普段通りだった。
しかし、3人ともその後25年間主人公の前に現れない。
現在、主人公は、経済的に苦しみながらも健全な家庭を築いているが、失踪した家族をさがすことは断念していない。
また、自分の娘も(誘拐されたりして)どこかにいってしまうのではないかという強迫観念にとらわれている。
初めのうちは主人公の妄想かと思われた脅威がしだいに現実化してくる。

魅力的な謎が提示されて、前半のサスペンスフルな展開がとてもいいのだが、謎解きが始まると、エレガントさがなくて、一気にテンションが下がってしまう感じなのが残念だった。
解決編をコンパクトにして、前半の不可能犯罪的トリックからかもし出されるサスペンスをもっと引っ張ったらより良かったのではないかと思う。

主人公の夫は学校の作文の先生。生徒の作文を褒める場面があるのだが、この作文の内容がとても良くて印象に残った。


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先週から、最近のマラソンブーンに煽られて5年ぶりくらいにジョギングを始めた。
歩くのとほとんど差がないスピードだが20分ほど走る。
若いころは翌朝に来た筋肉痛が2日くらい後にやってくる。脚部だけじゃなく腹筋のあたりまで張りがあった。


最近、上場企業が、オーナーなどのMBOにより非上場化されることが目立って増えてきた。
MBOの買付価格が(時価よりは相当高いとはいえ)過去の公募や第三者割当よりかなり低く設定でき、かつ、BPRよりも低ければ、オーナー側としては「安く買い戻せる」という誘惑の声に捕らえられてしまうのも無理はないかもしれないが、高値で買わされて投資家は浮かぶ瀬がない。
この手の話で思い浮かぶのは、(相当に古い話で恐縮だが)ブラックマンデーの後、イギリス政府が市場対策と称して少し前に放出したBP株を買い戻したことだ。
放出価格よりかなり安く買付け、確かその後また高値で再放出したはずだ。(未確認。間違っていたらごめんなさい)
時の蔵相は、ナイジェル・ローソン。こんな凄腕がわが国でも嘱望されるところだ。(2011.2.5)

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