蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

オレって老人?

2015年11月17日 | 本の感想
オレって老人?(南 伸坊 みやび出版)

自分が老人になるとは思っていない人ってけっこういるんじゃないでしょうか。

当然、生まれてから年月を経れば誰でも老人になることはわかっているのですが、自分の頭の中では具体的に老人になった自分を想像できていないことが多いように思えます。
というか、私自身が、腰痛に悩む自分、老眼になって本が読みにくくなった自分、駅の階段を上がると息が切れる自分、などの自分を想像できていなくて、それが現実になって初めて「オレも年をとるんだ」という自明の事実をやっと理解できたような気がしたものですから。
ただ、身体にそういった現象が発生しても、考え方とか心の持ちようといったものは(私だけかもしれませんが)若い頃のままで変わっていないような気がしてしまい、自分で自分にあきれています。

「オレって老人?」というタイトルから、著者も「心理的には若いままだけど、身体的な状況や周囲の様子から老人になったと思わざるを得ない」という気分なんだろうなあ、と想像されます。

本書で特に面白かったのは、チベットの山奥で映写機をかついで映画興行をしていた人の話(「TVはクールなメディアだ」)で、「幸せって何?」という永遠の疑問に一つの答えを提示してくれています。
また「正しい氷水」では、真の幸福とは何か?と問いかけ、その例として一杯目のビール+塩味のきいた枝豆をあげていて、私なぞおおいにうなずけるのですが、やや平凡です。
二つ目の例の方がより深遠?で、氷水(かき氷のことだと思う)は暑い場所で食べないとおいしくない(が、残念ながらそういう場所はめったにない)、というものでした。これもなるほど、と思いました。

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