蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スラムドッグ$ミリオネア

2010年01月24日 | 映画の感想
スラムドッグ$ミリオネア

インドのスラム街出身の主人公は、幼いころに暴動に巻き込まれて母を殺され、兄と、自分と同じ年頃の娘と共に様々な辛苦を経験しながら成長していく。
大人になった彼は、正解を続けると賞金額が増えていくテレビ番組に回答者として出演する。
そこで出題される問題は、不思議に彼の人生の節目で偶然取得した知識で答えられるものばかりだった・・・という話。

全般に明るい調子で、画面に映し出されるスラム街も妙に色彩豊かで、「絶望感」みたいなものが全面的には伝わってこないように配慮されていたように思った。

つらい思い出、苦しかった経験ほど、そこを通りすぎてしまった人には、それがつらければつらいほど、苦しければ苦しいほど、かえって甘やかな記憶としてよみがえるような気がする(もちろん、そうではない記憶もあるが)。
楽しかった記憶がかえって現在の不幸感を増幅するように。

主人公の人生経験は、誰も味わいたいとは思わないだろうが、生き抜いてきた本人にとっては、大きな誇りとなっているのだろう。
「塞翁が丙午」とでもいうのか、暗黒の半生は、誇りだけではなくて、さらに彼に大金と幼なじみの娘との再会をもたらした。そんな人生のアイロニーが映画の主題。

ところで、クイズ番組で出題される、最後の問題は、最高賞金額がかかった問題としては簡単すぎると思う。(観客にもわかるような問題にするという狙いなのかもしれないが)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジェネラル・ルージュの凱旋... | トップ | 誰も守ってくれない »

コメントを投稿

映画の感想」カテゴリの最新記事